日本共産党京都市会議員団は、議第264号、「京都市債権管理条例の制定について」は、反対を表明していますので、私は議員団を代表してその理由を述べます。
第1に、提案の条例は、市民へのより一層の機械的な徴収強化につながり市民生活を脅かすからです。
条例の意義について質したところ、「京プラン実施計画第2ステージの具体化」と答弁がありました。この京プラン第2ステージにおいては、「徴収率において過去最高を更新している」とし、さらに「債権回収体制の強化を図り、一層の債権管理を推進する」と強調しています。
では、市民にとってこれまで、どのような債権回収がされて来たでしょうか。
子どもの教育のために加入している学資保険への滞納差押えは、毎年強行され、子どもの学ぶ権利を奪い取っています。支払計画を約束して払い続けているにも関わらず、差押え強制徴収がされています。国民健康保険料の債権差し押さえは10年間で4倍以上に高まりました。これらは「負担の公平性」の名の下に行われてきたのです。その上、条例を制定して債権徴収をさらに強化すれば、困難な市民の生活をいっそう脅かすことが懸念されます。
第2に、自治体の役割を弱めるからです。
地方自治体の役割は、憲法と地方自治法に規定されている「福祉の増進」です。京都市が行う債権回収は、民間の一般的な債権回収業務と同じではありません。「公共の福祉」を担うという本市の役割は、債権回収の分野でも「市民生活を守る」と言う視点が最大限尊重されなければなりません。
債権管理条例の目的に、「市民生活の安心の確保」を明記している自治体があります。この自治体では、この「市民生活の安心の確保」の条項を具体化するため、条例に基づいて「債権回収マニュアル」を策定し、市民の生活支援を柱に据えて市民生活を応援しているのです。
しかし、本市の「債権管理条例」は、「市民生活の安心確保」という文言はありません。現在の京都市の「債権回収マニュアル」にも、生活再建の支援に力を入れる内容はありません。本市の条例の支柱は第1条と第6条の「債権管理の適正化」の名で「効率的な徴収」であって、債権徴収強化であります。まさに、「福祉の心」を忘れたかのような内容であり、その意義が問われます。
第3に、現行制度の下に実施している債権徴収手続きにおいても、徴収事務と債権の消滅手続きは可能であるからです。
例えば、第5条の「管理台帳の整備」の規定は不要と指摘したのに対して、「確かに条例で定めなくても可能」との答弁でした。また、第6条の「徴収の方針」の規定について質したところ、「今回新たに第6条が出来ることによって今までの方針が大きく変わることは想定していない」などの答弁でした。さらに、第7条の非強制徴収債権の放棄については、「私債権で、時効の援用をすれば、議会の議決は不用であり、権利は消滅できる」との答弁ですし、「公債権は、5年で時効となり、権利が消滅するので、時効の援用は不要」との答弁でした。従って、条例の規定がなくとも、現在でも債権の消滅は可能であります。更に、第7条において、破産法等の他の債権放棄の事項についても、新たな条例制定をしなくとも債権徴収事務は可能で、条例の必要性はありません。
最後に、人は社会生活において、税や保険料など負担は当然発生します。市民にとっては「頑張って払いたい、役割を果たしたい」のですが、負担が重くて、「払いたくても払えない」人がいるのです。そのような市民にしっかり寄り添い、生活再建まで支援に力を尽くすこと。これが京都市の役割ではありませんか。そのような「マニュアル」と「条例」をつくるべきであります。
以上を述べて反対討論とします。