山本陽子議員の代表質問 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

山本陽子議員の代表質問

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本会議代表質問
山本陽子議員
 山科区選出の山本陽子です。市民の民さんの思いを胸に、日本共産党市会議員団を代表して質問します。
「子どもの貧困」の認識について

 まず初めに、子どもの貧困対策について質問します。
 政府が発表した2012年時点での子どもの貧困率は16.3%、六人に一人となっており年々増加しています。山形大学の戸室准教授の行った調査によれば、2012年時点で子どもの貧困率が全国平均で13・2%。これに対し京都府は全都道府県中10番目の17・2%とされています。
 国はこのような状況をうけて「子どもの貧困対策に関する大綱」を策定。京都市においてもプロジェクトチームを立ち上げて検討され、貧困家庭の子どもへの支援計画を策定するために、昨年、貧困家庭の子どもの生活実態を把握するアンケート調査や、子育て支援に係わる関係団体へのヒアリング調査も実施されました。
 ヒアリング調査の結果には、切実で、深刻な実態が30頁にもわたり記述されていました。「毎日同じ服を着ていることがある」「子どもが食事や洗濯などの家事一切をせざるをえない」「親が、朝早くから夜遅くまで働いて家に不在のことが多い。仕事に出てそのまま帰らず数日子どもと会わないことがある」などの報告が、延べ83の小中学校から報告されています。
 家庭の困窮のために「電話料金未納で電話がつながらない。水道修理ができず、公園のトイレを使用している。風呂は三日に一回程度」という報告もありました。
 市長もこの報告を読まれたことと思います。このような深刻な実態についてどう受け止められましたか?市長の認識をお聞きします。
 先に述べたアンケート調査を受けて「京都市貧困家庭の子ども・青少年に関する実施計画(骨子案)」が発表されました。調査から明らかになった結果を生かし、踏み込んだ対策を打ち出す事が求められています。
 しかしながら、計画の趣旨をみると、大本の貧困については言及をさけ「家庭の経済状況から生じる『困り』」を解決し「家庭の『子育て力』を高める」として、子どもの貧困の問題をまるで個人の問題に矮小化するような内容になっているではありませんか。
 そのような姿勢が、具体的施策の内容にも表れています。子ども一人ひとりの状況に寄り添った、系統的な支援が可能となる提案にはなっていません。実施計画の中で、子どもの貧困を解決する姿勢を示すべきです。
 例えば、横浜市において策定された、「子どもの貧困対策に関する計画」では、「貧困が連鎖する事をふせぐこと」を目的に明記し、子どもの貧困状態の改善に資する環境を実現できているかを把握するために、具体的な数値目標を設定しています。
 京都市の計画は2019年までの3年間の期間で実施される予定です。子どもの貧困という京都の重要課題について、子ども一人一人に支援を届かせるための責任ある数値目標を明記すべきと考えますがいかがですか?
(市長)家庭の経済状況等に左右されることなく子どもの健やかな育ちを保障し、貧困の連鎖を断ち切ることはきわめて重要な課題。貧困家庭を始め困難を抱える家庭では、経済的な課題はもとより、保護者が子どもと関わる時間がない、周囲から孤立しているなどの状況が、学力や自己肯定感の低下等の影響を及ぼしている。実態を踏まえ、生きる力を高めるための学習支援や文化芸術、社会体験の機会の提供などを計画に掲げる。子ども食堂等、地域の取り組みを広げる予算を盛り込んだ。子どもを社会ではぐくむ環境づくりは、経済的な状況、地域との関わりや生活状況の変化等の効果を長期的に検証する必要があり、継続的に実態把握を行う。
実効ある「子どもの貧困」対策を

食に関する問題、全員制の温かい中学校給食を
 
 次に、子どもの貧困にかかわる対応策について具体的に4つ提案します。
 まずは食に関する問題です。関係者に対するヒアリング調査では、子どもの食に関する問題が深刻であるという記述が極めて多くなっています。「菓子パンだけ等の偏った食事をしている。朝食が用意されないことが多い」が小学校で59校から、「子どもたけでご飯を食べる、ご飯を食べさせてもらえない、作ってもらえずやむなく自炊、コンビニ弁当等が多い、ご飯代としてお金だけ渡される」などが中学校で67校から。「唯一の食事が学校での給食、コンビニ弁当やスナック菓子で空腹を満たす、栄養状態に問題があり、学習や課外活動に体力精神面で支障を生じることがある」が高校で6校から報告されています。家庭で、栄養のある食事がとれていない。これを放置していてはいけないという警告です。
 この訴えに答える施策は、学校給食の充実ではないでしょうか。その意味で育ち盛りの中学生に対する給食のあり方は再度問われなくてはなりません。市長は、家庭弁当が困難な家庭には選択制の給食を準備しているとして、それで問題はないかのような答弁をされてきました。しかし、子どもの生活状況等に関する調査の中で「選択制の中学校給食を利用しているか」の問いに対し、施策対象者は給食費が無償であるにもかかわらず38%の利用にとどまり、一人親家庭や、貧困線以下の世帯となるとアンケート結果では7%の利用にとどまっています。今の選択制の中学校給食で栄養のバランスのとれた給食が、支援の必要な子どもに届いていないならそれは大きな問題ではないでしょうか。調査から明らかになった貧困家庭の子どもの食に関する問題、給食の果たす役割について市長はどのようにお考えですか?
 さらには、多くの保護者が全員制の中学校給食を求めているということを重ねて訴えたいと思います。山科のお母さん達が立ち上がり保護者に対して中学校給食に関するアンケートを行い224人から回答を得ました。
 すると「中学校での昼食の摂り方で、保護者として希望するのはどれですか?」という問いにたいして、224人中206人の方が、自校方式または親子方式の給食を選択しました。現行の選択制の給食を希望すると答えた方は12人、自宅からの弁当と答えた方は6人でした。保護者の大半は、温かい全員制の中学校給食を望んでいるという傾向がわかります。
 また、給食を利用していたがやめた方、利用したことがない方にその理由を聞きますと、125人中、54人が「子どもが給食をいやがるから」と答えていました。
 なぜいやがるのでしょうか。中学二年生の娘に、あるお母さんが初めて娘の思いを聞きました。
「前後左右、みんな家のお弁当だったら最悪!食べ終わってみんなが席をたったら給食食べているのが目立つので、残っていてもみんなより早く切り上げる。壁があったら壁のほうに向く感じで食べている。給食は量が多いのでたくさん食べていると思われそうだから残す。最初は罪悪感を感じながら残していたけれど、最近は罪悪感も感じなくなって、そんな自分がいや。」
 学校の楽しい昼食時間がこんな辛い時間になっているなんて、悲しいと思いませんか。思春期の子どもの複雑な思いを察して、お弁当を作っているというお母さんも多いのです。子どもの思いを大人は察するべきです。保護者は子どもが全員で食べて美味しいと思ってくれる中学校給食を求めています。
 注文制の給食が始まって16年がたちました。未だに、市長は18年前の意向調査の例をあげて全員制の給食は必要ないと言われます。しかし、時代は変わってきています。京都府は完全給食の実施率が中学生の36.7%ですが、全国平均では82.4%に上っています。貧困対策に止まらず、すべての子どもの育ちを支援する立場が行政に求められています。全国で進んでいる全員制の給食を実施しないままで、「子育て環境トップ水準」といえるのでしょうか。今こそ、中学校での全員制の給食を実施すべきと考えますが、いかがですか?
(藤田副市長)食は、育ち盛りの中学生の心身の健康に大きな影響を与える。中学校給食は、嗜好や食べる量等の個人差が顕著になる思春期の状況等を踏まえ選択制を導入。生活保護世帯、就学援助世帯については市が給食費を全額負担。担任教諭等が食事内容に目配りし、家庭事情や経済状況等に左右されず成長期にふさわしい食生活を実践できる制度として定着している。生活保護世帯等の中学生は8割を超えて利用している。全員給食の実施のためには約200億円程度の予算が必要であり、学習環境の充実に向けて、優先すべき課題も多く、実施は困難。学校現場や生徒・保護者の意見を聞き、食をめぐる環境の充実に努める。
子どもの医療費の無料化拡充を

 続いて、子どもの医療費の無料化拡充を求め質問します。
 虫歯の有無を聞いた生活実態調査の中でも、一人親家庭や貧困線以下の所得の家庭の子どもは未治療である割合がそれ以外の子どもに比べて倍になっています。経済的な支援を拡充して、治療を受けやすくする必要があります。
 先日宇治市は中学校卒業までの医療費無料化拡充を表明しました。これに対して、京都市は未だに無料は2歳まで。3歳以上中学卒業まで子ども一人につき3000円の自己負担です。3000円は負担が重いと保護者は感じています。また、子ども一人当たりの医療費が3000円を超える月は滅多になく、支援を受けている実感がないという声も聞かれます。
 「貧困家庭の子ども等対策に資する具体的な施策」の中で、子どもの医療費支給制度のさらなる拡充の検討が記されているにもかかわらず、来年度の予算には計上されていません。市長の133の公約の中で未着手は1割です。最後まで後回しにするのは、市長の子育て支援に対する本気度が足りないのではないでしょうか。年度途中でも早急に子どもの医療費無料化の対象拡充を求めます。いかがですか?
(藤田副市長)全国一律に実施されるべきもの。7度の拡充を図って来た。他都市に比べて遜色ない。制度拡充は、市長の大切な施策の1つであり、平成31年度までに実施すると示している。京都府と協議し、財政負担に耐えられる現実的な内容となるよう、対象年齢や所得制限の有無、一部負担金額の在り方等、様々な観点から検討する。国へは、引き続き恒久的な制度創設を要望する。
高校、大学、専門学校の学費支援について
 
 次に、高校、大学、専門学校への進学と学費への支援について二つ質問します。
 小学校、中学校で学習支援を受けても、高校や大学への進学を閉ざされるなら貧困の連鎖が続く事にもなりかねません。ヒアリング調査では『受験に向けて勉強に励んでいるが、家庭の経済状況を自覚し、志望校を変えるケースがある』『進学時に入学料が払えず進路変更したが、進学先でも授業料が払えず退学となった事例がある』など、子ども本人が家庭の困窮に直面し進学を断念せざるを得ない実態が報告されています。また、最近放映されたテレビ番組では、学力優秀の高校三年の女子生徒がひとり親家庭の困窮で78万円の学費入学金が払えず、17歳で教育ローンの判断を迫られるという切実な実態が放映されました。 
 今、国や地方自治体は、若者の学ぶ権利を保障することが求められるのであって、その道を断念させるような学資保険の差し押さえは、地方自治体がやるべきではありません。親の滞納にかかわらず、子どもの学ぶ権利は保障されるべきです。学資保険については差し押さえ禁止債権に準じた扱いを行い、国民健康保険料の滞納や、市税の滞納に対する学資保険の差し押さえはやめるべきであると考えます。いかがですか?
 また、高すぎる学費は困窮世帯に限らず若者を追い詰めています。京都市が行った「学生アルバイトの実態に関するアンケート」では、アルバイト収入について「生活費」「住居費」「授業料」「クラブ活動費」のために使っていると答えた学生は、58・5%にのぼります。学生の二人に一人が奨学金を借りているにも係わらず、高すぎる学費のために多くの若者が自ら働かなければ大学に通えないという実態は深刻です。
 そんな中、若者を中心に給付制奨学金制度の創設を求める運動が広がっています。制度創設に消極的であった政府も、国民の声を受けて2018年度から給付型奨学金を本格実施することになりました。しかしながら、対象者はごくわずか、低所得世帯の学生1学年につき2万人という限られた人数です。低所得世帯で6万人が進学すると見込んでいますがその3分の1にすぎず、学生全体では2%しかいきわたらない制度です。市長、これでは今も求められている実態からして国の制度として不十分であると思われませんか?認識をお聞きします。
(保健福祉局長)学資保険は積立預金に近い保険商品。差し押さえ禁止でなく、他の財産と区別して取り扱う合理的理由はない。納付意思を示さず、特別な理由もなく滞納すれば学資保険も含めた財産の種類や滞納状況等を総合的に勘案し滞納処分を適切に実施。公平性の確保のため、引き続き法令等に基づいた適正な債権確保を図る。
 京都府では、中小企業が自主的に行う奨学金返済支援を補助する形で府の奨学金返済支援制度が開始されます。さらに近年では、一部の県や市がUターン就職を条件に奨学金返済支援にのりだしています。京都市でも市内への就職を条件に返済を支援するなど、本市自らが支援に乗りだす必要があると考えますがいかがですか?
(岡田副市長)国への要望や市会の意見書の結果、来年度予算案で給付型奨学金の創設、低所得世帯の子どもへの無利子奨学金の成績基準の実質的撤廃など前進。さらなる充実を引き続き要望する。
 中小企業を対象とした制度は昨年の京都労働経済活力会議で議論し、労働行政を担う府が予算化。中小企業にご利用いただけるよう府と連携して取り組む。
保育園の待機児童問題について
 
 次は、保育園の待機児童問題について質問します。
 昨年「保育園落ちた、日本死ね!」のブログで待機児童問題が日本を席巻しました。今年も四月入所を前に、全国で落選した親たちの怒りや悲痛な嘆きがSNSで発信されています。国の待機児童の定義に含まれない方が私は待機だと声をあげ、真に実態を示すための「潜在的待機児童」というカテゴリーが注目されました。
 今年度、京都市で保育所利用を申し込まれた方のうち保育所等の利用ができなかった方は、10月1日時点で1539人おられます。京都市が「国基準で待機児童ゼロ」と言い続ける姿勢に、保護者からは非難の声もあがりました。もっとも、それにとどまらず、保育園の需要があることを指摘したいと思います。支援事業計画にもとづく昨年度の保育提供体制の確保状況では、幼稚園の預かり保育は 612人にものぼっています。この数は、就労時間等で保育所入所要件を満たされる人数だといいます。幼稚園の預かり保育は、幼稚園の利用料の上に、預かり保育の利用料を払う必要があり、保育園利用より負担は割高です。保育所入所要件を満たすなら保育需要を認めて保育園の受け皿を確保する見込みをもつべきです。
 さらに、小規模保育を利用している2歳児344人の3歳時の転園を保障する問題があります。今京都市は3歳以降の保育園の受け皿を定員増に見込まないまま2歳までの小規模保育の定員を増やしています。子どもが成長すれば、就労時間を増やしたいので保育園に入りたいという保護者のニーズがあります。小規模保育の2歳児全員を保育園利用の見込みに含めて、受け皿は認可保育園の定員増でしっかりと計画すべきと考えます。
 最近では、いよいよ小規模保育からの転園が保障できないことを懸念し、小規模保育について3歳まで延長利用を認めるという形で進めようとしています。しかし、乳児中心の小規模保育に1年延長して3歳の子どもを詰め込むという対応は子どもの発達を阻害するおそれがあり、母親として到底認められるものではありません。また、延長利用を認めたとしても4歳から認可保育園に入れる定員増が確保できるという見込みにはなっていません。問題解決を先送りするだけで、それ自体待機児童の問題を解決するものではありません。児童福祉法24条1項にもとづけば、子どもには認可保育園に入る権利があり、京都市はこれを保障する責務があります。
 保育需要の見込みについては実態を反映させるよう見直し、認可保育園の定員を大幅に増やして対応すべきです。認可保育園の増設、公立保育園の維持、増設を求めますがいかがですか。
(子育て支援政策監)国定義の待機児童ゼロを3年連続で達成。就学前児童の内、保育所等の利用は46.5%で、大都市の中で最も保育所に入りやすい。4月に向け952人分の受け入れ枠確保、30年4月に向けては認可保育所1010人分を含む1081人分の予算を計上した。計画に基づき着実に進めている。市営保育所は多様化するニーズに対応するため、公民の役割分担を踏まえ民間移管を着実に進める。
学童保育、児童館事業の充実について

 次に、学童保育、及び児童館事業の環境改善を求め、質問します。
 新制度のもと、学童保育は小学校6年生までが対象となり、登録児童数が増加しています。新制度の二年目で登録児童数は3434人も増え、当然ながら131館の児童館には収まりきらず、小学校の空き教室などで施設外クラスの運営が増えています。しかし空き教室が確保できない場合もあり、子どもの詰め込みが問題になっています。
 新制度になって、学童保育の施設運営基準が規定されましたが、その中身は非常に不十分です。1年生から6年生までの児童について面積基準は一律に一人あたり1・65㎡、この基準は保育園の幼児と同じです。
 さらに施設運営基準の適用上も問題があります。基準の算定について登録児童数を基礎にするのではなく、平均出席率で換算した児童数が使われているため、40人定員のスペースの施設だとしても、平均出席率が80%であれば50人を登録させることができます。平均出席率で当初から面積を少なめに見積もることになり、子どもにとって安心して過ごせるスペースが確保できないことにもなりかねません。施設運営基準の向上で改善すべきと考えます。
 さらに問題があります。児童館の利用可能なフロアは学童保育の専有面積にすべて含まれ、自由来館でくる子どもの専有スペースは確保されていません。自由来館の子どもが来れば、学童保育の子どもと一緒に過ごしています。生活実態調査では、放課後一人でいる子どもの割合は、ひとり親家庭、貧困家庭に多くなっています。学童保育に登録していない放課後留守家庭の子どもの居場所にもなっており、自由来館事業の専有スペースを確保すべきです。
 子ども達がのびのび過ごせる環境を保障する立場にたち、学童保育の環境改善に向けた施設運営基準の向上、自由来館の専有スペースの確保、一人に減らされた児童館専任職員を二人に戻す事を求めますがいかがですか?以上、ここまでの答弁を求めます。
(子育て支援政策監)基準に基づき、余裕教室や集会所等を活用。一元化児童館では学童クラブ登録児童とその他の児童がともに活動、新たに自由来館の専用スペースを設置することは考えていない。乳幼児の取り組みは時間を工夫し、支障はない。職員は大幅な人員増を図るとともに、従来の児童館担当職員1名を学童担当とし、学童を実施していない時間帯には学童担当者が児童館事業を支援、円滑な運営を図っている。

 市長から子どもの貧困について答弁がありました。目標を決めて貧困の解決に取り組む姿勢は示されませんでした。子どもの貧困については、貧困の問題を正面にすえて、子ども一人一人に施策が届くようにしっかりと取り組むことが必要です。京都市として到達を見極める数値目標を決め、取り組むよう強く求めておきます。
敬老乗車証制度について 
 次に、敬老乗車証制度について質問します。
 敬老乗車証守ろう!連絡会の皆さんと、日本共産党京都市会議員団は、昨年、共同して敬老乗車証利用の家計簿調査を行い、敬老乗車証を使ってバスや地下鉄に乗り降りするたびに「1回」と数えて、一ヶ月の利用回数と利用目的を記録していただきました。1070通の回答を得ました。結果は、一ヶ月の単純平均利用回数が43・6回、100回以上の利用回数の方も5%、53人おられました。本市は応益負担の制度の参考例として神戸市の1乗車あたり100円を例にあげていますが、それをあてはめると、社会参加促進枠として一定回数無償の措置を月8回としても90%の方が負担増になり、無償の回数を16回としても、80%以上の方が負担増になることが明らかになりました。大幅な負担増の結果です。
 回答されたうち約半数の方が、ひとこと欄に意見をしるしていただきました。紹介します。
 「乗らない日はなく、病院通いも含め108回。自分でもびっくりです。意識して近いところは歩くよう努力しての結果です。1回乗るごとに料金を支払うなんてとても了解できません」「ニュータウン内の移動にかなりの回数利用し、役にたっています。応益負担になれば利用を控えざるをえません」「どこへ行くにも乗換えが必要な地域に住んでいます。敬老乗車証がなかったら活動がずっと少なくなります」「パスがなければ、週3回ほどいく御所にも、週1回の府立体育館もいけなくなります」「ボランティア活動は、敬老乗車証なしには継続できません」など、様々な思いが語られています。
応益負担への変更方針は、乗り控えを招き高齢者の皆さんの生活や生きがいまでも奪いかねないということです。
 京都市から見ても、買い物で経済効果を発揮し、通院や運動に健康長寿の効果を発揮し、生きがい増進にも効果のある敬老乗車証は、単なるコスト的な持続可能性だけでは計り知れない、意義を有しています。改めて、応益負担への変更方針を撤回することを求めますが、いかがですか?
 さらに問題は、同じ京都市域でも、敬老乗車証の使えるバス路線の充実度によって交付率に差がでていることです。「歩くまち・京都」の理念にもとづけば、市民が等しく敬老乗車証でその効果を享受できるように、公共交通網を整備する責務があるとかんがえます。市内のどこでも、民間バスへの敬老乗車証の共通化の拡大を求めますがいかがですか?
(保健福祉局長)一般財源収入の伸びが見込めず社会福祉関連経費の増加が続く中、46億円もの市税を投入している。世代間の負担の公平、持続可能なものとするため、さらなる市税の投入はなんとしても避ける必要がある。低所得者に配慮しつつ利用毎に負担する応益負担へ転換を図る。地域による不公平感を軽減するため、民営バス事業者の協力の下、利用者の選択の幅が広がる方策を検討する。引き続き慎重に検討するが、今以上の市税負担を増やさず、幅広い世代に理解を得られる制度とする。応益負担を撤回する考えはない。
交通不便地域対策の強化を

 最後に、地元要望として交通不便地域対策の強化を求めたいと思います。山科は京都市地下鉄東西線開通によって市バスが撤退しました。民間バス1社による運行が、交通手段を持たない区民の皆さんにとって重要な公共交通となっています。
 鏡山学区では鏡山循環系統バスの増便を求める乗車運動が進められています。2015年3月から本格運行された鏡山循環系統バスは、今でも一日、二本しか運行されていません。増便すれば、生活の中に公共交通の利用が組み込まれ増客にはずみをつけられるはずだ、という切実な思いがあります。もちつき大会のおもちに、循環バスに乗ろう!という食紅のスタンプをおして、住民に呼びかけるくらい熱い思いがあります。
 また、小金塚では住民の皆さんが長年バス運行を要望されてきました。バス運行のための道路移管が進み、整備もされてきています。後はバスが一日も早く走るようにすることが必要です。バス路線の開通は高齢化が進んだ周辺地域では住み続けられるかどうかに係わる切実な問題です。
 来年度の予算編成をみると民間バス会社が行う、交通不便地域の路線拡充に対する支援は盛り込まれていません。
 市長は、市バスの走らない地域にも、「歩くまち・京都」に掲げたように、「市民の基本的な権利」として公共交通を整える責務を果たすお考えはあるのでしょうか?市バスの走らない地域にも公共交通政策の充実を求める市民熱い思いや運動の努力に答えて、民間バスが交通不便地域で行う路線拡充に支援を強化すべきことを強く求めますがいかがですか?
 以上で、私の質問を終わります。
(交通政策監)「歩くまち・京都」に位置づけ、民間バス路線の利便性向上策にも取り組んでいる。山科では「山科区公共交通利用促進協議会」を中心に、公共交通への転換などを進めている。交通不便地域の対策については、幅広く地域の要望を共有し、モビリティマネジメントなど、地域や民間バス事業者が主体となった取り組みを支援する。

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