8月 関西広域連合議会定例会 新型コロナウイルス感染症対策について - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

8月 関西広域連合議会定例会 新型コロナウイルス感染症対策について

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8月 関西広域連合議会
くらた共子 議員
○くらた共子議員  京都市会のくらた共子です。私は、新型コロナウイルス感染症対策について、2点伺います。
 まず、1点目です。PCR検査と医療体制についてです。
 この間、全国知事会が提言を発表してまいりました。PCR検査については、より早く、正な価格で行うこと、検査の対象は濃厚接触者以外も含む幅広い調査とし、医療、介護、障害福祉施設の従事者等も検査対象に含め、行政検査とすること、これらを可能とするための検査機器の導入、試薬の供給、PCR検査センターの設置と運営、そして、これに関わる経費支援が必要としています。また、医療供給体制の拡充強化については、医療機関の経営悪化への戦略的対処を求めているということは大変重要です。
 ところが、この間の国の施策は、これらに対していずれも不十分で、新型コロナウイルス感染症の収束に向けた具体的な対策はいまだ示されているとは言えません。既にこれまで指摘がありましたが、日本のPCR検査は、人口比で見ますと、世界では159位の実績であること、つまり、クラスター感染対策に傾注した取組だけでは感染拡大を防止することにはならない、このことが実態であります。
 関西広域連合資料によりますと、これまで7月1日現在の感染経路の不明率は39.6%、これが8月15日では55%、そして本日示されました8月23日では48.1%となっておりますけれども、いずれも市中感染が進んでいるということは明らかであります。
一方、府県別の集計という大まかなデータだけでは、感染源を特定し、集中的な対策を取る上での不十分さがあります。例えば京都市では、8月25日現在で431人の感染が確認されておりますが、そのうち180人の感染経路が不明となっております。ここでも一層の行政区別、また、ピンポイントでの地域の絞り込みが必要と、私は指摘をしているところでございます。
 そこで、紹介をしたいと思います。8月6日、京都大学病院が提言を発表いたしました。市中感染下にあるという認識が必要であるとし、新規の感染者が続発している地域に集中的な検査を行い、症状のない方も含めた感染者を見つけ、そして保護をし、療養をしていただく、サーチ・アンド・アイソレート対策が必要だという提言でございます。しかも、時期的にこれができる最後のチャンスと捉えなければならない、厳しい提言でありました。関西広域連合として、これ以上の感染を防止し、そして封じ込めを成功させるために、検査の目的をこれまでの診断から防疫に切り替えること、大学研究機関等の協力も得て、PCR検査体制の抜本的な拡充を図り、感染震源地等への集中的、網羅的な検査が行える体制を取るよう、国に強力に求める必要があります。新たな課題となってきた新型インフルエンザとの判別も含め、地域にPCR検査と一体となった発熱外来の設置も必要です。いかがお考えでしょうか。
 同時に、重要者が増加傾向となれば医療現場の疲弊度は高まるばかりで、本日も大阪市の実態についてもご報告がございました。しかし、一方で自らも感染の機会が高まるというリスクを抱えながら、その医療現場の最前線で懸命に働く医療労働者の賃金や一時金、処遇が悪化するなどということはあってはならないことだと考えます。もともとぎりぎりの人員基準で回っている医療現場が持ちこたえられなくなれば、感染症対策の土台が崩れることになります。せめて医療機関については、前年実績に基づく減収補填と現場労働者への必要な手当の支給など、これらの喫緊の課題について、国へのより一層な強力な働きかけが必要ですけれども、どのようにお取り組みになるのかお答えください。
 以上、ご答弁を求めます。
○議長(大橋一功) 後藤田副委員。
○広域医療担当副委員(後藤田 博)  PCR検査と医療体制についてのご質問でございます。
 新型コロナウイルス感染症の検査医療体制に関しましては、関西広域連合のみならず、全国知事会においても累次の提言を行ってきたところであります。特にPCR検査につきましては、行政検査の場合、初診料など以外の個人負担はありませんが、社会経済活動の段階的な引上げに必要な、例えばJリーグなどのスポーツ選手、また、海外渡航のための陰性証明が必要な方の検査については、保険適用外のために数万円を負担する必要があります。行政検査につきましては、住んでいる地域や勤務先などでクラスターが発生するなど、感染リスクが高い場合にも可能となるなど、国は検査の対象を漸次拡大してきております。今後とも、より多くの国民が適切に検査を受けられるよう、広域連合としても、機会を捉え、国に対し、しっかりと求めてまいります。
 さらに、検査を実施する体制についてでありますが、現在、抗原検査の使用拡大や民間検査機関の活用、そして、唾液による検査手法の普及による検体採取可能箇所の拡大などが各府県において実施されており、検査件数も飛躍的に伸びてきているところではありますが、これをさらに拡大するためには、国の戦略的な支援が不可欠となっております。また、医療機関に対する支援については、コロナ患者の入院受入れを行う重点医療機関はもちろんでございますが、地域の通常の医療を維持するためにも、経営状況の厳しい医療機関に対する戦略的・継続的な支援が必要であり、広域連合としても引き続き国に強く求めてまいります。今後とも、全国知事会と緊密な連携の下、広域連合としても、国に対し、適時適切に提言を行い、感染拡大防止と社会経済活動の両立を目指して、必要な取組をしっかりと進めてまいります。
○議長(大橋一功) くらた共子議員。
○くらた共子議員  ご答弁ありがとうございました。何よりも、検査の目的を防疫にスイッチする、このことが大事であります。戦略的と述べられましたが、これは財源が必要でございます。実態に対して十分な財源をしっかりと確保する、そのことを保障させるという強力な要請を引き続きお願いをいたします。
 続きまして、感染症対策を想定した学校教育環境の整備について伺います。
 連合長は、東京一極集中の是正について、関西圏からの人口流出への対策として、教育や子育て環境の充実にも力を注ぎたいと述べてこられています。政府は、骨太方針で、子どもたちの学びを保障するため、少人数によるきめ細やかな指導体制の計画的な整備等について言及していますが、これは、教育のICT化とともに、今般の新型コロナウイルス感染症対策で3密を回避する教育条件を示す重要な中身でもあります。現に、警戒水準の高まりを想定した1クラス20人程度学級の取組が行われた地域では、先生から、一人一人の子どもに目が行き届き、子どもの学習に対する集中力の高まりが見られた、子どもからは、先生に分からないことが聞くことができてよかったなど、こうした声が聞かれ、少人数での学習の教育的効果が高く評価されています。
 私は、京都市内の小学校、中学校の視察を通して、実際に40人程度学級のクラス編制の下では、どんなに工夫をしようとも、フィジカルディスタンス、机と机の間隔を80センチ開けることも不可能な状況にあることを確認しています。小学校では、給食の配膳準備をする台を廊下に出して、少しでもスペースを大きくしようと大変な努力をしていますが、どうにもなりません。中学校では、手洗いの励行を促していますが、水道の蛇口も限られており、全員が手洗いを終えるには20分もかかります。こうした状況から、新型コロナのみならず、今後の新たな感染症に備えるとともに、子どもたちの学習環境を改善することは喫緊の課題です。関西広域連合として、国に対して、現在の1クラス40人学級の基準を20人程度に改善することを強く求めるべきですが、いかがですか。
 当面、公共施設の活用等も含め、1クラスを少人数化し、現在、非常勤講師等として働いている教師を正職員として雇用するとともに、新たな教員の増員を図り、教育環境の安全性を確保することを求めます。いかがですか。ご答弁をお願いします。
○議長(大橋一功)  井戸広域連合長。
○広域連合長(井戸敏三)   学校教育環境の整備についてのお尋ねでございます。
 本年5月の緊急事態宣言解除後、学校ではおおむね授業が再開されていますが、現在の40人学級では感染症予防のための児童生徒間の十分な距離を確保することが困難であることから、その対応が学校現場における課題となっている状況です。
 知事会や全国市長会、全国町村会は、この7月に、新しい時代の学びの環境整備に向けた緊急提言として、少人数編制を可能とする教員の確保を含めた学校教育環境の早急な整備について、国に要望を行いました。
 あわせまして、一方で、いじめですとか、不登校などの課題への対応や、教員の長時間勤務の解消など、本来の教育活動の充実を図る面からも少人数学級の拡充は必要という観点から、従前より国に対して、抜本的な定数改善や教員の加配配置の充実を求めてきている地域や団体もございます。
 このような意味で、少人数学級を実現していく方向として、積極的な働きかけを進めていくこと、感染症対策、教育活動の充実の双方から進めていくことが必要だと思われますが、一方で、教員の確保の問題と、それから物理的な学校の入れ物の確保の問題と、2つの課題がございます。直ちに一挙に全部が解決できるわけではありませんが、少なくとも計画的な解消を図るような方向づけをしていただくように、国に対して積極的に提案をしていきたいと考えておりますので、よろしくご指導をお願いしたいと思います。
○議長(大橋一功)  くらた共子議員。
○くらた共子議員  ご答弁ありがとうございました。学校教育の目的は、全人格の形成にあります。1クラス20人程度学級の実現には約10万人の教員の増員が必要と思います。しかし、このことは青年の新たな雇用の創出になります。施設整備工事は、公共事業として地元業者等への分割発注を徹底すれば、地域経済の活性化にもなる。豊かな教育環境をつくるということは、経済の面でも有効であります。このことを求めて、終わります。ありがとうございました。

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