日本共産党京都市会議員団は、「地方創生と感染症対策に資するデジタル化の推進を求める意見書(案)」に反対の立場を表明しておりますので、その理由を2点にわたって述べ、討論します。
第一の理由は、感染症対策に必要な介護・看護分野の抜本的増員が必要にもかかわらず、人員基準を見直そうとしている、つまり少ない人員基準の導入を求めているからです。
コロナ第六波において、高齢者施設でクラスターが発生したにもかかわらず、入院が必要な方が入院できずに施設にとどまらざるをない、深刻な事態が起こりました。これを解決するには、まず病床削減計画を撤回し、充実に転じる必要があります。
また、介護の現場では処遇の低さから元々人手不足であり、感染拡大のなか、休まざるを得ない職員も相次いで生まれ、通常の介護体制維持も綱渡りです。ICT技術を導入することも必要ですが、そのことで人員不足は解消できません。医療機関や介護関連施設をはじめとする看護・介護現場の人員を抜本的に増やすために予算措置をすることこそ急務です。OECD諸国の中で大きく立ち遅れている人員基準の引き上げをはかってこそ日常医療・介護等の体制を安定化させ、感染症対策に備えることができます。
第二の理由は、国のすすめるデジタル化を無批判に推進しようとしているからです。
もとより、デジタル技術の発展と普及の成果を市民生活に生かし、利便性を向上させることは大切です。しかし、昨年通常国会での「デジタル改革関連法」の審議にみられるように、プライバシー権の侵害、利益誘導・官民癒着の拡大、住民サービスの後退など、指摘された問題点については現在も解決されていません。問題解決を図ることなく、国の方針を肯定し、推進しようとしていることは問題です。
とりわけ国および本市が進めようとしているデジタル化推進政策は、行政が持つ個人情報を成長戦略に利用することにあります。これは、これまで自治体として個人情報を「保護」してきた姿勢から、民間に「提供」する姿勢へと180度転換するものです。こうした変質は断じて認められません。
以上2点を述べて反対討論とします。