日本共産党京都市会議員団は、「大学・専門学校の学費をまず半額にし、給付型奨学金の拡充を求める意見書案」を提案していますので、私は議員団を代表して賛成討論を行います。
労働者福祉中央協議会が行った学生の親へのアンケートでも、優先的に実現を望む項目のトップは「大学などの授業料の引き下げ」が72.4%と圧倒的です。この京都でも、「親の仕送りに頼れずアルバイトに追われ授業に出られない」「返せる見通しがなく奨学金を借りるのが怖い」「学費を払えず途中で退学せざるをえなくなった」などの声が後を絶ちません。高すぎる学費の引き下げは待ったなしの課題です。
ところが、先の国会で成立した「大学等修学支援法」は、文部科学大臣が国会で答弁したように「学費は下がらない」内容であり、法文にも「無償化」という文言は一切なく、「高等教育の無償化」と説明できるようなものではありません。
国会の参考人質疑では、労働者福祉中央協議会の花井圭子事務局長が「学費の値上がりを放置したままでの支援は、車の両輪として違う」、大内裕和中京大教授が「高等教育無償化の法案とは呼べない」と述べました。
我が党国会議員も指摘したように、大学等修学支援法で学費減免と給付型奨学金の支給対象となる学生は全体の1割にすぎず、9割の学生は取り残されたままです。しかも、進学後の成績等によっては支給が打ち切られる可能性さえあります。対象となる大学も、「産業界等の外部人材の理事への複数任命」など、教育活動の質ではなく、産業界のニーズに応える要件が課され、この方針に従わない大学等は支援対象から排除されるものとなっています。
修学支援は本来、大学で学ぶ意欲のある学生のための権利保障です。今こそ希望する全ての若者に充実した学生生活を保障するために、政治が責任を果たすべきではないでしょうか。
これ以上、学生、その家族の負担を増やさないために、日本共産党は「10年かけて国公私立大学の学費を半額にする」ことを提案しています。「国立大学への国の交付金を毎年1%程度(約160億円)ずつ増やす」「公立大学は毎年40億円程度助成を増やす」「私立大学は私学助成に学費値下げ用の緊急枠をつくり毎年900億円程度ずつ補助を引き上げる」など、大学への交付金や補助を毎年1100億円程度ずつ増やし、10年後には1兆1000億円の予算を組むことで、それは可能となります。
また、月額3万円の給付型奨学金を実現すれば、4年間で144万円となり、貸与奨学金の平均利用額である300万円の半分程度を給付型奨学金に置きかえることになります。これを現行の奨学金受給者の半分にあたる70万人の規模で実施すれば、予算規模は年間2500億円程度になります。
このように段階的に学費を値下げする計画こそ、日本政府が批准した国際人権規約の「高等教育の漸進的な無償教育導入」とも合致し、日本政府の国際公約を果たすことになるのではないでしょうか。欧米諸国はこの10年ほどの間に大学への研究開発費を3~5割増やし、韓国は2倍化、中国は4倍化し、学術論文数が飛躍的に増えています。欧米並みの大学予算を確保し、教育研究条件の整備をはかることが求められています。
最後に財源問題について述べます。安倍政権による修学支援の財源は消費税10%への増税が前提とされています。ならば就学支援をさらに拡大するためには、さらなる消費税増税ということになるのではありませんか。経済的理由により修学が困難な学生を支援すると言いながら、低所得世帯ほど負担の重い消費税を財源にするなど許されません。支援対象とならない学生にとっては負担が増えるだけではありませんか。日本共産党は、教育費負担軽減の財源は、消費税を増税しなくても生み出せることを明らかにしてきました。
一つは「税金は負担能力に応じて」の原則に立ち、アベノミクスで大儲けの大企業や富裕層に税負担を求めることです。研究開発減税など大企業優遇税制を是正し、大企業が中堅企業・中小企業並みの税負担をするだけで4兆円もの新たな財源が生まれます。また、富裕層に対し、所得税の最高税率を引き上げ、高額の株取引にかかる税金をヨーロッパ並みにすれば3.1兆円の財源が生まれます。
もう一つは、税金の使い道を変えることです。原因不明の墜落事故を起こし大問題となっているF35戦闘機(1機100億円以上)など、アメリカに言われるまま高額の兵器・武器を爆買いすることをやめ、さらに、アメリカに言われてもいない米軍への思いやり予算(毎年数千億円)を削減すれば、約4000億円は削減できます。こういう道に進んでこそ、大学の授業料半額化や給付型奨学金の抜本拡充への展望が開けます。
実体の伴わない高等教育無償化を口実に消費税を増税することはやめ、全ての学生の学ぶ権利を保障する、真の意味での高等教育無償化実現のため、大学のまち・学生のまち京都から、意見書を採択すべきことを求め、私の討論と致します。