都市公園条例の改正案についての討論 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

都市公園条例の改正案についての討論

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終了本会議討論
井上けんじ議員
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(井上議員の討論は、50:52からです)

 日本共産党市会議員団は、議第112号都市公園条例一部改正案について反対しておりますので、私は、議員団を代表して、以下、その理由を述べ、討論します。
 今回の条例改正案の最大の特徴は、パークPFIと呼ばれる「公募設置管理制度」を、今後、本市の公園にも適用していこうとするものであります。昨年、国おいて、都市公園法の改正によって導入された制度を本市でも具体化しようとするものであります。議案説明書では、市の財政負担の軽減、民間の創意工夫によるサービスレベルの向上、利用者の利便性向上とのメリットがある、と書かれています。都市公園法改正を説明する政府の文書でも、同様のことが書かれています。

 そこでまず、反対の理由の第一に、これらの説明に反論します。
 財政負担軽減とのことですが、今回の法改正や条例改正案は、事業者が、便益施設での収益をその他の公園施設の整備等に充て、市の整備費節減が想定されています。一方、例えば現行の円山公園などのように、園内に飲食店や売店等の設置を許可して営業を認め、使用料を徴収するというのは、従来からある手法です。改正案も現行従来手法も、売り上げと利益が同じだと想定すると、事業者にとっては公園施設の整備に要する費用だけ使用料を軽減してもらいたいとの動機が働きますから、これは結局、現行従来手法であれ、今回提案のPFIであれ、要するに使用料次第ということになって、PFI導入の積極的な根拠になりうるものではありません。更に言えば、一般に、公園や動物園、図書館や文化施設、等々、市民の福祉増進のための施設運営や環境整備は、収入より支出が多いのはどこでもそうですし、まして、例えば街路樹の剪定事業に収入があるわけではないのも当たり前で、それぞれ自治体として当然の仕事であります。
 民間の創意工夫によるサービスレベルの向上、利用者の利便性向上との理由は、もはや反論するまでもありません。今まで通り市が公園施設を整備すれば、なぜ創意工夫が発揮できないのでしょうか、なぜサービスや利便性の向上ができないのでしょうか。公務としての矜持はないのですか。万一、民間に学ぶことがあるとすれば、素直に学んで市として生かしていけば、いだけではありませんか。いずれも、PFIを積極的に導入する根拠にはなりえないもので、とってつけた理由だといわなければなりません。

 第二に、では政府の本当の狙いは何でしょうか。ここ数年の政府の方針を読んでみますと、骨太方針をはじめ、日本再興戦略、未来投資戦略、産業競争力の強化に関する実行計画、民間資金等活用事業推進室の方針、更には内閣府・総務省などの独自の研究会報告、方針等々、専ら成長戦略とか稼ぐとか、大企業サイドのことばかりが書かれています。行政や自治体の分野では、「行政と民間の連携強化、公共部門を民間に開放、民間企業に大きな市場と国際競争力強化のチャンス、民間の提案を活いかし、民間投資を喚起する事業へとPFI の抜本的な転換を図る、PFI手法の推進を通じて新たな事業機会の創出、10年間でPFIの事業規模を21兆円に拡大」等々の言葉が躍り、自治体にハッパをかけています。私は、一連の動きを自治体の民間化と捉えていましたが、最近はこれらの文書自体が、自治体の市場化・産業化等と言っています。
 また今回の公園法改正と合わせ、「都市開発資金の貸し付けに関する法律」が改正され、事業者に資金貸付を行う地方公共団体に対し、国が低利で資金貸付を行うことができるようになるとされています。建ぺい率の10%上乗せ緩和や管理許可期間の10年から20年への延長、看板・広告塔の設置可能等、特例措置も適用されるなど、至れり尽くせりの出血大サービスで、要するにこれらの方針は、本来、福祉増進のための地方自治体の施設や事業を、民間事業者の営利の対象として、その場や機会を提供しようとするものに他なりません。市長も、常々、民間にできることは民間にと言われますが、では民間に何がどこまでできて何がどこからはできないのでしょうか。その基準は何ですか。歯止めがなく、際限がありません。政府の意向を受けて、すでに本市でも民間化市場化産業化が進められています。今回の条例改正案も、こういう流れの一環であることが、賛成できない最大の理由です。公共サービスは、広く市民の基本的人権の保障を担うものであり、低廉で良質なサービスの提供、専門性や、情報公開・民主制、事業の安定性等々の観点から、公けこそがその公共的役割を発揮すべきであると考えます。憲法尊重擁護義務を持ち全体の奉仕者である公務員の皆さんに担って頂いてこそ、住民福祉の増進という自治体本来の役割が発揮できるものであると確信します。

 最後に、手続きの問題として、今回の改正案が可決されれば、この条例を、具体的にどの公園に適用するかどうかについては、議会の関与は要らないとの委員会での答弁でありました。指定管理者制度であれ付属機関の設置廃止、市民税控除対象NPOに対する寄付金条例の改正等、個々の適用についても、それぞれ議会の関与が要件とされているのに比べ、大きな問題であると考えます。これも賛成できない理由のひとつであります。
 以上、反対討論とします。ご静聴有難うございました。

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