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市会報告

さとう和夫 議員

03年3月18日(火)

2005年度公営企業関連予算案について討論 05年2月定例市会 閉会本会議討論

 日本共産党市会議員団は、平成十七年度の市バス事業予算案については反対し、市立病院事業予算案、水道事業予算案、公共下水道事業予算案、地下鉄事業予算案、地域水道事業予算案、京北町地域水道事業予算案、特定環境保全公共下水道事業予算案などについては賛成です。以下、議員団を代表して、その理由を述べます。

 今回の予算委員会で改めてそもそも公営企業は何のために事業を行っているのかということを、与野党問わず、問題としました。病院事業でも、交通事業でも、上下水道事業でも地域水道事業でも、それらの事業を通じて公共の福祉を増進するという地方公営企業法第三条の目的をどう果たしているのか、これであります。その点に照らせば、まさに敬老乗車証制度の有料化は、福祉の後退そのものであり、また一般会計からの繰入金の減額となり交通事業にとっても大きな痛手となるものです。しかも、高齢者の市バス地下鉄の利用を制約することは乗客増対策にも逆行していることは明らかであります。審議の過程で交通局は敬老乗車証は「高齢者の社会参加促進と敬老の意をこめたもの」とし、「この制度の見返りとして一般会計からの繰り入れを頂いている。一人一人が大切なお客様」との認識をしめしました。ところが、市長、あなたは敬老乗車証の利用者を減らすことだけは熱心だと指摘せざるお得ません。昨年、あらたに申請方式に替えて7%程度減らし、今度は有料化でいっそうの申請者の減少をもたらそうとしているではありませんか。現に昨年の申請者数が減ったことについて、市長は「これまでにも市バスや地下鉄を使いようがない人やあるいは使わない人が面倒な申請に行かなかったと理解している」という趣旨の冷たい答弁までしました。しかし、市バスや地下鉄を使いようがなくなった高齢者の中には、この間の市バスの路線縮小により日常のお買い物や病院通いにいきたくても市バスがこなくなったとか、本数が減って不便になったなどという「市民の足」の切り捨てで、新たな交通弱者になったことによるものです。市バスに乗りたくても使えないようにさせてきたことに対して全く無反省であり無責任な発言です。高齢者の方は友人や知人との出会いや生きがいを求めて外出したいのです。敬老乗車証をめぐる新聞の投書や私どもに届いた手紙の中には、マイカーをやめて、敬老乗車証を利用してボランティア活動など社会参加してきたが、またマイカー利用に戻らざるを得なくなれば環境対策の上からよくないというものもありました。まさに地球温暖化防止を目的とした京都議定書の発効の点からも、また公共交通優先のまちづくりの点からも、後退につながるとのもっともな指摘です。さらに、いろいろな社会参加が老後の元気のモト、この元気のモトを保障している敬老乗車証の無料制度を維持してほしいとか、国による年金減らしで生活を切り詰めている身には敬老乗車証が暮らしの下支えと切実な事情を訴えておられたものもありました。こうした市民の声に、市長、あなたは心が痛まないのですか。持続可能な制度にすると称して敬老乗車証を形ばかりの制度として残して「床の間」に飾って見せびらかすのではなく、高齢者の方に気持ちよくご利用いただいてこそ、心から敬老の意を示せるのではないでしょうか。我が党議員団は、公営企業特別会計予算の審議を通じて、あらためて敬老乗車証有料化の撤回を強く求めるものです。

 また、公営企業における事業の公共性を維持するために一般会計からの繰り入れは不可欠です。ところが、この間、財政非常事態宣言を理由に市立病院事業で5億円削減、下水道事業で汚水資本費補助金の減額すなわち平成14年度から16年度の3ヵ年分予定額35億円を今後の5ヵ年で分割し年間7億円づつ繰り入れるとしてきました。こうしたことが公営企業の事業目的を達成する上でさまざまなゆがみや困難をつくり出しています。あらためて、凍結した任意の補助金、繰入金を全額回復することを強く求めます。

 そこで、まず市バス事業予算案についてですが、反対する理由の第一は、市バスルネッサンスプランにもとづく、「管理の受委託の拡大」がますます市バスの縮小から民営化に道をひらくものとなり、市民にとっては大事な市民の足を奪い労働者にとっても労働条件を切り下げる市バス事業のリストラとなってるからです。この間、民間委託されたバス路線では、委託料の値引きが民間バス労働者の労働条件の引き下げをもたらし、しかも事故の多発状況は安全性に対する市民の信頼を揺るがしかねないものです。

 第二は、15,16年度で8億円の黒字となりながらも、17年度は1億円の赤字予算を組み、引き続き乗客増対策に積極的に取り組まない消極的予算であるからです。1台の市バスが1日の1便の運行ごとに乗客を一人増やせば、年間で4億円の増収につながります。朝のラッシュ時でも昼間の運行でも一便当たり一人増やす努力は、絵に描いた餅ではありません。かねてから、我が党議員団は小型地域循環バスすなわちコミニティバスなどで従来は道路事情から大型バスが入れなかった地域などを廻る生活圏の密着した市民サービスを提供し乗客増対策を目指すべきと提言してきたところです。なお、「バス事業を考える会」の答申にもとづき生活支援路線での小型バスや乗合タクシーによる実証実験をするとしていますが、管理の受委託方式の枠組みの中で本当にうまくいくのでしょうか。かえって、タクシー労働者の低賃金を前提としたタクシー事業者に委託先を替えるだけになりかねません。結局、生活支援路線だけでなく路線バス事業そのものから撤退するきっかけになるのでないかと市民の心配の声があることを指摘しておきます。

 次に、地下鉄事業予算案については、賛成です。バリアフリー対策や平成17年度車両間転落防止装置の設置完了など安全対策やサービス向上について、一定の努力がなされています。経営健全化として運賃値上げが検討されいるようですが、これまで副市長は「慎重に判断する」と答弁されています。市民生活を直撃する地下鉄運賃値上げはけして行うべきではありません。国の地下鉄事業に対する補助制度の改善を求めるとともに安全対策や乗客サービスの向上を通じて乗客増対策を強める努力をすべきです。

 次に、水道事業及び下水道事業予算については、賛成です。上水道や下水道における高度処理や大規模雨水幹線の計画などについては、料金値上げにつながる過大な投資とならないよう指摘し、安心で安全な上下水道事業を推進されるよう強く求めておきます。同時に、他の政令市ではすべて実施している上下水道料金の福祉減免制度をつくり、市民の暮らしを守るべきことを強く求めます。

 次に、市立病院事業予算については、賛成です。今年度の予算も一般会計からの補助金5億円を減らし当初から赤字予算を組んでいますが、これでは医師や看護師の確保の努力に財源的な裏付けを欠き、手かせ足かせをはめることになりかねません。我が党も医師の32時間勤務の過密労働の改善を急ぐよう求めました。職員組合のアンケートにも示されたように「緊急体制でいつでも、お金のあるないを問わず誰でも、高度な医療でも安心してかかれる病院」という市民の要望に応えて、公的病院の役割を発揮していくことが求められています。そのためにも、補助金を全面的に回復して「低額な報酬で過密労働を強いられている」医師の実態の改善及び看護師の確保が急がれることを改めて強く指摘しておきます。また、北館の建て替えにあたっては、はじめに経済効率優先のPFI手法ありきではなく、市民の医療要求に応える公的病院の役割を発揮できるようにすべきと、合わせて指摘しておきます。

 以上、公営企業関連予算案について、わが党議員団の態度を述べまして私の討論とします。、同僚議員の賛同を求め、終わります。