○くらた共子議員 京都市のくらた共子です。
まず、第1点、広域観光振興と感染症対策について伺います。
武漢市発症の新型コロナウイルス感染症への対応について、国は当初全国で83カ所ある地方衛生研究所に機器を配り検査体制を構築するとしてきましたが、改めて、市民や旅行者等が身近なところで必要な検査を受けられる体制の重要性が明らかとなっています。また、専門外来の設置についても専門医の確保が前提でありまして、このことは医師体制の抜本的な充実なくしてはなし得ない課題であります。さらに、新型肺炎感染者を受け入れる医療機関の体制が求められているわけですけれども、新型肺炎感染者が入院できる医療施設は、基礎数、全国348カ所、病床数は約1,700カ所に留まっているとされてきました。通常は感染症以外の入院に使われているベッドを感染症用ベッドに転用するにしても、ソフト・ハード面での整備が必要であり、急な対応に追いつかないのが実態であります。
昨日、政府は保健所を経由しない検査体制と簡易検査の導入、また医療については医療保険の適用等について言及しておりますが早急な具体化が求められます。
そこで、お聞きします。広域計画に広域観光の振興を位置づける関西広域連合として、国の感染症対策をどのように評価されるでしょうか。また、関西圏における検査体制及び医療供給体制については、示された資料によりますと2月28日現在、1日当たりに検査可能な検体数は704、感染症ベッドは295、帰国者・接触者外来設置数は175とされています。これで十分なのかどうなのか、この点についてのご見解を伺いたいと思います。今後の対応も含めて、検疫・検査体制と医療供給体制の抜本的拡充に国が責任を果たすよう求めるべきと考えますがいかがですか。また、今後のインバウンド観光、広域観光に対する危機管理としての課題と対策をどのようにお考えになるかお答えください。
次に、経済影響への対策についてです。新型コロナウイルス感染症が中国国内で発生・拡大したことから入国制限措置がとられてきました。しかし、その判断時期や内容について、それが妥当であったのか危機管理の緩みも指摘をされています。現在、国内での感染者数が日々更新するもとで、国内外の観光客の減少、イベントの中止等、そして、全小中校の臨時休校が要請される事態であることは重大であります。このもとで各地で相次ぐ宿泊予約のキャンセルをはじめ、観光関連業界に留まらぬあらゆる分野や製造業ライン等への影響など、経済の安定性に深刻な打撃を与えることは看過できません。これについても全校一斉の休校、この動揺が全国に広がったのを受け、政府は2019年度の予算予備費を活用したさまざまな助成にも明言をしています。これについても実態に見合ったきめ細やかな支援が必要と考えます。そこで、緊急事態への対応にふさわしい経済対策となるよう、例えば、融資とともに利子補給制度の創設や中小企業の税負担を大幅軽減するなど生活と営業が守れる、そうした対策となるよう国にお求めになるべきと考えますがいかがですか。お答えください。
2点目の医療保険制度についても伺います。関西広域連合の第4期広域計画に、医療における安全・安心のネットワークが確立された関西とあります。ここでは医療資源の有機的な連携を掲げ、災害時の対応をはじめ2,000万人府民・県民の安全・安心な暮らしに寄り添うとしています。このことは、まさに今直面している新型コロナウイルス感染症に対する関西の防疫医療が広域医療として機能し得るのかどうか、この観点で試されていると考えます。不足しているさまざまな物資の供給も大変重要な課題ですが、感染症の拡大を防ぎ影響を最小化する対策を打たなければ、今後の関西におけるさまざまなイベントの開催への影響は必至であります。今、必要なことは弱体化してきた各自治体の防疫体制が万全なものとなるよう、その土台となる公衆衛生、集約・縮小されてきた保健所機能などの復活が必要ではないでしょうか。こうした対策に国が責任を果たすよう求めていただきたいと考えますがいかがですか。今回、経済的な効果というものと防疫医療体制は、表裏一体であることが改めて再認識されたのではないでしょうか。このことは指定感染症にとどまらず、一般の感染症においても同様と考えます。そこで、連合長に伺います。人々が健康に暮らし活動する、そのこと自体が都市の活性化には大きく貢献するものと私は考えますが、ご認識はいかがでしょうか。そういった意味でも疾病の早期発見と早期治療を保障する上で、全ての国民が必要な医療が受けられることを目的とした国民皆保険制度また憲法が定める国民の生存権や基本的人権の尊重、法の下の平等を保障するそうした意味でもこれらは大変すぐれた制度であると考えます。ですからこそ、こうしたものをより充実・発展させることが求められると考えるのですがいかがでしょうか。
ところが今般の感染症対策とも関連しますが、現政権下における全世代型社会保障制度改革は実質的な社会保障制度の解体であります。医療の分野においては誰もが安心して医療を受けることができる、こうした制度を解悪をする、こうした中身が盛り込まれています。この間、国民健康保険制度に対しては国庫負担率が引き下げられ、被保険者の保険料負担が耐えられない水準に達していることが重大な問題となっています。この件については、近畿2府4県の110市で構成されている近畿都市国民健康保険者協議会が、被保険者の保険料の負担緩和を図るため、国の公費投入の拡充、低所得者層や多子世帯に配慮した保険料及び医療費一部負担金の軽減措置の創設と拡充を求めております。関西広域連合としても今後、依存症対策や薬物乱用防止対策、在留外国人やインバウンドの増加に伴う外国人患者への対応が必要との認識を示していますが、臨床での対応が重要です。さきに述べた新型コロナウイルス感染症対策としても、早期に受診することが保障されてこそ感染拡大の防御となります。このことから、医療を必要とする方が必要に応じて医療が受けられるために、ぜひとも国民健康保険制度の被保険者負担の軽減を国に求め、子どもにかかる均等割分は早急に軽減することを求めていただきたい。
そして、今求められているのは新型コロナウイルス感染症対策として、低所得者層が加入するこの国民健康保険の一部負担金の減免制度を緊急に拡大する措置であります。このことも含めて、関西広域連合として国に求めていただきますようにこのことを求めます。いかがでしょうか。
○議長(菅谷寛志) 飯泉委員。
○広域医療担当委員(飯泉嘉門) くらた議員のご質問に順次お答えをさせていただきます。
まず、新型コロナウイルス感染症対応について、幾つかご質問をいただいております。
最初に、国の感染症対策、これにつきましての評価などについてであります。新型コロナウイルス感染症につきましては、感染が広がる中、国レベルでの対応が不可欠でありますため、去る2月5日、会長である私、関西広域連合の構成メンバーである総務常任委員会委員長の西脇知事さん、また社会保障常任委員会委員長である平井知事さんなどを構成メンバーとする全国知事会新型コロナウイルス緊急対策会議によりまして、感染拡大の防止に向けました検査・医療体制、その整備、またマスクや感染防具など必要な医療物資の確保、予備費の活用なども含めた機動的な財政出動を盛り込んだ緊急提言、こちらを発表し、政府与党及び官邸に対して要請活動を行ったところであります。これを受け、国におきましては2月13日、緊急対応策を決定するとともに、翌14日、予備費からの支出を閣議決定するなど全国知事会の提言を踏まえた対策がとられており、一定の評価がなされるものとこのように考えております。
関西広域連合における受け入れ体制につきましては、構成府県全体で44医療機関、271床の感染症病床を確保しているところであり、今後、稼働状況について情報共有をしっかりと図ってまいります。また、去る2月21日には、高市総務大臣及び加藤厚労大臣に対しまして、リアルタイムPCR検査機器の配備など検査体制の大幅な強化、また国が関与をする医療機関における積極的な外来・入院患者の受け入れなど医療体制の充実などを柱とする緊急提言、こちらを行いましたほか、共産党をはじめ各政党に対しましても与野党を問わず全国知事会としても要請活動を行っているところであります。
さらに25日には、同日国が打ち出しました基本方針に対しまして、本対策会議から感染者や経路による都道府県への情報共有提供また情報公開の統一基準の提示、広域的な観点からの感染増加地域における患者クラスター拡大防止対策など緊急声明を即座に発出するとともに、さらなる体制強化のために全都道府県知事を構成員とし、しかも総務省また厚労省、さらには全国市長会及び全国町村会が参画のもと対策本部に格上げをし設置をいたしたところであります。これに加え翌26日には、平井社会保障常任委員長から国・地方協議の場におきまして、国と地方のパートナーシップに基づく感染症対策の基本方針の実施、また感染症にかかる広域支援を行う医療版テック・フォースの設置などについて、意見・申し入れを行ったところであります。
今後、関西広域連合といたしましても、こうした全国知事会の動きと緊密に連携を図りながら、関西から感染拡大防止にかかる広域連携モデルを打ち立てるとの気概を持って臨んでまいります。
さらに、新たな対策の必要性についてであります。これまで構成団体におきましては、一般相談窓口の開設、帰国者・接触者相談センターや外来の設置、迅速な検査体制の確保などに取り組んできているところであります。フェーズが国内感染に変わった現時点におきましては、感染の流行を早期に収束をさせるため、患者クラスターが次のクラスターを生み出すことを防止をする徹底した対策を講じる必要があり、大阪府や徳島県におきましては、主催イベントの原則中止や延期を行うなど感染予防拡大防止に取り組んでいるところであります。
さらに、府民・県民の皆様方には、発生状況、患者病態などの臨床情報の提供、発熱等風邪症状が見られる場合の休暇の取得、外出の自粛の呼びかけ、引き続き正確でわかりやすい情報提供をし、冷静な対応を図っていただくよう促してまいりたいと存じます。
加えて、関西広域連合としては先手先手の対応がとれるよう、構成団体の対応状況を取りまとめ共有するとともに、その優良事例を横展開とするあらゆる手段を用い、感染拡大を踏み留めていきたいと考えております。
また、今後ワールドマスターズゲームズ2021関西をはじめとした、国際的イベントが開催予定をされており、感染症のウイルスや細菌が国内から流入するリスクが高まってくることから、新型コロナウイルスの対応をしっかりと検証し、感染症対策の強化に努めてまいります。
また、国民健康保険の関係についても関連してご質問をいただいております。国民健康保険は言うまでもなく被用者保険と比較をし被保険者の平均年齢が高く、医療費が高額であること、また年金生活者をはじめ所得の低い皆様方の保健者が多いことなど、その運営は厳しい状況にございます。このため国保事業に関する経費につきましては、言うまでもなく2分の1を公費が、そして2分の1を被保険者が保険料として負担することを基本としながらも、低所得者に対する保険料の軽減、また高額医療費の負担の緩和など負担の軽減を図っているところであります。
また、都道府県が国保財政運営の責任主体となる新制度へ移行を行ったその際に当たりましては、国保の基盤強化に関する国と地方協議の結果、平成27年度からは低所得者対策の強化、平成30年度からは制度執行時の激変緩和、また普通調整交付金の拡充など財政調整機能強化を図るため、総額3,400億円の公費拡充が行われました。制度移行後、加入者の平均年齢の上昇、また低所得者の増加など国保の抱える構造的な課題につきましては、引き続き対応する必要があると認識をいたしております。
また、子どもさんにかかる均等割保険料の軽減措置につきましても、全国知事会をはじめ地方からの提案が行われているところであり、現在、国において現行制度の趣旨、また国保財政に与える影響などを考慮しながら検討がなされているところであります。子どもにかかる均等割保険料のあり方につきましては、社会保障制度一体改革として医療保険制度間の公平性、また子育て支援の観点から国の責任においてその見直しが行われるべきと考えているところであり、国の動向をしっかりと見守ってまいります。国民健康保険は言うまでもなく国民皆保険制度最後のとりで、何としても持続可能な運営をしっかりと図られるよう全国知事会とも歩調を合わせながらしっかりと国に対し提言を行わせていただきます。
○議長(菅谷寛志) 西脇委員。
○広域観光・文化・スポーツ振興担当委員(西脇隆俊) 今後のインバウンド観光、広域観光に対する危機管理としての課題や対策について、お答を申し上げます。
グローバル社会の進展等によりまして、観光やビジネスを目的として多くの人々が世界中を移動する中で、今後も海外からの感染症のリスクは避けられないことから、今回の事案も踏まえまして、総合的に感染症対策を講じることが重要であると考えております。現在、今回の新型コロナウイルス感染症の影響によりまして観光客が減少し、関西の経済にも大きな打撃となっております。観光は極めて裾野の広い産業でございまして、特にインバウンドは今後も成長が見込まれるとともに、関西経済をけん引していく大きな力になるものと考えております。今後、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会、ワールドマスターズゲームズ2021関西、そして、2025年の大阪・関西万博ということで、外国人観光客が多く訪れられるイベントが控えておりますので、今回の対応の検証も踏まえて、水際対策、感染拡大防止策に加えまして、外国人観光客に対しましては感染症防止の知識や相談窓口、また受診可能な医療機関などの情報を適切に提供しながら、外国人観光客の誘客を図ってまいりたいと考えております。
○議長(菅谷寛志) 山野副委員。
○広域産業振興担当副委員(山野 謙) ご質問にお答えいたします。
新型コロナウイルス感染症の流行に伴う中小企業者に対する経済的な支援についてでありますが、広域連合の各構成府県市において、企業活動への影響等実態把握に努めつつ必要な施策が講じられているところでございます。広域産業振興局でも、各構成府県市の支援対策等の情報を集約しまして、中小企業等への随時発信を行いますとともに、地域経済への影響について情報収集、構成府県市間での情報共有を行っております。感染拡大の長期化も懸念される中、中小企業者も含め地域経済への影響等を注視しつつ、必要に応じて国に対しても対策が機能的に実施されるよう働きかけてまいりたいと考えております。
○議長(菅谷寛志) くらた共子議員。
○くらた共子議員 やはり、リスクマネジメントが本当に大事だと思います。そういった意味で、やはり社会の根底をしっかりとつくり出していくという意味で、関西広域連合としての英知を結集され、そして国に対して必要な提言を出していただきたい。このことを求めて終わります。