日本共産党京都市会議員団を代表し、日本共産党京都市会議員団と民進党京都市会議員団が共同提案している「いわゆる共謀罪法案の白紙撤回を求める意見書(案)」に賛成する立場で討論をおこないます。
政府が創設しようとする「テロ等組織犯罪準備罪法案(いわゆる共謀罪法案)」は、実際の犯罪行為ではなく相談・計画するだけで処罰する、どのような相談や計画、誰が対象になるかも捜査機関の裁量にゆだねられる、国民の思想や内心まで処罰の対象とする明らかな違憲立法であります。
政府案では、「資金」「物品」の手配、「下見」など、普通の人が犯罪とは無関係に行う行為までが捜査の対象とされています。また、ラインやメールで「パワハラ上司ゆるせない、制裁が必要だ」と話し合う、あるいは「原発はなくそう」「米軍新基地建設は反対」など、デモで道路をいっぱいにしようと計画するだけでも、犯罪を準備したとみなされれば捜査・逮捕の対象となり、人が集まって話しているだけで容疑者とされてしまうおそれもあります。これまでも大分県警が労働組合事務所へ監視カメラを無断設置するなど不当な捜査が行われてきましたが、「共謀罪」ができれば、「任意捜査」の名の下に内心やプライバシーを侵す捜査、捜査機関による市民生活の監視・盗聴が横行することになります。
政府は「テロ対策のために必要」と言いますが、日本はすでにテロ対策の国際的枠組みである「爆弾テロ防止条約」や「テロ資金供与防止条約」をはじめとする13の国際条約を締結し、57の重大犯罪について未遂より前に処罰できる国内法も整備されております。政府が「法律の穴」としてあげた「未知の毒物」や「ハイジャック」なども、いずれも現行法で対応できるものであり、新たな立法の必要はありません。
そもそも、政府が最大の口実にしている「国際組織犯罪防止条約」をめぐっては、条約の起草過程で日本政府が「テロリズムは本条約の対象とすべきでない」と主張していたことも明らかになっています。外務省が提出した資料(2000年7月にニューヨークの国連本部で開かれた同条約起草委員会「第10回会合第一週」の様子を日本本国に報告した日本政府交渉団の公電)によれば、委員会で、国際組織犯罪防止条約の対象犯罪にテロを含めるか否かが議論となり、「(含めれば)テロに関する既存の条約に悪影響を及ぼしかねない」などと主要17カ国が反対、日本も「テロリズムについては他のフォーラムで扱うべきであり本条約の対象とすべきでないと主張した」ことが記されています。国際組織犯罪防止条約はテロ犯罪の処罰を義務付けるものではなく、共謀罪創設を「条約上の義務」と説明することは国民を欺くものであります。
「共謀罪」の創設は、すでに過去3度にわたって国民の反対で廃案となっており、今回も日本弁護士連合会や140人を超す刑法研究者が反対の声をあげるなど、批判の声が大きく広がっています。憲法で絶対的に保障されている「思想信条の自由」を侵害する、そして、表現の自由、集会・結社の自由を根本から奪う「共謀罪」法案は撤回するよう強く求め、賛成討論と致します。