本議案は、山科区で唯一の市営保育所、京都市鏡山保育所を廃止するものです。鏡山保育所は、昭和29年以来、山科区の保育行政におけるセーフティーネットとして重要な役割を担ってきました。民間保育園の平均より多くの障害児を受け入れており、実際に、民間保育園では保育士確保が困難で半日しか保育できないと言われた子も、最後は鏡山保育所が受け入れてきました。
民間移管先選定部会では、保護者から「障害のある子も、障害のない子も一緒になって良い保育がされている、鏡山保育所のような保育を継続してほしい」と発言がありました。長年多くの障害児を受け入れ、受け継がれてきた保育士の経験とチームワーク、そのノウハウがある市営保育所だからこそ、素晴らしい保育を実践してこられたのではないでしょうか。
お迎えに来られたお母さんに鏡山保育所について聞くと「園舎は老朽化しているけれど、鏡山保育所の保育はとってもいいんです」と言われた言葉は、鏡山保育所が施設の豪華さではない、保護者や子ども達にとってなくてはならない大切な存在なのだということを物語っています。お金では計れない市営保育所の存在価値、「公としての役割」を京都市自ら放棄しているのは大変残念であり、鏡山保育所の廃止は市民にとって京都市にとって大きな損失であると言わなければなりません。
そもそも、京都市は、市営保育所の「公としての役割について不断の検証を行い、民間移管に取り組む」と言われてきましたが、委員会でも議論したように当局は「検証」の内容は示せない「出せない」の一点張りで、移管すれば終わりと言わんばかりのあまりにも無責任な態度です。
また、議案審議では、理事者が「施設改修に対し、民間保育園には補助があるが公営には補助がない」ことを、市営保育所の廃止の理由とされました。しかし、公営の場合には、交付税措置されることからその理由自体も納得できません。
京都市は、この7年間、25か所あった市営保育所を12か所も廃止をしてきた上に、さらなる民間移管をすすめ、市営保育所のセーフティーネットとしての役割も放棄しようとしています。一方で、民間保育園に対しても行財政改革の名の下に、厳しい対応を迫ろうとしています。
子どもや市民にとって最善の利益を守るための公の役割は何なのか、それは「市営の責任を果たすことである」と、京都市に対して目を覚まさせるような議会の態度を示そうではありませんか。以上、同僚議員の皆様の賛同を求めて討論とします。