日本共産党議員団は、市長が提案している「京都市旅館業法の施行及び旅館業の適正な運営を確保するための措置に関する条例の一部改正」に対する修正案に賛成し、原案に反対するとの態度を表明しておりますので、議員団を代表し討論を行います。
市長原案は、ホテル・旅館・簡易宿所への原則、人の常駐を規定していますが、一方で、国の方針に沿った規制緩和で、住民生活に更なる悪影響を及ぼす問題点があります。簡易宿所については、定員9人以下1室の1組に限る規模の簡易宿所の場合、「施設外玄関帳場」を認め、また、「京町家」については、「施設外玄関帳場」さえ免除し、管理者不在を容認するとしています。
このことは、ホテル・旅館であれば1室でも人の常駐が必要としている条例の規定と根本的に矛盾します。そもそも、簡易宿所における「施設外玄関帳場」の設置については、国が通知で自治体に「規制緩和の路線に合わせてほしい」とお願いしただけのもので、法的拘束力を持たないことは京都市が認めているとおりであります。それにもかかわらず、本会議質問で、「施設外玄関帳場を一切認めないとすれば過剰な規制とみなされる」と答弁するなど、市長自ら、「人の常駐を原則とする」条例の水準を引き下げているのであり、容認できません。東京都荒川区など、他都市では「管理者常駐」を義務付けた旅館業関係条例を法改正後も改正せず、規制を維持している事実がありますから、京都市が「過剰な規制」を理由とすることの根拠がありません。しかも、京都市資料によりますと、人の常駐の例外となる9人以下1室1組の対象となる簡易宿所は、直近の100件の許可施設のうち、京町家を含む戸建て住宅は64件であることから、100分の64件が対象施設となる傾向です。また、4月末での簡易宿所許可件数2366件のうち京町家が500件でありますから、京都市の見込みと合わせ、現時点で約1500件が常駐者不在の簡易宿所の対象となることが分かりました。これでは、大問題となった東山区での家主不在型の簡易宿所における火災事案の教訓を活かして「管理者常駐を義務付けた」とした委員会答弁の真偽が問われ、市民が求める宿泊者と近隣住民の生命を守る簡易宿所のあり方に逆行するものと言わざるを得ません。 また、「駆けつけ要件」では、宿泊者と住民の安全が守れません。市長が「10分以内の駆けつけ」で要件を厳格化したとしていますが、これでは、火災発生時など宿泊者と近隣住民の安全を守る責任は果たせません。
今、求められているのは、何をおいても、宿泊者と市民生活の安全を守ることです。京都市は1軒1軒の宿泊施設が、市民生活と調和し、宿泊者が真に安心して利用できる施設であるために、施設の形態や規模の大小にかかわらず、全ての宿泊施設に人の常駐を義務づけるべきです。「京町家」も例外とせず、人の常駐を義務付けて、その要件を満たさない宿泊施設は一切、認めないとする規制こそ必要です。また、その安全性が担保されるよう、しっかりと監視する体制をつくるべきです。
最後に、京都市は、これまでの「宿泊施設拡充・誘致方針」も見直し、市内における宿泊施設数と宿泊室数をコントロールし、市民生活と宿泊施設が調和する良好な都市環境をつくるための責任を果たすべきであることを指摘し、私の討論といたします。ご清聴ありがとうございました。