日本共産党京都市会議員団は、議第285号・2019年度2月補正予算案について賛成の態度を表明しておりますので、その理由を述べます。
今回の補正予算案では、国の補正予算を活用し、道路・橋梁・河川の防災・減災対策や災害時に避難所となる学校施設の環境改善を主としており、賛成します。各学校施設の環境改善、賀茂大橋・松尾橋などの耐震補強・老朽化修繕、国道162号に面する斜面などの防災対策、七瀬川などの河川整備、桃山駅前広場等バリアフリー工事などについては速やかに行うように求めます。
就職氷河期世代活躍支援事業についても、切実な課題です。質疑の中で、京都市として対象となる世代へのアンケート・実態調査を考えているのか質したところ、「京都府・京都市・労働局・経済団体との連携の中で『今年4月以降に都道府県ごとのプラットホームをつくれ』となっているのでその中で議論・検討される」「実態の把握はしっかりやる」との答弁があったことは評価できます。
以上のような理由から、予算案全体としては賛成でありますが、改善すべき点があることから、以下、4点について指摘をします。
第1に、GIGAスクール構想のための構内LAN敷設のために24億円の予算を組んでいる点です。この構想の背景にある経済産業省の提言では、同じ教室にいても端末を使って一人一人が異なる教科や単元を学ぶ「個別最適化された学び」を目指すべき方向とし、「小中学生にパソコン一人一台環境」をつくるとしています。確かに、教育現場のITC環境の整備や、個々の子どもにあった学習をきちんと保障することは大切ですが、やはり、教育においては「共同の学び」が必要です。個性豊かな子どもたちが集団で学びあってこそ、考えが深まり、豊かな学習が保障できます。GIGAスクール構想が不登校対策になるなどとの答弁もありましたが、学校に来ることができない子どもに電子端末だけわたして何とかなるというのは全くの幻想であるといわざるを得ません。今、最も教育現場に必要とされているのは、一人一人の子どもたちに寄り添って「学び」を保障するために、教員やスールカウンセラー等を増やすなど、現場の体制の抜本的な拡充です。
第2に、大宮交通公園の再整備事業について、「パークPFI手法」を採用している点です。事業の主体が、京都市ではなく民間企業となるため、その事業者の利益と住民の要望が天秤にかけられてしまいます。大宮交通公園にゴーカートを継続してほしいという要望が通らないのも、事業者の利益を確保できるかどうかという点が判断基準になっているからであります。さらに、地元中小企業に工事が発注されるのかとただしたところ、「民民契約だから市の直接の関与は難しい」との答弁でした。住民の声を反映させるためにも、地域経済活性化に最大限寄与する公共事業にするためにも、PFI手法を改め、京都市が事業主体となって、地元企業に分離分割発注すべきです。
第3に、鴨川東岸線第三工区について、2億8百万円の予算を組んでいる点です。答弁では、総事業費は約70億円とのことです。渋滞解消のため戸のことですが、公共交通の充実などで車の総量を減らす対策こそ必要です。財政が厳しいといっているのですから、この事業は中止して、暮らしを応援する予算に転換することをもとめます。
第4に、繰越明許費補正の中に、京都市美術館再整備にかかわり旧事務棟をレストランに再整備する予算、地域リハビリテーション推進センター・こころの健康増進センター・児童福祉センターの一体化整備する予算が含まれている点です。京都市美術館・旧事務棟は多目的スペースとして市民展示スペースとしても活用可能な施設にされる予定でしたが、途中からレストラン計画とされました。本来の計画に立ち返るべきです。
以上4点の問題点を指摘したうえで、賛成討論とします。