日本共産党市会議員団は、後期高齢者医療一部負担金の2割負担導入方針の撤回を求める意見書に賛成の立場を表明しておりますので、その理由を述べ、討論します。
75歳以上の医療費窓口負担に2割負担を導入する方針をめぐり、対象となる年収の範囲について年収200万円以上とすることで大筋合意と報道されています。年収200万円以上で約370万人が対象となる試算です。しかし、負担の対象をどうしようと、生活苦に加えてコロナ禍にも苦しむ高齢者に負担を押し付けようとしていることでは何も変わりません。新型コロナウイルスの感染拡大で高齢者の健康と生活への不安が高まっているときに、医療の負担増を持ち出す姿勢そのものが重大だと言わざるをえません。
高齢者になれば誰しもあちこち悪いところが出てくるものです。とりわけて75歳以上は、病気やけがをすることが多く複数の医療機関にかかったり、治療が長期化したりするケースが多いのが特徴です。たとえ、高額療養費制度で窓口負担の上限が定められていても、外来では6割の人は全ての受診月で負担が2倍になると厚労省が試算しています。多くの人にとっては負担の2倍化こそが真実であります。この2倍の負担を強いられる75歳以上の多くの方の収入は公的年金に限られている上、年金額も目減りしている実態があります。また75歳を過ぎても生活を維持させるために働かざるをえない人も少なくなく、家計を切り詰めて暮らしているのが、多くの人の厳しい現実です。現在の原則1割負担のもとでも、経済的理由で手遅れになった痛ましい事例が報告され、今もその実態は進行しています。
だからこそ、全国の高齢者の皆さんが、寒空もと痛切な思いを込めて厚労省の前で座り込みをし、医療・高齢者団体が6万の署名とともに、2割負担になれば受診抑制が起こると指摘し、さらに医師会なども、「高齢者から医療をさらに遠ざけ、経済的にも身体的にも大きなダメージになる」としているのです。
政府・与党が、財政が困難だと言いながら、大企業や富裕層を優遇する不公平税制には手をつけずに、高齢者の窓口負担を上げることは断じて許されません。
高齢者のいのちと健康を守るために、後期高齢者医療一部負担金の2割負担導入方針の撤回を求める意見書に、同僚議員の皆様に賛成していただくよう求めまして、わたくしの討論といたします。