新十条通の市移管に伴う出資金放棄等についての討論 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

新十条通の市移管に伴う出資金放棄等についての討論

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終了本会議討論
井上けんじ議員
 日本共産党は、議第286号と議第290号については賛成、議第291号については、継続審査を求めましたが否決され、その場合は反対との立場ですので、以下、それぞれ、その理由について討論します。
 第一に、議第286号と議第290号は、この間の国や西日本・阪神各高速道路株式会社等における料金見直しの一環であり、賛成です。特に議第290号は、高速道路1号線十条通りを本市に移管するために、料金徴収期間を2年後の3月31日迄とする議案であり、これによって、今後、維持管理費等がかかってはきますが、本市への移管と無料化が実現することになり、歓迎するものであります。
 第二に、議第291号についてですが、これは、本市が提供してきた出資金を、トンネルの一部を現物で払い戻しを受けようとするものであります。しかし、113億円もの巨額の出資金は、当時から「戻ってくる」との話でした。事実上返済を放棄することは、市民に対する重大な背信です。
 113億円放棄の見返りに700億円の資産を獲得できるとの考え方もありますが、既に議第290号の可決で移管は実現します。その上で更に言いますと、既に京都高速道路全体につぎ込んできた本市独自の費用は、出資金の他、関連街路事業やランプ支援事業、洛南連絡道路など、総計716億円にも膨らんでいます。ちなみに、自動車専用ではない栗尾峠トンネルは、地下水や破砕帯など条件に違いがあるとはいえ、約49億、十条トンネルの距離に換算して約60億円で完成しています。1977年の山科区民の皆さんから寄せられ、全会一致で採択されている請願は、生活道路として十条通りの実現を求めるものでありました。それがいつのまにか車専用の高速道路計画にすり替えられてしまった訳であります。無謀な高速道路建設推進ではなく、生活道路としてトンネルを具体化しておれば、もっと安価にもっと早く実現していたと思えます。
 第三に、市長提案説明では、「交通量が3割に留まり債務の返済が計画通りに進まず新たな負担が生じかねない」などと言われています。しかしこれこそ、語るに落ちると言うべきであります。高速道路は、出資金や借金で建設し、完成後の通行料金収入で返済していく仕組みで、道路特定財源とともに、ゼネコン国家・土建国家が生み出した際限の無い高速道路造りのカラクリですが、その料金収入が、特に京都では低迷し、返済の見通しは全く立たないとのことであります。問題の本質は、そもそもこういう現状に至った経過と要因であります。渋滞解消の為にとか京都の発展に資する、活性化、渋滞しないので環境にもやさしいなどと言って、市民の貴重な財源をつぎ込んできたのは、他ならぬ京都市自身ではありませんか。当初90億円だった出資金も113億円に膨張しました。3割に留まっているのは過大見積もりと本市が推進してきた無謀な高速道路推進政策の破綻であり、そのことへの深刻な反省的総括抜きに、新たな負担の可能性を持ち出して来るのは、最早開き直りと責任転嫁と言うべきであります。
 市長提案説明ではそういう経過や総括については全く触れられていないばかりか、京都高速と名神とのジャンクションを画期的とまで言っておられます。車優先の高速道路促進政策に反省が無いばかりか、その失敗と破綻をふたたび繰り返そうということに他なりません。新たな本市の負担は無いと断言できますか。莫大な国民市民の税金をつぎ込みながら、後になって、車が少ない、追加の負担が生じかねない、債権放棄だ、いや払い戻しだなどと、そんな言い訳や居直りが通用するのでしょうか。
 議第290号の可決で移管は実現します。後からとってつけて提案された議第291号は別の問題であり、本市から見れば債権の事実上の放棄であります。返済されるメドが極めて心細いとはいえ、元々30年後の話ですから、今の時点で結論を急ぐものではないと考えます。普段から「財政危機」を強調されておられる市長だからこそ、如何にその可能性が低いとしても、出資金は現金での返還を求め続けるべきことを求め、討論とします。

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