種苗法、種子法の意見書の討論 山本陽子 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

種苗法、種子法の意見書の討論 山本陽子

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終了本会議 討論
山本陽子議員
 日本共産党市会議員団は、我が党から提案しています『種苗法「改正」の中止を求める意見書』、および『種子法の復活を求める意見書』に賛成し、自民党議員団、公明党議員団、日本維新の会議員団と無所属議員から提案されています『種苗法改正等に伴う万全の対策を求める意見書』に反対していますので、議員団を代表して理由を述べ討論を行います。

 わが党が、種苗法の改正中止と種子法の復活を求める第一の理由は、日本の農業を大企業に明け渡し、日本の伝統的小規模家族経営の農業を破壊していく危険があるからです。
 今回の種苗法の改正は、優良品種が海外へ流出することを防止するためといいますが、2018年の種子法廃止と同時に成立した「農業競争力強化支援法」では都道府県などが開発した種子の知見を民間事業者に提供することを義務付けています。政府は「民間事業者とは、国内の企業だけではない」と国会で答弁していることから、日本の品種開発の知見を用い海外で品種登録することは可能となっています。その結果何が起こるか、カナダでは1998年に50年にわたって有機でナタネを栽培している農民に対して、モンサント社が「無断でモンサントの種を使用した」と訴える事件が起きました。隣の畑で栽培するモンサント社の遺伝子組み換えのナタネから花粉がとび、交雑したことを知らずに農民は種を使用して栽培していましたが、モンサント社が裁判に勝利しています。在来種・伝統種が品種改良され新品種として登録されれば、似た性質の在来種を栽培している農民までが新品種の育成者権の侵害と訴えられる可能性があります。みず菜をはじめ在来種である多くの京野菜に影響が及べば、京都の伝統的農業が壊滅してしまいます。

 そして第二に、地球規模での気候変動による食料不足が心配されているもとで、都道府県が主要農産物の開発・普及に責任を果たすためには、種子法の復活こそ必要であると考えます。コメなどの主食の種まで民間企業に知見をゆだね、生産・普及も民間企業の独占となっていけば、グローバル種子企業の独占に結び付き、種子の多様性や地域に適した栽培を妨げかねません。モンサント社は「種子を制するものは世界を制する」と言いました。種子法の廃止は食料自給率の低い日本においては食料安全保障の観点からも逆行しています。

 自民党、公明党、日本維新の会と無所属議員から提案されている意見書では、「知的財産の保護の追求にとどまらず、地域の農業振興に資するために必要な法改正」を求めていますが、法改正を容認すること自体が地域の農業振興を後退させる危険があります。
 また、「種子法の廃止後も、引き続き地方交付税措置を行うこと」とありますが、交付税措置の法的根拠がないもとで、種子法の復活なくして意味のある意見にはなっていません。だからこそ、国会においては、野党は共同して種子法復活法案を提案しています。

 最後に、種は、風や水、鳥や動物に運ばれて交雑し変化していきます。また、風土や気候によって、土地や農家が変われば多種多様に分岐します。命あるものは、環境に合わせて変化していくものであり、工業製品のようには規格を維持しにくいものです。自然や農業の営みを、一部民間大企業の儲けのために規制していくことはなじみません。私たちは、地域の風土に適した、安全で美味しい、栄養価の高い農産物の種子を未来に引き継いでいくためにも、農家に種の自家増殖を認め、「国連家族農業の10年」や「農民の権利宣言」でも謳われた小規模家族経営の農業の振興こそ、日本の農政の中核に位置付けるべきであり、そのことと逆行する種苗法改正は中止、そして種子法の復活を求めるものです。

 以上の理由により、『種苗法「改正」の中止を求める意見書』、および『種子法の復活を求める意見書』への賛同をもとめて、討論といたします。ありがとうございました。

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