日本共産党京都市会議員団は、議第160号「地方独立行政法人京都市産業技術研究所第3期中期目標の策定について」反対の態度を表明していますので、私はその理由を述べて討論します。
この産業技術研究所第3期中期目標は、2022年4月1日から2026年3月31日までの今後4年間の法人に指示する中期目標を京都市が示すというものです。
この中期目標の議案に反対する一番の理由は、京都市の「行財政改革計画」を受け、産業技術研究所の定款第1条にある「京都のものづくり文化の優れた伝統を継承し、発展させ、新しい時代の感性豊かで先進的な産業技術を創造する」という役割を狭めるものとなっているからです。
前回の中期目標における基本的考え方は、『「いたずらに目先の数的競争原理に惑わされることなく,矜持を堅持しつつ,独特のものづくり文化の質の錬磨と創造的な展開にも努め」,得意技術・固有技術を伸ばし,京都になくてはならない,市民と一体となり市民に開かれた研究所を目指している』と明記されており、京都の特性である伝統地場産業や中小企業を支援することを位置づけていました。
ところが、今回の中期目標では、この記述は削除されています。これは、ものづくり文化を継承するための支援の位置づけを後退させるものです。
そして、行財政改革計画の推進の視点から運営も予算も縮小させようとしています。京都市として「地域企業の徹底的な下支え」が必要としながら、産業技術研究所の運営と予算を減らすことは下支えの役割を放棄していることと同じです。また、組織体制では、予算や人員の戦略的な配分とされており、そこには人員削減が含まれています。
さらに競争的資金等の外部資金の獲得や寄付金等支援していただく仕組みを構築するなどとしていますが、国や企業の思惑に誘導され、産業技術研究所の自主性が損なわれる危険性をはらんでいます。
加えて、支援すべき中小・小規模事業者には、設備機器や研修などの料金の値上げを示唆しています。
コロナ禍の中、京都の事業者の99.7%を占める中小企業の現状は、今後さらに厳しい状況となることが想定されます。今こそ京都市内中小企業を支えることを徹底し、その要望に応えて、公的研究機関の役割を果たす中期目標とすることを求めて討論とします。