鈴木 とよこ
日本共産党議員団は、自民党、公明党、日本(にっぽん)維新の会、及び無所属議員による共同提案の「新型コロウイルス感染症の影響を踏まえた適切な介護報酬への改定を求める意見書」(案)には反対し、日本共産党議員団が提案した「介護サービス事業所の減収対策について、介護報酬の特例措置を中止し直接支援を求める意見書」(案)に賛成の立場を表明しておりますので、その理由を述べ、討論します。
厚生労働省が示した「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取り扱いについて{第12報}により、通所系サービスでは、一定のルールのもと、ケアプランに位置付けられている利用時間より2区分上位の請求ができるものです。そのため、利用者は、例えば4時間以上5時間未満の利用である場合、6時間以上7時間未満の利用料の支払いが生じます。利用者にしてみれば、これまでと同じように通所しているにも関わらず支払いが増えるわけであり、疑問の声が広がっています。事業所は事前に利用者に説明し同意を得る必要がありますが、非常に説明しにくい状況にあります。また、利用者は、お世話になっているから、同意せざるを得ないという声もあります。そのため利用者の負担増のことを考えると請求をしない事業所もあります。また、給付管理を行うケアマネジャーは利用者のプランの変更作業が増えることと合わせ、中には区分支給限度基準額を超え高い実費が生じる事態も起こっています。こうした状況から6月25日の社会保障審議会介護給付費分科会においても「利用していない時間の分まで自己負担として利用料が増えるのはおかしい」など意見も上がっています。
今回の介護報酬の臨時的措置は、新型コロナ禍によるサービスの利用控え、縮小による減収に加え、感染のリスクを避けるために普段より多くの手間、時間、衛生用品を投入しなくてはならないことに対する、減収対策として講じられているものです。しかし実際には、利用者負担増をもたらし、介護サービス事業所の現場にも混乱をもたらしているのです。
自民党、公明党、日本(にっぽん)維新の会、及び無所属議員による共同提案の意見書では、次期介護報酬改定において、利用者にも理解の得られる内容の報酬改定を求めています。しかしその限りでは、今般のような事態を解決することは困難です。また次期介護報酬改定がある4月まで待てるものではありません。必要なことは、わが党提案の意見書が提案している通り、利用者負担に跳ね返る措置をやめることと、事業者への直接支援です。介護報酬を抜本的に引き上げるとともに、それらを利用者の負担増に跳ね返らせないために、直接支援、財政支援を講じることこそ必要であることを申し述べ討論とします。