医療機関の窓口で、医療費をいったん全額自己負担しなければならい資格者証(国保)交付世帯が、受診を控えることで、新型コロナウイルス感染症が拡大することを防止するために、今回の厚労省の取扱いを説明するよう求める請願の不採択について、とがし議員が討論を行いました。
その討論の内容は、以下のとおりです。
請願696号~733号「新型コロナウイルス感染症に係る被保険者資格証明書の取扱い」不採択に反対する討論
2020年7月6日 とがし豊
日本共産党京都市会議員団は、請願696号~733号「新型コロナウイルス感染症に係る被保険者資格証明書の取扱い」について、不採択することに反対し、採択を求める立場を表明しているので、その理由を申し述べます。
健康保険料滞納を理由に正規の保険証が渡されずに、国民健康保険被保険者資格証明書が交付されている世帯においては、病院などを受診した場合に、窓口で医療費をいったん全額自己負担しなければなりません。
滞納発生の一番の原因は、国民健康保険の保険料が被雇用者保険に比べて構造的に高過ぎることです。いったん全額自己負担しなければならないことが受診抑制となり重症化によって社会全体としても医療費の負担の増大を招きます。つまり、資格証明書の発行は、国民皆保険制度を掘り崩すものでしかないことを指摘しておきます。
横浜市や熊本市が、資格証明書の発行をやめ、すべての被保険者に健康保険証を交付する方針転換を行っていることは極めて重要です。
厚生労働省は2020年2月28日、「新型コロナウイルス感染症に係る帰国者・接触者外来の受診時における被保険者資格証明書の取り扱いについて」の通知を発出しました。この通知により、国民健康保険被保険者資格証明書を交付されている人が、新型コロナウイルス感染の疑いがあり帰国者・接触者外来を設置する保険医療機関を受診する場合や、帰国者・接触者外来において交付された処方箋に基づき保険薬局から療養の給付を受ける場合は、資格証明書を提示することで保険証を提示したときと同じ窓口負担割合で受診することができることになりました。
名古屋市では、この通知を受けて資格証明書交付世帯に対して、短期保険証を交付しました。請願審査の中で京都市は、「負担の公平性から資格証明書の交付はやむを得ない」と答弁する一方で、「医療を受ける必要が生じ、医療費の一時払いが困難との申し出があれば電話でも、相談いただける」とし、その際には短期保険証の発行を認める場合もあると答弁しました。ならば、最初から、短期保険証を発行して、体に変調をきたしたときに医療機関に安心してかかれるようにすることが最も合理的な感染予防対策ではないでしょうか。
本市においても、相談センターを経て帰国者・接触者外来でPCR検査をうけるルート以外に、一般の医療機関の医師が必要と認めれば医師会の運営するPCR検査センターにおいて検査をうけることができるように検査体制の充実が図られているところであり、その点からも、すべての被保険者に対して、保険証を交付すべきであります。
本請願は不採択ではなく、採択すべきであることを改めて述べて討論とします。
以上