○くらた共子議員 京都市のくらた共子です。私は、新型コロナウイルス感染症対策に関わる2点、伺いたいと思います。
まず、ワクチンについて1点。国は65歳以上の高齢者について、4月12日からの接種実施と発表をしました。今、始まったワクチンは遺伝子情報の一部を接種し、免疫をつくるという新しい技術を活用しており、専門家から治験の積み重ねが必要と指摘があります。各自治体は、ワクチン接種の安全を確保するとともに、感染拡大防止を徹底する責任を果たさなければなりません。そこで、感染症対策に対する自治体の在り方を展望し、保健所の役割について伺います。関西の中で、和歌山県におかれては国の政策に誘導されることなく、保健所の統廃合をほとんど行われなかったと認識いたします。これにより、昨春、国内で初めて病院での感染者集団が発生した際にも、PCR検査を県独自の判断で大規模に実施し、早期の収束が図られてきました。
一方、保健所を集約した京都市などの政令市では、感染症対策を担当する部署等が困難を極め、感染経路を特定する積極的疫学調査が追いつかない状況も生じてきました。そこで、和歌山県知事でもある広域連合長に伺います。徹底した感染拡大防止こそ、今、求められる最大の経済対策であります。私は、公衆衛生の要となる保健所が地域医師会や住民と連携し、感染症対策を面的に進める役割が十分に発揮できること、保健師集団が地域で自在に活動できる条件を保持することが決定的であると考えます。パンデミック化で大規模なワクチン接種事業に取り組まなければならないことも含め、保健所機能を充実、強化することは、今後の感染症に備える上でも極めて重要と考えますが、いかがですか。
また、医療逼迫の改善が喫緊の課題であります。緊急事態宣言の解除に伴い、日本医師会からリバウンドの危機感が強く表明されました。地域の拠点病院においてコロナ病床の確保にシフトし、今も限りある人的体制の中で懸命な努力が行われています。
京都市においては、地方独立行政法人京都市立病院機構が、感染症病床に結核専用病床を転用し、さらに呼吸器内科病棟を閉鎖し、コロナ患者専用病床を確保しています。第3波の現在、コロナ病床の入院患者のほとんどが平均年齢80歳を超えます。介護依存度が高いことから、看護体制は7対1を4対1に引き上げています。さらに第2種感染症指定医療機関として、専門医師や看護師が民間病院等での感染症対策の指導に当たるなど、果たすべき役割は一層重要となっています。
そこで広域連合長に伺います。コロナ禍の下、自治体病院、公的医療機関が果たす役割と責任の重要性が明らかであります。これらについて、今後の関西広域救急医療連携計画において公立病院の統合、再編方針に対して、関西広域連合として国に対し見直しを求め、提言も行うとされたことは重要であります。ぜひ、公立病院の抜本的な拡充を求めるべきです。また、各医療機関で大幅な減収が生じたままです。しかし、これを理由として医療従事者の賃金がカットされることなどあってはなりません。医療の安全性と、医療従事者の処遇を保障し、住民の命守る責任が果たせるよう関西広域連合として緊急に減収補填の措置や一層の人的体制の強化、必要な施設整備、それを裏づける経済的支援を国に強力に求めていただきたいと思います。いかがですか。ひとまず、ここまでの答弁をお願いいたします。
○副議長(山本敏信) 仁坂広域連合長。
○広域連合長(仁坂吉伸) 飯泉委員が準備をしておりますので、そちらから答えていただきたいと思います。
○副議長(山本敏信) 飯泉委員。
○広域医療担当委員(飯泉嘉門) 全国知事会長でもありますので、ご回答をさせていただければと思います。
まずは、保健所機能の充実、強化について、ご質問をいただいております。そして先ほど、広域連合長の和歌山県の事例のお話が出ましたが、これは先般、NHKスペシャルの中でも、特に地方分権という大きな課題の中で、今回のコロナ禍、国の定めた方向と和歌山県は違う形を取り、そして保健所の統廃合、国が陣頭指揮を執る中で、和歌山はそうではなく積極的な疫学調査を始め、公衆衛生上保健所機能というのは大変重要なものである、この国の方針にいわば逆らう形で、その体制をとったがゆえに今回の見事な和歌山方式、これはアメリカのほうからも大変評価を受けたものでありました。
そうした観点からも、議員より、今、ご紹介があったところであります。ということで、感染症対策の中で中心的な役割、これを担っている保健所機能の強化につきましては、これまでも構成府県市におきまして重点的に強化を図りますとともに、積極的疫学調査、その実効性などを担保する法的措置や保健所の人的補強につきまして、関西広域連合としては繰り返し国に対し強く提言を行ったところであります。
これを受け、去る2月3日、保健所によります積極的疫学調査の規定など、感染拡大防止策の実効性を高める改正感染症法を成立するとともに、人的補強につきましては、保健所の恒常的な人員体制、その強化を図りますため保健師を令和3年度から2年間にかけ、現在約1,800名である者を2,700名へと5割増強できるように、地方財政措置が拡充をされたところであります。今後も引き続き、感染症対策の中核拠点であります保健所の機能の充実につきまして、必要な提言をタイムリーに行ってまいります。
次に、医療機関への支援について幾つかご質問をいただいております。
まずは公的公立病院、こちらをしっかりと充実すべきであると、このようなお話がございました。実は一昨年、突然、厚生労働省のほうから公的公立病院の再編統合が持ち出され、こちらにつきましては関西広域連合はもとよりのこと、全国知事会といたしましても直ちに緊急提言を行うとともに、国に対し協議を申し入れ、国、地方協議の場におきまして、この点につきましては当分の間、やはり現状の体制をしっかりと守ること、ただし、ダウンサイズを行いたいという病院に対しては、国がしっかりと財政支援を行う、こうした方向性が打ち出され、そして年が明け、コロナ禍に見舞われることとなりました。もし、あのまま公的公立病院を厚生労働省の方向に沿う形で再編統合を行っていれば、我が国はこのコロナ禍の戦い、まさに敗れていたのであろうと、このように考えるところであります。
そこで医療機関に対する継続的な経営、安定への支援につきましては、感染防止対策を図りながら適切な医療提供体制を確保する上で、医療現場への従事者への支援と合わせ、まさに重要な課題であると、このように認識をするところあります。
これまでも新型コロナウイルス感染症の患者さんを受け入れる医療機関への支援、また医療従事者の皆様方への危険手当の創設や、感染時の休業補償、経営が悪化をしている医療機関、薬局へのさらなる支援、そして支援の財源となります、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金補助対象の拡大や上限の引き上げなど、あらゆる機会を通じて国に対して積極的に提言を行ってきたところであり、今後とも医療関係者の皆様方はもとより、構成の府県市、その市民の皆様方の生命、そして健康の基盤となります医療機関の経営の安定に向け、しっかりと政策提言をタイムリーに行ってまいります。
○副議長(山本敏信) くらた共子議員。
○くらた共子議員 ご答弁をいただきました。
医療機関には、直接的な支援をできるだけ早く行うことが必要でございます。また、公衆衛生の再構築なくして自治体の本旨は発揮できません。ましてや地域の循環型経済の再構築もならないと、このことを指摘しておきます。
続きまして、社会的検査の必要性について伺います。
全国的に感染者数が減少傾向と言われますが、検査数も減るというのは問題です。兵庫県、大阪府、京都府で緊急事態宣言が解除される運びですが、コロナ感染症の収束の目途が立ったかと言えば立っていません。第3波を完全に収束させ、第4波を封じ込めるためには社会的検査を大規模に行う必要があります。私どもは、無症状者も対象に広く検査し感染者を早く発見し保護すること。同時に感染源も追跡していくことの必要性を一貫して求めてきました。厚生労働省は、2月4日、緊急事態宣言が出ている10都府県に対して、集中的に高齢者施設の職員へのPCR検査を行うよう通知し、都道府県や保健所を設置している市に対して実施計画を定めるよう求めました。
続いて9日、政府のコロナ対策分科会は、変異ウイルスの出現によって検査と感染経路調査の必要性が高まっていると指摘し、感染リスクの高い地域や集団に、無症状者にも広い範囲で繰り返し検査を行うよう求めました。これを受けて、京都市でも高齢者施設の職員と新規の入所者1万7,000人の検査を行うことを決めています。そして直近の25日、緊急事態宣言解除後のリバウンドを防ぐために、無症状の人を対象に無料のPCR検査の実施を行うと国が発表しました。そこで、関西広域連合として、今、クラスター感染が問題となっている医療機関や高齢者施設、感染源が特定される地域での社会的検査の取組を進めるために、社会的検査の費用を全額、直接国負担とするよう求める必要があります。いかがですか。お答えください。
また、感染者が発生した介護保険関連施設などで、必要に応じた行政検査が速やかに実施されない実態があります。そうした場合に、事業所に所属する医師等の判断により自主的な検査が実施されています。ところが、これらの検査費用を補填する仕組みがありません。医療体制の逼迫は大問題でありますから、感染拡大防止と感染者の重症化を防ぐことをどうしても行わなければなりません。介護関連事業者等からは検査費用は何とか補填してほしいという切実な要望です。ぜひ、この検査も本来でしたら国の責任で行われるべきものですから、検査費用は公費で補填することを関西広域連合として国に求め、実現を図っていただきたい、このことのご答弁を求めます。お願いいたします。
○副議長(山本敏信) 飯泉委員。
○広域医療担当委員(飯泉嘉門) 社会的検査の必要性についてご質問をいただいております。全国的には、医療機関また高齢者施設でクラスターが多発をしている、この状況を受けまして国から数度わたり、今、お話がありましたように感染者が多数発生をしている地域やクラスターが発生をしている地域におきましては、その機関、医療機関、高齢者施設などに勤務をする者、入院、入所者全員を対象に、いわば一斉定期的な検査の実施を行うよう示されているところであります。
この事務連絡を受け、各府県市におきましてはクラスターが発生した高齢者施設、医療機関や当該地域におきましては感染拡大防止のため、検査の範囲を拡大し、可能な限り幅広い検査を実施しているところであります。
また、特に緊急事態宣言の対象となっている特定都道府県とその管内の保健所設置市におきましては、高齢者施設の従事者の検査の集中的実施計画を策定し、遅くとも3月中までには実施をするよう求められているほか、内閣官房におきましては緊急事態宣言が、解除された地域や東京、大阪などの繁華街において幅広くPCR検査を行って感染状況をモニタリングし、感染再拡大を早期に探知をすることとしているところであります。
一方、感染拡大が見られない地域、あるいは地域の無症状者まで検査を広げることについては、検査前確率の低さを伴います感染拡大防止効果の低さ、あるいは偽陰性・擬陽性など検査制度そのものの限界、膨大な対象者の検査に要する人的、物的、あるいは資金的なコストなど、様々な課題が存在していることも事実であります。
なお、現在、高齢者施設等における自費検査につきましては、緊急包括支援交付金によります補助の対象とされているところでありまして、関西広域連合といたしましても、国交付金の継続的、そして安定的な確保について、これからもしっかりと提言を行ってまいります。
○副議長(山本敏信) くらた共子議員。
○くらた共子議員 もう1点要望だけ。高齢者の感染防護という意味では、介護保険制度における通所系、訪問系も大事であります。この点についてもぜひお願いいたします。以上です。