〇(井上けんじ君) よろしくお願いします。
京都市議会から選出いただいております井上けんじでございます。
新型コロナウイルスの影響が府民の皆さん、被保険者の皆さんの命と健康、暮らしと仕事に重くのしかかっています。コロナウイルスから被保険者の命と健康をいかに守るか、広域連合として何ができるか、できることがあるかないか、あるとすればたとえ僅かな可能性であっても、その道を追求すべきでないか、そういう角度と立場から質問をしたいと思います。
その前に、感染された方々、亡くなられた方々に対しまして、心からお見舞いとお悔やみを申し上げたいと存じます。
府内でこれまでに感染された方々は9,000人近く、亡くなられた人たちも150人近くにも及んでいます。高齢者の割合が高いと言われていますが、このうち被保険者の皆さんはそれぞれ何人ぐらいいらっしゃるのでしょうか。やや下火傾向だとは言われるものの、まだまだ予断を許しません。今回のコロナウイルスの特徴は、感染されてもすぐには症状が表に出ないことだと言われています。無症状のために本人も気がつかない。したがって、この特徴が拡大の一つの要因になっている。だとすれば、症状が出て、陽性が明らかになった人たちの周辺だけではなく、あらかじめの発見のための予防的な攻めの検査拡大が必要だということではないでしょうか。
世界的に見ても、日本の検査数は少な過ぎますし、後手後手の後追い的な検査では潜在的な拡大を防ぐことはできません。私はいまだに検査の意義を過小評価する論調は正しくないと考えます。特にリスクが高いと言われる高齢者の多い介護事業所や福祉施設、医療機関での社会的な検査が必要です。通所、入所、入院の高齢者の皆さんはもちろん、スタッフの検査も必要です。特に医療機関の医師、技師、職員等、日夜患者への治療、看護は精神的御苦労も含め、誠に苛酷な労働の毎日ですから、定期的な検査が必要だと思います。国もようやくその必要性を認めるようになったことは大きな前進です。
この2月4日付、厚労省の対策推進本部発出の都道府県等宛て、高齢者施設の従事者等の検査の徹底について(要請)との文書でも、検査とそのための実施計画策定をお願いしますとされております。
しかし一方で、緊急事態宣言はやむを得ないとしても、名前の公表など力ずくで押さえ込もうとするやり方は正しくないと考えます。受け入れたくても受け入れられない医療機関の現実もありますし、コロナ以外の治療でもいっぱいです。公表などは分断を生むだけです。
京都市消防局の救急事案でも、受入れ医療機関の選定に相当の時間がかかるなど搬送困難事例が多く発生しており、文字どおり命に関わる事態となっています。減収補填や前述のスタッフへの検査等、何よりも医療機関への支援が必要です。
ワクチンについては、時期や数量等まだまだ不明なことが多く、一刻も早い具体化が待たれますが、一方、目の前の課題を曖昧にすることはできません。全般的に国の予算はポストコロナに重点化され、現下の、今目の前の感染拡大防止策のための予算額が少ないのは問題だと思います。開業医の先生たちも含め、各医療機関での情報共有や連携が必要ですし、そのための体制構築はやはり行政の役割です。
府においても、使用可能なベッド数の公表が大幅に変更されるなど、その使用可能の裏づけであるドクターやその他の医療スタッフの現状把握も含め、いまだに現場の実態を正確に把握するのに手間取っておられると思えるようなありさまであります。
厚労省の基準では、京都府も新たにステージ4になったとされています。一般の患者さんの入院先が決まらない。入院が必要なのに在宅を余儀なくされ、命にも関わっている。医療機関は大幅な減収を余儀なくされ、最も最前線で奮闘されておられるスタッフの皆さんが、ただでさえ人員不足なのに、さらに長時間過密労働を強いられている苛酷な現状です。
私は、歴史的には医師をはじめ、医療スタッフ人数の抑制策、医療や介護に係る費用の抑制策、そして、保健所の統廃合など、地域から公衆衛生機能が後退させられてきた歴代政府の責任が大変大きく、こういう方向の根本的転換が必要だと考えますが、当面の感染拡大の防止に向け、以上のような取組が緊急に求められておると思います。
医療であれ、介護であれ、社会保障としての保険ですから、保険料や一部負担金の軽減が目指されるべきだと考えますが、その議論はさておいても、一方で社会保障や社会保険の役割発揮のためには、医療・介護の提供体制の充実が必要不可欠であることは言うまでもありません。府民、患者、被保険者の命と健康を守るために、医療提供の現場への支援が緊急に求められていると考えます。
そこで、質問は、本府広域連合として、被保険者の皆さんのコロナの罹患であったり、診断、治療、入院の必要性、その必要性の有無や程度、治療場所等々の現状について把握されておられるのかどうか、または把握できる仕組みやルートがあるのかどうか。
受診抑制の実態はどうか。
各医療機関の収入、支出や体制、人員や機能上の現状、実態はどうか。
また、福祉施設も種別によっては、通所、入所の皆さんの中で被保険者の占める割合が高い施設もあると思われます。現状はいかがでしょうか。あるいは連合長として、そもそもそういう現状把握の必要性への認識はいかがか。
府や各市町村への照会はどうか。
広域連合としての権限はなくとも、各自治体への連絡調整や依頼や要望提出、あるいは相談といった連携はどうか。レセプトからはどんな傾向が読み取れるのか。
国への要望はどうか。全国広域連合協議会に問題を投げかけてはどうか。被保険者の高齢者が救急車を要請しても受診できなかったり、入所施設で発熱して陽性が判明していても入院できずに施設にとどまっていらっしゃる等の現状について、連合長の認識はいかがでしょうか。広域連合の長として何ができるでしょうか。広域連合の性格や限界を承知した上でのことですが、ぜひ積極的な御答弁を求めまして質問とさせていただきます。よろしくお願いします。ありがとうございました。
〇議長(下村あきら君) 堀口広域連合長。
〇広域連合長(堀口文昭君) 井上議員の御質問にお答えいたします。
まず、新型コロナウイルス感染症に係る被保険者の方の状況把握等についてでございます。新型コロナウイルス感染症につきましては、御案内のとおり、新種の感染症として、いわゆる感染症法や特別措置法などで位置づけられまして、その予防や蔓延防止の観点から、議員御指摘の情報などにつきましては、法に基づきまして国や都道府県などで適切に収集、把握され、対策が講じられているものと存じております。
そのような中で、高齢者の方には特に配慮が必要であり、症状が急変するケースもありますことから、京都府におかれては、新型コロナウイルスに感染され、介護などの理由で自宅療養されている高齢者の方を対象に訪問診療を始められるとお聞きしているところでございます。
広域連合におきましては、これらの情報が提供される仕組みやルールはございませんけれども、保険者として必要な情報はレセブト情報などから得ているところでございます。
また、コロナ禍の中でも、全国的に療養給付費等の給付実績が前年同期と比較いたしまして、受診の控えといいますか、減少しております。本広域連合におきましても、令和2年12月末現在で2.9%、約60億円の減少となるなど、医療を必要とされている方が受診を控えられる実態がないか、懸念されるところでございます。
当広域連合におきましては、今年度から市町村への委託事業として実施しております高齢者の保健事業と介護予防との一体的実施の中で、通いの場などを活用し、重症化予防や健康状況不明者の状態把握などの取組を進めておりまして、状況に応じ、医療機関などへの受診勧奨などにつなげることとしているところでございます。
コロナ禍の中で事業実施は厳しい状況にございますけれども、来年度は一体化実施市町村が拡大する予定でございまして、広域連合におきましても、後期高齢者の皆さんの健康状態の把握がさらに進み、重症化予防につながるよう、これらの取組の支援を行っていくこととしているところでございます。
医療機関や福祉施設における被保険者の方の状況などについてでございますが、施設等の状況や入所者の健康状況などにつきましては、施設管理者が適切に状況把握をされているものと承知しており、京都府などと連携しながら対応いただいているものと考えております。
また、国に対しましては、コロナの中で負担が増大している医療機関などに対し、後期高齢者の方などが受診控えすることなく、安心して必要な医療が受けられるよう、体制の整備などの対策や必要な財政支援を講じるよう、全国広域連合協議会を通じまして要望しているところでございます。
いずれにいたしましても、広域連合といたしましては、京都府や市町村と連携しながら、後期高齢者の皆さんが必要なときに必要な医療サービスが安心して受けられるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇議長(下村あきら君) 井上議員。
〇(井上けんじ君) 御答弁、どうもありがとうございました。
第2質問をさせていただきますが、一般的な保険の仕組みからいえば、被保険者は保険料納付を要件として、保険事故相応の場合、保険者から保険給付を受ける。医療の場合、この給付を受けるためには医療提供体制の裏づけ、医療へのアクセスが前提であり、条件とならなければ給付を受けることができません。以前、介護保険の要支援を保険給付から外すというときに、介護保険の生みの親と言われた当時の局長、その後、大学の先生になられた方の言葉を借りますと、給付を受けられなくなれば、これは国家的詐欺だということになります。提供体制充実の責任と役割は、国や京都府等、普通地方公共団体であることはもちろん承知の上ですが、給付を保障する、アクセスを保障するというのはまさに保険者の責任であり、役割です。実態と必要に応じ、国や京都府などに物申すべきであります。少なくとも問題提起や協議等すべきだと思います。
また、広く予防や保健事業は本広域連合自体の活動方針の中に位置づけられておるわけですから、被保険者の疾病予防、罹患予防、健診受診率の向上、早期発見、早期治療等々に向けて、この点をもっと直接的に保険者として役割発揮していただくようにぜひ求めておきたいと思います。
言うまでもなく、特別地方公共団体といえども、住民の福祉増進を図ることを基本とすることについては、普通団体と何ら変わるところはないはずであります。名前のとおり医療に限定するとしても、その医療の範囲の中で、被保険者とその御家族の命と健康を守る。その裏づけである医療提供体制の充実、医療へのアクセス、いつでも誰でもどこでも安心して医療にかかれるそういう仕組みと体制の構築、被保険者への支援、保健事業・介護予防等の推進等々、引き続き御尽力いただきますように重ねて求めまして、第2質問とさせていただきます。一刻も早いコロナ終息を願って質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。
〇議長(下村あきら君) 堀口広域連合長。
〇広域連合長(堀口文昭君) 井上議員の再質問にお答えいたします。
これはもとより議員御承知のとおり、国内感染症予防につきましては、御案内のとおり、知事権限でございますし、それは当然市町村と共にこれに協力していくということでございますし、また、その前提として、おっしゃるように、そういう医療の提供体制ができていなければできないと。この議会の場でも、提供体制の地域差について何とか取り組めというような御議論もございました。これは医療の供給体制については、京都府のいわゆる領域だというふうに思いますけれども、私どもとしてもできる範囲でそういうことに努めてまいりたいというふうに考えております。