赤阪仁議員の代表質問 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

赤阪仁議員の代表質問

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本会議代表質問
赤阪仁議員
 伏見区選出の赤阪仁です。日本共産党京都市会議員団を代表して、門川市長、および関係理事者に質問します。
 京都市は、2015年秋、国の「地方創生総合戦略」の京都版として「まち・ひと・しごと・こころ京都創生総合戦略」を策定し、東京一極集中の是正、人口減少対策を口実に「稼ぐ力」を持った京都市を目指し、新たな規制緩和と再開発、公共施設の集約化と売却活用、行政サービスの削減などを打ち出しました。
 さらに、2015年策定の「京プラン」後期実施計画では、より踏み込んで「民間活力を徹底的に活かすための環境整備」として「多様な民間投資を促進するための柔軟な都市計画手法の活用」を明記。大企業が自由に活躍できるよう京都市が全面協力する方向が打ち出され、市民の財産である公共施設についても「経営資源」と位置づけ、施設の統廃合などに伴い、役割を終えた土地などの貸付や売却」をすすめる、として学校跡地や市営住宅跡地を企業の利益のために差し出す計画が進められています。
自治体の公的責任の放棄、区役所窓口の民営化はやめよ 
 最初に、自治体業務の民営化について質問します。
 第一は、市長は「民営化した方が効率的で良い」と述べられていますが、そもそも自治体の業務は「市民の命とくらしを守る」という自治体の本旨に沿って公益性が重視される公務です。営利を目的としている民間業者にゆだねて効率化や人員削減・非正規化をはかることはふさわしくない業務が多数であります。自治体業務の民間委託化の問題点はいくつかの事例でも明らかです。
 まず、市立病院「青い鳥保育園」の問題です。京都市は、京都市立市民病院内保育所の「青いとり保育園」の運営コストを下げるために、民間企業による委託契約に切り替えました。この間、大阪に本社を置く全国ネットの企業が安価で運営することとなりましたが、コスト削減で長年保育園を支えてきた保育士が全員総入れ替えさせられました。
 保育園で子どもが安心して育つには、子どもと保護者、保育士の3者の信頼関係があることが重要です。保育士全員総入れ替えなどありえません。しかし、「青い鳥保育園」では、利益を追求する民間企業への委託によって普通ではありえないことが引き起こされたもので、一番の被害者は子どもです。しかも4年の委託契約なので、保育士の雇用の継続も保障されず、また同じ事が起きる可能性があります。現在、解雇された保育士の皆さんは京都市を相手取り裁判中です。
 また、京都市では、2013年の台風18号によって、民間委託していた伏見区の小栗栖排水機場が、一時停止し大規模な浸水被害が発生してしまいました。検証委員会は「原因は、排水機場の委託業者職員の人為的ミスによるもの」「管理者として京都市の責任を明確に」と検証結果を示しました。「防災対策という公務の仕事を業者任せにせず、京都市が責任もって管理することが必要」というのが教訓ではなかったでしょうか。例に挙げた事態からも、公務の民営化により、住民サービスの後退を招く結果となったという認識はありますか。
(植村副市長)限られた財源、人的資源を効率的かつ効果的に活用していく観点から、委託化など民間活力の積極的な活用に取り組んでいる。委託化等の実施については、既に民間にそのノウハウがあるかどうか、経済性、効率性、行政サービスの確保、行政責任の確保など、種々の観点から十分検証した上で行っており、住民サービスの後退を招いているという認識はない。
 今後とも「民間にできることは民間に」を基本に、積極的に民間活力を活用していく。
 第二に、京都市は区役所の窓口業務を民間会社へ外部委託するために、「区役所の業務実態調査や基本計画案の作成」を予算化しました。その内容は、各区役所が行っている市民データー入力や市民税や国保料、介護保険料の納付書などの郵便による請求処理事務などを集約する事務センター(仮称)の創設の調査・検討を「富士通総研(本社・東京都)」に委託、併せて、現行の区役所の窓口での手続にかかる時間の調査をパソナ(本社・東京都)に業務委託し、作業をスタートさせました。党議員団は、先行実施している自治体を調査しましたが、窓口業務の外部委託によって、自治体の機能と役割の後退につながる事態が起きています。
 公共サービスは、他のサービス業の例に漏れず、コストに占める人件費の割合が高いのは当然です。民間会社が、少ない委託費の中で利益追求に走れば、人件費を切り詰めざるをえませんし、京都市がめざす「正規雇用の拡大」とは裏腹に、官製ワーキングプアと呼ばれる非正規労働者を増やす逆の結果になるのは火を見るよりも明らかです。
 民間委託が検討されている区役所の窓口業務は市民と行政を結ぶ最前線であり、公的責任が強く求められる部署です。市民窓口で扱う仕事は、市民の個人情報そのものであり、その取り扱いには高い専門性と人権意識が必要とされます。また、市民窓口の職員には、寄せられた相談内容に含まれる困難な問題を、専門性をいかしてキャッチし、市民に寄り添い生活と権利を保障する施策につなげて改善するという重要な役割があります。市長、窓口業務の民間委託によって、自治体の大事な役割が損なわれると考えないのでしょうか。
 国は、骨太方針(2015)で「窓口業務など・・大胆に適正な外部委託を拡大する」として20の窓口業務の外部委託を可能とし、公的責任のさらなる後退が危惧されます。京都市は、国の方向に歩調を合わせず、主体性を発揮し、問題点山積みの窓口業務の民間委託は見直し、市職員による窓口の直営でこそ、市民サービスの向上、住民福祉向上の役割を果たすことができると考えますがいかがですか。
(村上副市長)マイナンバー制度の導入、戸籍のコンピュータ化の完了などにより、様々な届出をできるだけ一つの窓口で対応する総合受付窓口の創設による窓口サービスの向上や業務の効率化に向けた検討を行っている。市民の皆様からは、個人情報の取り扱いを懸念する声も聞いている。
 個人情報については、あらゆる行政運営において、直営か、民間委託かに係わらず、適切な取扱が前提である。他都市の事例なども参考としつつつ、市民サービスの向上をはかり、持続可能な行財政を確立するため、あらゆる可能性を排除せず、効率的な執行体制を模索している。
学校跡地は市民の財産、民間企業の儲けに差し出すな 
 次に、市民の共有財産である公有地、学校跡地の活用の在り方について質問します。
 京都市は、国の方針に従って自治体の収益を上げる目的で、学校跡地等の公有地を民間企業に差し出すことを進めています。元清水小学校をNTT都市開発株式会社に、また元貞教小学校跡地については学校法人への長期貸付が行われました。元立誠小学校についてもホテル建設を前提に計画の具体化が図られようとしていますが、現在これらの跡地活用と該当地域の地域活動をめぐる様々な問題が顕在化しています。議員団として、学校統廃合された地域の皆さんの声をお聞きしました。学校法人が跡地活用する東山区の元貞教小学校では、地元の皆さんが「これまで行ってきた自治会活動をそのまま続けられるようにしてほしい。グラウンドの80mトラックは残す、体育館も自由に使っていいと約束されていたのに、4月に大学が開校したら、約束は守られなかった」と訴えられています。他の地域でも「夏祭りや運動会が出来なくなった」「要望事項がどう生かされているかの情報はなかった」等々小学校の持つ地域の自治活動拠点機能が大きく後退している実態と不安と疑問の声が次々と出されました。こうした地元住民の不安の声について市長はどのように認識されていますか。お答えください。
 京都市は平成23年11月に「学校跡地活用の今後の進め方方針」を発表し、民間企業への小学校跡地開発の提供が行われるようにしたことに続いて、平成27年6月に「事業者登録制度」を導入しました。今後小学校跡地活用が検討されている対象校が市内中心部に15校ありますが、「事業者登録制度」は、学校跡地に登録している事業者の提案内容はもとより、登録事業者の数さえも市民に知らせず、非公開で事業者選定を行っています。民間企業の提案・企画を優先させているではありませんか。だからこそ先ほど述べたような不安の声が上がっているのではありませんか。住民より事業者の利益を優先する「事業者登録制度」は撤廃することを求めますが、いかがですか。
(市長)学校跡地については、民間等事業者による活用を行う場合でも、自治活動の拠点としての機能に最大限配慮するよう求めている。他都市では、財源確保のため学校跡地を売却する例も多い。平成27年6月に導入した「事業者登録制度」も早い段階から、事業者の提案概要を知らせ、地域の意向を聞き、事業者に周知することで、跡地活用の計画に、地域の意向を的確に反映できる制度となっている。「住民よりも事業者の利益を優先する」とは制度の趣旨を全く理解していないものと言わざるを得ない。
美術館モニュメント切断問題、「確認書」の反故は許されない
 次に、京都市美術館の建て替え問題について質問します。
 京都市は、8月8日、京都市美術館再整備工事に伴い、移設を計画していた屋外彫刻モニュメントについて、地上部分を分断する工事を強行しました。作家と関係者は、『作家の了承もなく、作品を切り倒す工事は、作品破壊の何ものでもない。』と抗議の声を上げています。作家側と交わした7月21日の「可能な限り現状を維持する、撤去後に現在地で再展示する」との確認書の合意も守られていません。党議員団は、論戦を通じて①モニュメントの持つ価値、美術館収蔵品に対する認識が欠如していること、②移転切断方針の理由とされてきた「安全対策」「汚染土壌の除去」「震度6の地震で倒壊の恐れ」論は根拠が無いこと。③富樫氏の意思を尊重する行政姿勢が欠如していること、等を指摘してきました。
 作品の切断は美術館の歴史の中で前代未聞であります。
 富樫氏は市長に対して「作品の切断に同意しません。耐震対策をして保存してほしい」との文書を提出されています。作品には著作者人格権があり、本人の同意していない切断をすべきではないことはもちろん、制作者の意思を尊重すべきであり、副館長も「それが出発点である」と述べていました。それを反故にしたことは断じて許されるものではありません。
 京都市長は今回のモニュメントの切断については、作品の破壊であるという認識はありますか。
 また、富樫氏と市民に謝罪することを強く求めます。今後、作者の思いを丁寧に聞き、実行することを求めておきます。
企業に公共施設の優先的利用を認めるネーミングライツ問題
 そもそも京都市美術館は、80年前、篤志家と市民の手によってつくられた美術館として、世界でも屈指の若手画家の登竜門として、その公募型美術館として名をはせています。今回の京都市美術館の再整備に伴う当初予算が100億円。そのうちの50億円はネーミングライツ(命名権)を京セラに売却し、50年間その通称名は、京都市京セラ美術館となりました。その上、美術館運営についても、施設利用についても、京セラグループ会社の優先使用が認められるものとなっており、宴会場等に利用されるなど、美術館本来の使用目的から外れていても許されるものとなっています。
 ネーミングライツを売り、市民の財産である公共施設の優先的利用を認めるような不公平、不公正な特別扱いはやめるべきです。京都市においては、市民の信頼を回復し、市民に開かれた美術館再整備を進めることを求めますが、いかがですか。
(文化芸術政策監)屋外彫刻作品については、貴重な収蔵作品であるが、耐震性に課題があることが判明したため、安全性の確保と作品の保全の観点から、一旦、取り外した。今後、再展示に向けて、作家と協議していく。
 ネーミングライツ契約については、市民の負担をできる限り軽減し、必要な財源を確保するため、京都市ネーミングライツ実施要綱に基づく公正な手続きを経て締結したもの。本契約には、優先的利用に関する条項はない。
元「市民アトリエ」や美術団体への美術館代替え施設は保証すべき
 次に、京都市美術館には美術・文化の市民愛好家を育てる「市民アトリエ」があり、長くその歴史を積み重ねてこられました。京都市は、美術館再整備工事に伴い、「市民アトリエ」を敷地内から追い出して、一昨年から元白川小学校に移転させました。文化市民局は、「美術館には戻さない。H31年の元白川小学校跡地利用者が決まるまでに、次の移転先を考えておくように」と指導しています。これは、市民アトリエのあったところを「多目的スペース」として再建し、レストランなどの付帯設備を優先し、市民アトリエの存在を消滅させようとしているとしか思えません。また、そもそも美術館で展覧会を開催してきた美術家団体に対して、再整備による休館中の展示場の代替え施設を責任をもって提案・保障もできていません。今年になって京都市は、元崇仁小学校の4教室の転用、京都市男女共同参画センターにギャラリースペース(約240㎡)の設置、国立京都国際会館(一日当たり、35万円)という提案をされましたが、美術家団体からは「設備、展示スペース、料金のいずれも、私どもの要望をかなえるにほど遠い内容」と批判されています。市長、文化首都をいうなら、市民の自主的な文化活動である市民アトリエの活動を保障すべきです。また昨年度、全会一致で議会請願が採択されたように、美術館建て替え休館中の3年間の展示場所の代わりを京都市が責任をもつて保障すべきではありませんか。
(文化芸術政策監)市民の文化芸術活動については、それぞれの自主努力の中で、活動していただくことを基本としているが、これまでの経過並びに要望を踏まえ、代替施設の検討を行っているところ。
 美術館休館中の代替の展示施設については、ウイングス京都のギャラリースペースや、元崇仁小学校に暫定的な展示スペースを確保、国立京都国際会館を使用する場合に使用料を減額いただくなど、団体のニーズに応えられるよう取組をすすめている。 
 先ほど、市長からの答弁がありましたが、もともと京町衆が作った番組小学校の跡地ですから、地域住民が納得して使えるように、お返しするのが筋で、「事業者登録制度」は重ねて廃止を強く求めます。
マンモス校の解消、通学費の保護者負担の補助を
 次に、マンモス校の解消と通学費の保護者負担について質問します。
 伏見区の神川中学校は、人口1万4千人の校区で、今年も32クラス、1118名の生徒が学ぶ、全国屈指、京都市で一番の超マンモス校です。私は代表質問の時に繰り返し、神川中学校の分校建設を要望してきました。しかし京都市教育委員会は、「そのうちに生徒数が減るから、分校建設はもったいない」との対応に終始してきました。企業誘致の土地があるのに、なぜ分校建設ができないのでしょうか?文部科学省は31学級以上は、「過大規模学級」と呼んで、学校を分割するなどの適正化を促していますが、神川中学校は8年前から「過大規模」のまま放置されています。
 昨年6月に住民アンケートを取りましたが、マンモス校で、不安に感じている子どもと保護者の姿が見えます。アンケートの結果は、「もう一つの学校の建設を」の要望が77%。残りは、学校建設以外に校舎の増設、施設改善、教職員増など、子どもの教育環境整備と、マンモス校の解消を求める声は切実です。声を紹介します。「1000人以上の生徒に配る印刷物も印刷に1時間もかかる。一斉下校の時に1200人もいるので交通安全対策が大変。学年の音楽発表会も課題曲一曲だけで自由曲の発表時間が無い。」「サッカー部は100人ぐらいで遠征にバスチャーターが必要である。」「一クラスにすし詰めのように生徒がいるので大変。運動会や学校行事を見に行っても、どこに子どもがいるか探すのに一苦労です。」「特別教室は、他の学校と比べても一人一人が使えない状況です。また、クラブ活動についても卓球部やバドミントン部等は利用場所がないため活動日が限られています。」
 京都市教育委員会として、一日いちにちが成長につながる子どもたちの大切な時期をこのまま放置していていいのでしょうか。
 門川市長はこの神川中学校の実態をどのように認識されておられるのでしょうか。神川中学校の超マンモス校を解消する分校建設を一刻も早く実現させ、子どもたちの学習権と豊かな成長・発達を保障すべきではありませんか。
 神川中学校は、伏見区桂川以西の南北に長く広い学区です。今は市バスによる通学は行われていませんが、通学距離が遠いところで30分もかけて危険な通学路を利用する生徒もいます。田んぼ道を下校中の生徒が、不審者による被害に会う事件も発生しています。生徒の安全を守るためには、以前のように市バスによる通学が必要です。また神川小学校の、低学年の子どもたちは保護者の責任で、安全のため、下校時に市バスを利用しています。
 全市でも子どもの通学の安全のため、小学校8校、中学校8校では京都市バス、電車等の公共交通機関を利用しており、保護者負担は大変です。教育委員会の調査でも小学生の保護者負担は年平均23,532円、中学生で年平均37,643円もの運賃負担をしていますが、全市で総額2,250万円あれば解決できます。憲法26条には「義務教育はこれを無償とする」とあります。京都市は、学校統廃合で学区を広域化した東山開晴館の小・中学生のために、神宮道から五条坂までの通学用の市バスの新たな路線の設置と専用バス停の新設、市バス定期券を無償で交付しました。当然の措置です。子どもの通学の安全のため京都市内の公共交通機関を利用して、公立小・中学校に通う児童・生徒の交通費は全額、京都市の公費負担とすべきと考えますがいかがですか。
 京都市は小学校1~2年の35人学級編成、中学校3年生の30人学級の実施を、文科省の法制化以前に実現し、国からの財政措置がないまま、京都市独自予算で整備し、地域の父母・教職員らの絶大な評価を得ているものです。しかし文科省は、国より先行して実施したことを理由に京都市に必要な経費を交付しないという財政ペナルテイを課しています。国の実施に従うところに、予算を配分、市民の願いに応える自治体独自の努力を敵視することは、直接住民に責任を負う自治体の役割を否定するものです。現に学級編成の改善の先行実施は全国でも拡大され、高く評価されています。過去、地方自治体に遅れて全国実施した、老人医療、子どもの医療費の無料化など多数あります。平成29年5月、京都市会は、全会一致の国への意見書「教員の働き方改革を求める意見書」を提出し、その中でも「少人数学級推進などの計画的な教員定数の改善」を求めています。門川市政になって10年経ちますが、京都市独自の少人数学級の改善は一つもされていません。国・文科省に対して、早期に国の責任において小学校・中学校の30人以下学級の実現めざす「教職員定数改善計画」を実現するよう求めること。また今年から、教職員の給与費が府から京都市に変更になり、京都市の独自努力で、小・中学校の「定数改善」を実施できる条件も生まれており、京都市独自でも35人学級の拡大を求めますがいかがですか。
(教育長)生徒数の増加に対応し、平成15年度には校舎・プール一体型施設の整備、平成20年度には運動場を約2倍に拡張、平成24年度には普通教室・多目的室等16教室分を有する新校舎を建設してきた。神川中学校も同校に進学する3小学校とも、既に児童・生徒数はピークを過ぎ、徐々に減少しており、分校建設等の必要はないものと考えている。今後とも、児童・生徒数の推移を注視する。
 本市では、就学援助を受けている世帯や「きょうだい加算」制度で2人目以降の交通費全額公費負担するなど、保護者負担の軽減に努めてきた。開晴小中学校や花背小中学校等、統合による通学区域拡大に伴い必要となった交通費については全額公費負担している。公共交通機関を利用する全ての児童生徒の交通費を全額交付負担する考えはない。
 本年度から、小・中学校の教職員給与費の財源が京都府から移譲されたが、少人数学級を拡大する財源が措置されたわけではない。本市独自で小学校3年から中学校2年まで全ての学年で35人学級を実施するには、毎年約24億円もの巨額の予算を要し実現は困難である。本来、義務教育における教職員定数の拡充は、国の責任において実施されるべきものであり、今後とも国に要望していく。
住民の命と暮らし、豪雨災害対策と水防団員の確保を
 次に、住民の命と暮らし、安全を守る防災問題について質問します。
 2012年南部水害、2013年18号台風、2015年関東・東北豪雨による被害は、多くの防災上の教訓を残しました。2013年の18号台風の時に、琵琶湖疏水が走る伏見区周辺地域では、伏見制水門は開いたままで、宇治川からの逆流現象による増水で疏水の水量が上がり周辺に溢れかえったのです。現在、越前橋の逸水対策をすでに京都市は完了されましたが、国交省の関係者から指摘されたのが、「洪水対策の河川管理が京都市独自にできていなかった」のではないかということです。疏水事務所は、国交省からの制水門閉鎖の指示が遅れたため、伏見制水門の完全閉鎖をおこなわなかった。そのために、宇治川から新高瀬川、伏見放水路、疏水・豪川への水の逆流により南浜地域の床上浸水、府立・伏見港公園一体の大規模水害を招きました。地域集中の豪雨による内水型氾濫が頻繁に起きる伏見区には、国、府以外京都市も「独自の雨量計の設置拡大」「京都市管理河川、農業用水路などにも水位計を設置」するなど、洪水氾濫危険予測を速やかにし、避難勧告を住民に適切に出せるようにすべきです。また、宇治川、桂川の疏水周辺への逆流をいち早く察知できるように京都市も独自対策が必要で、特に宇治川から新高瀬川、新高瀬川から疏水放水路への逆流を制止する施設も必要です。国交省、京都府、京都市建設局、下水道局、疏水事務所の連携を強めて二度と同じような事態を招かないように、予防対策が必要です。いかがですか。
 久我橋の桂川、下鳥羽の鴨川の越水対策、宇治川の漏水対策の教訓からも、水防団員の拡大と、消防団の災害活動との連携を強化する、防災対策が大切です。京都市の伏見区には京都市の責任において組織化された9つの水防団組織があり、国と府の管轄の河川を含めて水防対策を実施しています。宇治川・木津川の水防団は、宇治市が統括責任者であり、淀、向島水防団がその管轄下に組織される広域連携として実施されています。しかし、近年の水防活動において、この水防団員の高齢化と、必要としている地域が広域であり見合う団員は定足数にも達していません。淀川三川合流地域の大雨洪水対策として必要な、水防団活動は、建設局の所管ですが、日常的には区役所、消防署と消防団との連携が必要です。そこで伺いますが、水防団の訓練は年に2回程度行われていますが、高齢の水防団員が雨の中、必死で土嚢を積み上げ、月の輪工法等の堤防の漏水対策を行っているのを見て心が痛みます。水防団は、京都市の非常勤公務員であり、出動報酬は時間によって支給されますが、「消防団員のように報酬、退職金も年金もなく記念品で終わり。水防団にも、光を当ててほしい」という水防団員の切実な声が寄せられています。この声に、組織責任者である京都市長が答えるべきではありませんか。住民のいのちと暮らし守る水防団の待遇改善を求めますがいかがですか。
(植村副市長)歴史的に浸水被害が発生してきた伏見区では、国・府・市が連携して堤防、堰、ひ門の設置等の対策を講じてきたが、全国初の特別警戒が発令された平成25年の台風18号においては、宇治川の水位が急激に上昇したことなどにより、伏見港公園周辺等において浸水被害が発生した。
 現在では、国や府が設置した水位計や雨量計の情報等を基に、避難勧告等発令の具体的な判断基準を設定し、早期の発令を可能とした。排水機場集中管理システムで主要な排水機場の状況をリアルタイムで監視し、迅速かつ確実な対応を実施している。
 水防団は、水害を未然に防止し、被害を最小限に食い止め、市民の生命や財産を守る貴重な役割を担っている。 水防団員の報酬などの待遇については、消防団とは設置の趣旨や実際の運用が異なっているが、全国的な水準と概ね同様である。引き続き、水防活動の環境の改善に努めていく。
敬老乗車証適用範囲の拡大、市バス均一区間の拡大を
 最後に、伏見区における市バス地下鉄等の公共交通機関について質問します。
 市長はバスと地下鉄の乗り換え利用促進を発言されていますが、それならば民間鉄道と民間バスしか走らない向島地域等でも、市内中心部の市バス・地下鉄利用者と同様の乗り継ぎサービスの提供をすべきです。
 今年度予算で、京都市長は「民間バスしか使えない地域も、市バスの走る地域と同等の公共交通サービスを保障する」として、民間バス待ち環境の整備、バスダイヤ、系統の試験運転に対する助成も約束しました。大変歓迎すべきものです。
 しかし、京都市営地下鉄は竹田駅から近鉄電車に相互乗り入れをしているのに、伏見区内の近鉄・伏見、丹波橋・桃山御陵前・向島駅では敬老乗車証は使えず、向島の「近鉄バス」に接続できていません。地元では「同じ市民として、税金を払っているのだから、伏見区内の駅については、地下鉄に敬老乗車証で乗れないのがおかしい」というのが党派を超えた、伏見区民全体の声です。京都市営地下鉄利用の促進を目指している京都市の立場からも、ぜひ伏見区民に同等の公共交通機関の福祉サービスが受けられるように改善を求めます。
 また、西京区や久我、淀・納所地域は京都市内であるにもかかわらず、いまだに、市バスの市内均一区間とされず、500円の一日乗車券さえ利用することができません。京都市交通局は、まず均一区間を全京都市内域に適用し、同じ市民税を払う市民に公平なサービスを保障することを行うべきではありませんか。
 これで、私の代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
(保健福祉局長)敬老乗車証制度は、市バス・地下鉄が運行していない特定の地域では、民営バスには交付しているが、民営鉄道には一律適用していない。
 敬老乗車証制度の維持に46億円もかかり、厳しい財政状況の下では、現状以上に更なる市税を投入し、民営鉄道を適用対象とすることは困難である。 
(交通局長)均一区間の拡大は、先行して運行している民間バス会社との合意が必要であり、実現には時間を要する。「京プラン」後期実施計画では、均一運賃区間の拡大を柱の一つとしており、引き続き関係バス会社と粘り強く協議を行っていく。

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