京都市議会から選出されております、井上けんじでございます。私は、只今議題となっております認定第2号「2021年度京都府後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算」について質問します。保険給付を通じて被保険者の命と健康を守るという私たちの役割や活動は、一般的にもそうですが、特に今日のコロナ禍の元で、より一層発揮され強化されなければならないと思っています。しかし決算からはそのことがよく読み取れません。というより広域連合の性格や仕組みから言って、読み取れないのが当然かも知れません。限界もあります。しかしやはり、陽性者や亡くなられる方の中には、私たち後期高齢者医療保険の被保険者が含まれていることは確実だと思われます。保険者として、そこの議会として、せめて何ができるか、との立場からの質問です。これまでにもご答弁を頂いて参りました。重複しないように、また広域連合としての制約も踏まえながら、以下、お聞きします。
第一に、まず認識の問題です。現在、知事会等において、全数把握や感染症法上の位置付けの見直し・緩和の動きが伝えられておりますが、医療機関の逼迫との現状に合わせようとの対応だと思われます。確かに保健所や介護事業所も含め現場は大変です。しかし一方、京都市内では、自宅待機の青年が亡くなられたり、また私自身も自宅待機の市民から「症状が不安定だが保健所への電話が繋がらない」等のご相談を頂いたりもしています。京都市消防局によりますと、患者搬送時の待機時間が、最近の記録で2時間40分の事例もあったとのことであります。患者の要求、診断や治療の客観的必要性と医療機関の体制の現状とのギャップがあります。医療機関にとっても本来の役割を果たしたい、しかしもうこれ以上受け容れられない、ギリギリのところで大きなジレンマとなっています。
根本的には、国の低医療費政策、医師・看護師等専門家の養成と増員を怠り、また医療機関やベッドを減らす方針をこの期に及んでも正式には撤回していないという問題が横たわっています。今の時点では無為無策と言う状態が続いています。国が、自分たちが縮小してきた医療提供体制の現状のキャパシティに応じて、患者の医療へのアクセスをその範囲に留めようというのは本末転倒です。2年半前コロナが問題になって以来、厚労省は一貫して検査に対し消極的否定的な対応でしたが、「陽性者が増えるから」と言うのがその理由でした。これは増えるのではなく発見ができ、早期隔離早期治療へと結び付ける事ができるというのが勿論正解ですが、自分たちが縮小してきた医療提供体制を前提に対応しようとするからどうしても消極的になる。そうではなくて、やはり求められる医療の需要に応えられる、増員や現場の提供体制を拡充させなければならない。方針の転換が必要です。長時間過密緊迫労働など、関係者の労働条件の早急な改善が必要です。京都府も京都市も、保健所を減らしてきたのは周知の通りです。復活が求められます・当面、府において臨時的入院施設の確保やコントロールセンターの拡充が図られるべきだと考えます。連合長におかれましては、今日のコロナ拡大の要因やその対策、国や府の対応等についてのご見解は如何でしょうか。
一刻も早くコロナの収束を願う場合、その原因や対策、国や府の対策への評価等々について、どう考えるかは、広域連合としての制度の制約や限界とは関係がありません。そこで第二には、その考えを、その制約の中で、その範囲内であっても、どう具体化するかできるか、可能な方法の追求をすべきだという問題です。例えば、広域連合協議会の要望書において、今、私が申し上げましたような立場からの、医療提供体制拡充等の項目を加えて頂くようにご尽力願いたい。京都府に対し、各医療圏におけるベッド増床の計画をしっかり打ち立てるべきだとの働きかけもできると思います。本議会であれ、記者会見であれ、公的な場での意思表示や発信も可能です。高齢者施設等では、被保険者の割合が高いと考えられます。クラスターが現実に発生しています。せめて、憂慮している、府等において対策の強化をと発信されるだけでも、その影響は小さくはないと考えます。権限が限定されている中でも、いろいろできることは有ると考えます。可能な範囲とはいえ、コロナ禍から被保険者の命と健康を守るための、特に対外的な要望や申入れ等について、その可能性や方向性についてのお考えをお示し下さい。
第三に、保健事業について、審査意見書では「コロナ感染症の影響により」とあり、また医療協議会資料では「コロナの影響で通いの場の閉鎖等」とのことですが、保健事業決算は執行率が64.7%に留まっており、特に、保健事業・介護予防等一体的推進事業費では、予算の半分以上が不用額となっています。こういう時期だからこそ、健康診断や検査、予防や感染防止活動の一層の充実が求められると思います。健康診査受診率20%余りではまだまだ少ないと思われます。医療協議会の資料では「広域連合では保健師2名を配置」と書かれていますが、一層の増員・拡充を求めます。私は、公衆衛生、保健予防活動は国と自治体の責務であって、健診等を各医療保険者の役割に移したのには、元々から反対です。その費用を保険料で、即ち住民負担に転嫁させるものであって、また何よりも公的な責任と役割の後退です。自治体が、保健予防や健診、介護に責任を持ち、広域連合がそれに協力する一体的に取組むとした方がずっとスッキリすると、私は思いますが、これらの点は要望と意見表明に留めます。
以上、最初の二点についてご答弁願います。
第二質問
その上で、命と健康を守る上で、広域連合としての権限上の限界があることは勿論です。しかし前にも議論しましたが、保険給付を提供しなければならないという正に保険者としての役割を果たそうと思えば、その現物給付を裏付ける医療提供体制の整備が必要です。安心して受診できる医療機関とその窓口が必要です。一昨年度は給付費が減ったのは受診抑制が原因だと考えられるとの分析でした。では、今回の決算年度では、保険給付費の増について、その前年度の、コロナの影響と思われる受診抑制の反動ではないか、と分析されておられます。ならば、決算年度においては、受診抑制は回避された、安心して受診することができたとの評価でいいのでしょうか。審査意見書では、復元しつつある、見受けられるとのことですが、分析は如何でしょうか。
関係各機関への要望や所見の発信等は、何の制限もありません。問題は、何を要望し、どういう所見を持つか発信するか。今日の医療やコロナ感染症をめぐる動きや国の対応についての評価はどうか。これらも何の制限もありません。しかしその部分で、明らかに連合長と私との見解の違いがあります。私はそこを埋めたいし、埋まっている部分は、そこを大切にして一致して力を合わせてご一緒に対外的に発信したいと思います。一致する部分を広げたいために、今後とも議論は続けたい。