日本共産党市会議員団は、「関西電力の金品授受問題の全容解明を求める意見書」を提案しております。同時に提案されている「関西電力の金品受領問題の全容解明を求める意見書」に対して、賛成の立場を表明しておりますので、日本共産党市会議員団を代表して討論をします。
先月、関西電力の幹部20人が、原発が立地する福井県高浜町の元助役から、約3億2000万円の金品を受け取っていたことが明らかになりました。
この問題の根底には、これまで国が進めてきたエネルギー政策にあります。
元助役が高浜町に入った1969年は、関西電力の高浜原発1号機の設置許可が下りています。そして、助役就任の1977年から退職した1987年の間に、高浜原発3・4号機の設置許可が1980年8月4日、3号機の運転開始が1985年1月17日、4号機の運転開始が同年6月5日に行われています。
元助役が就任していた10年間は原発の稼働に大きな役割を果たしてきました。2011年3月11日に東日本大震災が発生し、原子力政策が根本から問われる事態になりました。しかし、その後も「原発マネー」の還流は止まりませんでした。実際に明らかになっているものだけでも、元助役に3億円を提供した建設会社吉田開発に、関西電力から発注された工事は2013年度から2018年度の間に直接間接受注の合計が64億7千万円に上っています。売上高も約6倍に伸ばしています。電気料金を原資とする工事費の一部が、「原発マネー」として還流し、便宜供与があったのではないかとの疑惑があります。更に、原発利権に絡む「原発マネー」の還流については、高浜原発以外でも政治家にも及んでいることが様々指摘されてきており、今回のことは「氷山の一角に過ぎない」との声もあります。このような状況の中で、関電は2011年以降家庭向けの電気料金を2度にわたって値上げをしているのです。
安倍内閣は、2018年に原発を重要なベースロード電源と位置付けた第5次エネルギー基本計画を策定しました。その下で、原子力産業協会の会長は今年4月「エネルギー全体に占める原子力発電の比率の目標値20%~22%を達成するためには、今後10年程度で原発を30基程度稼働させる必要がある」と原発再稼働を強調しているのですから、許されるものではありません。
今回の問題は、これまで原発は国策として進められてきているのですから、国にも大きな責任があります。国の責任で原発立地を巡る構造的な問題を明らかにしなければ、信頼の回復はありません。安倍首相は「関電による第三者委員会の審査結果を待つ」との姿勢に終始しています。しかし、金品を受け取った当事者たちがつくる第三者委員会は第三者になりえません。国会に関係者を参考人招致し、交付金の使い道も含めて、不透明な「原発マネー」の還流や癒着の構造を徹底的に明らかにすることが必要です。日本共産党から提案しております「意見書」への同僚議員の賛同を強く求めまして私の討論を終わります。