日本共産党市会議員団は、議第135号京都市地球温暖化対策の一部を改正する条例の制定について、賛成の立場を表明しておりますので、議員団の提案も含めて討論をします。
今市会提案の条例改正は、「気候危機ともいえる時代に突入している」「豊かな地球環境を将来の世代に引き継ぐことができるかどうかの岐路に立っている」と明記する等、前文を大きく変更し、現条例より踏み込んでいます。そして、気候危機を乗り越えるために2050年二酸化炭素排出正味ゼロを掲げたことは評価できます。私は2050年目標を必ず達成していくうえで、更に取り組みを進める立場から提案をします。
1つには、二酸化炭素の数百倍から数千倍の温室効果があると言われている代替フロンなどの温室効果ガスの削減にむけた目標を新たに設定することです。IPCC「1.5℃特別報告」は、工業化以降の気温上昇を1.5℃以下に抑えられなければ、世界の人々、生態系及び生計に、より一層深刻な影響を与えるとして、「二酸化炭素排出量を2030年までに45%削減し、2050年までに正味ゼロを達成するとともに、メタンなどのCO2以外の排出量も大幅に削減される必要がある」と指摘しています。2030年までに40%削減というレベルでは、この目標達成は厳しく、今回の中間目標の決定にあたって「40%以上」とあえて表記している点を重く受け止め、世界的に求められる水準へと削減目標の一層の深掘りと、それを裏付ける実践が必要です。また、二酸化炭素排出正味ゼロを達成しても、温室効果ガスが残っていれば、気温は下がりませんから、さらなる努力が必要なことは明らかです。
2つ目はすべての局が同じ目的を共有し、全庁的に再生可能エネルギー100%をいつまでにどのように達成するのか、計画を示すことです。そのことが市民や事業者への啓発になり、再エネ推進の大きな力になります。京都市の立ち位置が問われています。特定事業者でもあり、改正条例を実現する立場の京都市において、市民に見える形での二酸化炭素削減計画を早急に策定する必要があります。その上で京都市が模範を示し、特定事業者や準特定事業者への指導や助言を強めるべきです。
3つ目は、京都市域にエネルギーを供給している最大の事業者である大阪ガスや、京都市が株主にもなっている関西電力には、具体的に再エネ導入計画書の策定を指導すべきということです。改正案の第6条の事業者の責務では、「本市の区域内にエネルギーを供給している事業者」にも、「再生エネルギーの利用拡大に資する措置を積極的に講じること」との規定があります。それならば、さらには、原発由来の電力については購入しないという思い切った決断をし、脱原発の立場に立つべきです。
4つ目に、どのように自然エネルギーの導入をしていくのか、具体策を示すことです。市長は7月に「指定都市自然エネルギー協議会」の会長として、自然エネルギーの電源構成比率について、「2030年までに少なくとも45%」を目指し、指定都市を含めた社会全体の取り組みを先導すると国に提言しました。提言を実行し、更に前倒しで取り組み、2030年温室効果ガス40%以上削減を必ず実行すべきです。
5つ目に、市民や事業者を含めての取り組みの推進には、財政支援が必要だということです。市長も自然エネルギー協議会からの国への提言で「普通交付税の基準財政需要額野さん定基礎として盛り込むように」と、自治体への財政支援の充実・強化を国に求めておられます。国に財政支援を求めると同時に、市の施策としての財政支援を強化すべきです。
最後に、温室効果ガス削減の基準年を現条例は1990年としていますが、改正条例では2013年に変更されています。しかし、京都議定書やIPCCも含めて、世界の大多数の基準は1990年です。日本政府は2013年に基準年を変更することで、二酸化炭素の削減数値を大きく見せようとしています。しかし、昨年12月に開かれたCOP25では、石炭火力発電を進める日本政府は、化石賞という不名誉な賞を受賞しました。このような国に追随するのではなく、気候危機宣言にふさわしい水準に国の目標を引き上げるように国をけん引することこそ必要です。地球温暖化に対する危機感を共有し、議会が京都市と一つになって取り組む決意を申し上げて賛成討論とします。