上京区選出のくらた共子です。日本共産党市会議員団を代表し市長に質問します。
市民サービス後退の局再編・集約化は撤回せよ
はじめに、市長が選挙の公約に掲げ、平成29年度予算案の重点項目としている「子ども若者はぐくみ局」の設置と、それに伴う局の再編方針についてです。京都市は「子ども若者はぐくみ局」のもとに、子どもや若者に関わる施策を融合させて、区役所に「子どもはぐくみ室」を設置するとしています。ところが、これには、二つの重大な問題があります。
第一に、保健センターの衛生課などの業務の集約化についてです。衛生課は、環境や食品の衛生をはじめ、住民生活の安全を守る業務を担当していますが、「民泊」や「ゲストハウス」に係る対応では、今でも急増する違法「民泊」の調査や指導が全く追いついていない状況です。この衛生課の業務を市内1ヵ所に集約すれば、ますます対応が遅れることは必至であります。京都市は、違法「民泊」調査を民間委託するとしていますが、住民生活に密着した体制が必要であります。
また、現在、各行政区の保健センター毎に対応している感染症、食中毒など迅速かつ的確な対応が不可欠な健康危機管理業務を、全市で1ヵ所に集約することは、あきらかな機能の後退であります。市民生活の安全に支障を来たしかねない衛生課の集約方針は撤回すべきです。いかがですか、お答えください。
さらに、保健センターは、地域住民の健康の保持及び増進を総合的にすすめる責務を負っています。ところが、妊娠を希望する方とその配偶者に実施してきた風疹抗体検査や、就職、進学の際に必要な健康診断と健康診断書の発行を止めて、「青年期健診」は、全面的に民間に移管するとしています。しかし、「青年期健診」は、例えば40歳以下の子育て中のお母さんたちが、「健診を受けながら、保健師に安心して子どもの発達の相談もできる」と利用されています。また、行政が子育て世帯の悩みを直接把握することは重要なことであります。健康を保持増進することの大切さをあらゆる世代に啓蒙し、健診の機会をつくる、このことこそ行政が果たすべき役割なのではありませんか。保健センターでの風疹抗体検査等の廃止と「青年期健診」の民間委託は明らかな保健行政の後退であります。直営での実施を存続させて充実を図るべきです。いかがですか、お答えください。
また、各区役所の福祉部と保健部を統合する方針について、京都市は、5月8日、区役所への「子どもはぐくみ室」を全市一斉に開設するとしていますが、現場の混乱や市民の不安の声に背を向けることがあってはなりません。体制について、子どもにかかわる課題に対応するために新たな局をつくるとしながら、職員の充実も図らないというのでは市民の納得は得られません。
(藤田副市長)地域に根差した健康づくりの取組は、引き続き区役所・支所でしっかり進める。一方で、新型インフルエンザや大規模な食中毒等に対する取組は、市内1カ所に集約化し、スケールメリットを活かし、迅速かつ的確に対応する。急増する民泊対策についても集約化によって強力なチームを編成し、課題のある地域への重点的な指導や摘発が可能となる。風疹抗体検査や健康診断書の発行は、公民の役割分担を踏まえて廃止する。青年期健診は、民間医療機関に委託実施することにより、夜間や土曜日も含めて大幅に受診機会を拡充する。更に、保健師など専門職員が、積極的に地域に出向き、住民団体との連携を強め、地域の健康づくりの機運を一層高めていく。機能の後退との指摘は全く当たらない。
「子ども若者はぐくみ局」について
第二に、「子ども若者はぐくみ局」を設置する目的と方法についてであります。
子どもにかかわる局に対する市民の願いは、子どもの生きる権利に正面から向き合い、行政の責任を果たすことです。そのためには、子どもを権利の主体として位置づけて、どういう組織が必要かの丁寧な議論がなされる必要があります。子どもの貧困問題が大きな社会的課題となっている今、市民から求められているのは、一人ひとりの子どもが主権者として尊重され、子どもの権利が守られるための具体的な問題を解決することのできる機構とすることであります。そこで、市長に提案いたします。子どもに係る新しい行政機構の構築にあたり、日本が、1994年批准・発効した「児童の権利に関する条約」を基礎に据えることが不可欠です。全国では、20政令市のうち5市で子どもの権利に関する条例が制定され、その他41自治体が、何らかの子どもの権利に関する総合条例を制定しています。東京都世田谷区では、条例に基づき、第三者による子どもの人権擁護機関を設置し、相談、助言支援、個別救済のための申し立て等、関係機関と連携し、問題を解決しています。本市においても、子どもの権利や発達を保障する「子どもの権利条例」を制定すべきです。いかがですか、お答えください。
(子育て支援政策監)本市では、平成19年「子どもを共に育む京都市民憲章」を市民共通の行動規範として制定した。平成23年には、児童虐待や薬物乱用、インターネットの不適切利用等に対する方策を、条例で規定した。憲章の理念の具体化に向け、「子ども若者はぐくみ局」を設置し、子どもの育ちを保障していく。
中小企業支援で、京都経済、地域の活性化を
次に、地域経済の問題についてです。「ずっと景気は悪い、廃業がすすんでいる」と深刻な声が寄せられ続けてきました。法人市民税は13,4%減収で、市長も「企業業績や消費に弱さもみられ、法人市民税や地方消費税交付金はなお厳しい状況。経済の好循環を隅々にまで行き渡らせる必要がある」と予算提案の説明で述べておられる通り、市民に経済が良くなっているという実感はありません。ところが、市長の予算提案は、アベノミクスと成長戦略に同調した「企業誘致の促進」「未来の京都の成長、発展を支える」分野に特化したものであります。本腰を入れて、市内中小企業や小規模事業者の営業支援と雇用拡大に力を入れる必要があります。
中小企業団体のみなさんからお話を伺いますと、共通して出されたのは人手不足と人材確保の問題です。「学生さんも、また親御さんも大企業志向で、中小企業にはなかなか目を向けてもらえない」との声です。中小企業は踏ん張っていますが、個々の頑張りだけでは限界があります。そういうところにこそ、行政としての支援が必要ではないでしょうか。大学のまち・学生のまち京都、中小企業のまち・京都でこそ、大学等と連携して京都の中小企業の素晴らしさを学生などに知らせる場を行政がつくるべきです。また、中長期的視点で小・中・高校で職業観を育むなど積極的な取組みを求めますが、いかがですか。お答えください。
昨年12月6日京都中小企業家同友会右京支部と右京区役所が地域連携に関する協定書を締結しました。これは、地域のまちづくり及び地域内循環型経済の推進を目的とするものです。1月には、子どもたちが中小企業の仕事を体験する「子ども仕事博」が開かれ、約1000人が参加するなど、この間、中小企業と区役所が連携した取組を続けています。
また、上京区では「西陣・まちミュージアム構想」を基礎とした住民の取組みと結んだ「上京の魅力発信事業」で、応仁の乱勃発550年をテーマに、西陣に対する「東陣」に焦点をあてた取組に多くの参加が予定されています。そこで重要なのは、こうした取組を一過性に終わらせることなく、地域経済の循環と活性化、地域住民の暮らしの豊かさにつなげることであります。
そのために、全市での取組みとして、区役所に担当部署をつくり、地域の経済循環や仕事おこしも視野に入れて、市民と一緒に検討できる仕組みと権限をもたせることを求めますがいかがですか。お答えください。
地域の資源を発掘し地域の活性化につなげることは、行政の重要な役割です。その地域に存在し、住民とともに豊かな地域社会をつくる中小企業は地域の宝であります。この中小企業を所管の産業観光局にとどめず、全局、全行政区をあげて支援してこそ京都経済と地域全体の活性化につながるのではないでしょうか。京都市は市内企業の97%を占める中小企業とその下支えである小規模零細企業への徹底した支援に力を尽くすべきであります。アベノミクスが破綻し、大企業と中小零細業者の格差が拡大している今こそ、京都市中小企業振興基本条例を制定し、中小企業と小規模零細事業者への具体的な支援を行うべきであります。いかがですか、お答えください。
(市長)中小企業は、本市経済の担い手であるとともに、市民の暮らしと地域コミュニティ、安心安全など地域を支える京都の宝である。産業戦略ビジョンに基づき、市内での調達や消費の促進で、地域経済の好循環、中小企業の持続的発展にむけ全庁的に取り組んでいる。さらに、京都商工会議所等と一体的に運営する市内5カ所の相談窓口において、経営相談など、きめ細やかな支援を行っている。中小企業の魅力発信については、京都市わかもの就職支援センターで、大学生が中小企業を取材し、WEBサイトで情報発信したり、経営者と学生が直接語り合う交流会等を実施するとともに、学校教育において、産業界と協力し、小・中・高の成長段階に合わせて職業観を身につける取組を推進している。昨年創設した「京都市中小企業未来力会議」の場で、必要な場合には条例による手法も検討していく。
公契約基本条例に賃金条項を
次に、京都市公契約基本条例についてです。公共事業の設計労務単価が4年連続して引き上げられているにもかかわらず、現場の労働者の賃金はほとんど上がっていません。公共事業の適正な契約と労働環境の確保を目的とする団体である、生活関連公共事業推進連絡協議会の皆さんによる公共工事現場での労働者の聞き取り調査によりますと、ほとんどの労働者が「設計労務単価」について「知らない」と回答しています。また、全京都建築労働組合によりますと、設計労務単価が4年で30%上がっているが、賃金は4,8%しか上がっていないと指摘されています。この実態についての認識はいかがですか、お答えください。
問題は、実際の賃金の実態を掴むしくみさえないことです。これまで、党議員の指摘に対して副市長は、「本市の公契約基本条例は労働関係法令全般の遵守状況の報告を義務付けているが、労働者ごとの賃金を把握するものではない」と答えています。まず、京都市が実態を把握し、自らが策定した「公契約基本条例」の成果を見定める責任があります。いかがですか、お答えください。また、京都市公契約基本条例を制定する際に、京都市は賃金規定を設けない理由として、中小企業等業界関係者からの反対の声が大きいとしてきましたが、今も、その認識なのですか、お答えください。適正賃金を確保してこそ、良質な公共事業が担保できます。公契約基本条例に賃金の下限を規定することが求められています。いかがですか、お答えください。
(小笠原副市長)賃金規定については、事業者団体、労働団体、学識経験者などの意見や、他都市の導入状況、賃金を労使間で定める原則などを総合的に勘案して導入しないこととした。現在も同様の認識である。公共工事に従事する建設労働者の平均賃金は、本市も協力している実態調査で6年連続上昇、労務単価に反映させたが、実際に労働者の適切な水準の賃金の支払いを事業者に要請している。ダンピング対策等を徹底して進め、公契約に従事する労働者の適正な賃金水準の確保に努めていく。
伝統産業の工賃引き上げ、後継者育成を
次に、伝統産業にかかわり質問します。繊維産業においては、全体の市場が縮小する中で事業規模を縮小する傾向や、和装関連業者の自主廃業に至る実態があります。西陣織物の賃織業者からは、「業界での適正工賃が提唱されてきたが、実際には工賃単価は上がっていない」と聞きます。さらに、産地内で織機の補修を担っている技術者が高齢となられていることは承知の通りであり、早急な対策が求められてきました。しかし、京都市は、後継者は必要数育成されているとの認識で現場の危機感とはかけ離れています。本当に今でも、このような認識なのでしょうか、お答えください。伝統産業活性化条例が制定されて10年経ちます。職人の工賃と工程毎の後継者育成の実態調査を行うことを求めます。お答えください。
また、京人形の製造事業者からは、「人形の頭つくり、髪付けのできる後継者がいなくなるのではと不安がある」と伺います。京人形は、頭つくり、髪付け、手足、小道具、着付けなどの分業と洗練された職人の技術により成り立っていますが、伝統産業の後継者確保と育成は、どの分野においても特別な対策が求められています。ところが、後継者育成予算は平成28年、29年、それぞれ1年間360万円で、その対象者は8人から10人ですから、全く足りていません。そこで、市長に求めます。各分野の後継者育成に対する予算の抜本的増額を求めます、いかがですかお答えください。また、伝統産業従事者等設備改修助成制度は歓迎されていますが、いっそう各分野の末端に行き届く規模となるよう、予算規模を大幅に拡大し、各団体加入者以外も含め、小額活用もできるよう、徹底して使いやすい制度とすることを求めます。いかがですか、お答えください。
(岡田副市長)伝統産業製品の売上増加が、最大の後継者育成と認識し、伝統産業製品の活用、販路拡大、新商品開発など、多岐にわたる需要拡大策を展開している。技術後継者育成制度はもとより、若手職人の作品コンペや就業支援事業、産業技術研究所の技術研修など、幅広く支援を行っている。伝統産業設備改修等補助制度は、事業者の実態を把握し、経営支援員による訪問・相談など、きめ細やかな運用に努め、下支えと成長の両面から総合的に支援し、伝統産業の活性化につなげていく。
中央卸売第一市場の再整備計画は見直しを
次に、中央卸売第一市場の再整備事業についてです。中央卸売市場は、生産者にとっては安心して出荷し収入を得ることができる、そして消費者にとっては小売店等を介して安全・安心な生鮮食料品等を安定的に適正な価格で手に入れることができる、生産者・消費者双方にとって重要な流通の基幹的インフラであります。老朽化した施設の整備は必要でありますが、京都市の計画は、総事業費600億円、整備期間は当初予定の10年をさらに2年から3年延長するというものです。また、マスタープランでは整備後、取扱量と取扱い金額が増えると見通しています。ところが、近年、取扱量、取扱い金額は年々減少しているのが実態です。人口の減少や、他地域で先行している市場の実績、流通条件などから、取扱量30万トン、取扱い金額1064億円から10%増加させるという目標設定はあまりにも過大ではないでしょうか。取扱量と取扱い金額が増える見込みの根拠は何なのでしょうか、お答えください。
さらに、整備工事を伴いながらの営業で、収入増の見込みは困難と考えるのが適当であります。目標の達成を前提とした総事業費600億円の再整備事業は、京都市財政を圧迫し、後に市民へのつけ回しとなる危険はないのですか、いかがですか。東京都の豊洲市場も、順調に開場していたとしても、年間100億円の赤字となることが明らかとなっています。また、京都市は体力の弱い小規模事業者は統合・再編させるとしてきましたが問題であります。巨大な事業のつけが仲卸業者の賃料の値上げに跳ね返り、廃業へと追いやることは絶対に認められません。いかがですか、お答えください。このように、幾重にも問題のある再整備事業について、市長は、事業規模の見直しを含め、再考すべきです。いかがですか、お答えください。
(市長)取扱額の増加や統合再編の促進策、新施設の形状や使い方のルールまで、事業者の皆さんと徹底的に情報を共有し、300回を超える侃々諤々の議論を行ってきた。整備費600億円は巨額ではあるが、現地での建替え、耐震化、品質管理の高度化、物流の効率化など不可欠な機能に必要となる最小限のコストであり、無駄なものはない。マスタープランに掲げる目標は、大変高いハードルだが、事業者の皆様も、覚悟を決めて取り組んでおり達成は可能と考えている。施設整備を着実に進め、施設の機能とともに事業者の活力も誇れる市場を目指す。
介護保険制度など、社会保障の後退を許すな
次に、社会保障制度について質問します。
第1番目は介護保険制度についてです。国の度重なる介護保険制度の改定は、介護保険法の掲げた「介護の社会化」を掘り崩すものであります。今月の7日には、年収約340万円以上を対象に、介護サービスの利用料の負担割合を2割から3割に引き上げ、「高額介護サービス費」制度の月額上限額も引き上げることが閣議決定されました。その一連の流れで、すでに先行しているのが要支援者の保険外しであります。
ある女性は、脳卒中で緊急入院し、退院後「要支援2」の介護認定を受けて、介護サービスを利用してこられました。リハビリに励み、最近では町内の旅行会にも一人で参加されるまで健康を取り戻しておられます。この方が、「国の要支援者切り捨てはひどい、退院当時の私は一人で生活できない状況にあった。同じような状況にある方から、介護を取り上げるのか」と指摘されておられます。市長はこの市民の声をどう受け止められますか、お答えください。介護給付費の削減ありきで介護保険制度を改悪している国に対して、国庫負担率を引き上げて、国が介護を保障する責任を果たすよう、強く求めるべきです。いかがですか、お答えください。
京都市は、4月から介護保険から外れる要支援者、平成28年度実績でみると23602人に対するサービスを提供するとしていますが、いくつもの問題があります。あるヘルパーステーションの管理者は、「利用者の約3割が要支援者だが、年金が下がり、医療費や生活費負担が重くなっている。利用者は必要に係わらず、安いサービスを選ぶことになるだろう。結局、切り下げられた報酬に合わせて事業を行わなければならず、益々人の確保が難しくなる」「国が介護職員の給料を1ヶ月1万円引き上げるために介護保険サービスの報酬を1,14倍にするというが、介護保険外しで収入が増える見込みはまったくなく不可能です」と述べておられます。
また、要介護認定を簡易なチェックリストに置き換えるねらいは、安上がりのサービスへの誘導にありますから、このことは、介護の重度化を防ぐという介護保険法の趣旨に反するものであります。京都市は、独自の相談受付票を用いて、区役所窓口でも相談対応を行うとしていますが、市民からは専門職が対応しないことに抵抗があるとの意見が寄せられています。さらに、介護保険制度で可能であった、ケアプランの自己作成も保険から外されます。
また、京都市総合事業の窓口となる地域包括支援センター関係者は、「仕事は増えるのに、職員を増員するための人件費は保障されない、これでは体制がもたない」と指摘しています。さらに、「多くの相談が寄せられているが、地域包括支援センターは、本来、家族や相談者もなく、引きこもっているような方に対応する地域のしくみをつくる役割もある。貧困は広がっており、地域に気になる方は増えている」と伺います。
市長は、市民の介護ニーズに責任を果たすために、現行のサービス基準と介護報酬の切り下げを行わないことを求めますが、いかがですか、お答えください。区役所窓口に専門職を配置して市民への対応を行い、希望者の全員が、要介護認定を受けられるようにすべきです、いかがですか。地域包括支援センターは実働体制の強化が不可欠です。本来機能が果たせるよう体制の拡充を求めますが、いかがですか。お答えください。
(保健福祉局長)今回創設される「介護予防・日常生活支援総合事業」は、要支援の方や、基本チェックリストに記入し一定の要件を満した方に、現行相当のサービスに加えて、新たに、人員基準を緩和したヘルプサービスや短時間型デイサービス等を提供するもの。報酬体系もサービスに見合ったものとし、地域の実情に応じた多様なサービスの充実を図るもの。総合事業開始後も、必要な方は要介護認定を受け、これまでの在宅や施設でのサービスを利用することも可能である。介護保険の対象者を狭めたり、サービスに見合わない報酬の切り下げを行うものではなく、制度の改悪ではない。「地域包括支援センター」は、専門職員により地域の高齢者の方へのきめ細やかな支援に取り組むため、必要な人員体制を確保している。制度を円滑かつ持続的に運営していくため、必要な措置については、引き続き国に対して要望していく。
国民健康保険制度について
第2番目は国民健康保険制度についてです。平成29年度の国保料は据え置くこととされています。しかし、市民からは「高い国保料は高止まりであり、値下げてほしい」と切実な声があります。西陣織の帯加工に携わる方は、「滞納分と今の保険料を納めているが、妻の介護費用が引きあがった。国保料を納めたら、消費税が払えない」と述べておられます。一方、短期証の発行は10、668件、資格証明書は4,140件、国保料の滞納を理由とした資産差し押さえ件数は2,333件となっています。京都市は「負担の公平性から保険料滞納者への制裁は必要」などと述べていますが、市民の負担能力に応じて、高くて払えない国保料を引き下げることこそ、自治体の責務であります。市長は、一般会計からの繰り入れを増やして、国保料を引き下げるべきです。全ての市民に正規の保険証を交付し、納付相談に応じることが、国保行政のとるべき姿勢であると考えないのですか、資産の差し押さえは止めるべきです、いかがですか、お答えください。
2018年度の国保の都道府県単位化について、その焦点は国保料の徴収率の一層の引き上げと、保険料の低減化のために行われている「一般会計法定外繰り入れ」に対する国からの削減、廃止の圧力が住民を脅かすことです。国の担当者は、「国費で1700億円投入したが、赤字は増えて3845億円になっている。そのうち法定外繰り入れが3062億円であり、これを計画的に削減・解消していくべき」などと述べていますが、これは国保料負担を抑える自治体の努力を阻害する重大な発言であり、地方自治を否定するものです。そもそも、都道府県国保運営方針は法的な義務を負わない技術的助言にすぎません。保険料賦課決定の権限は市町村にありますから、市長はそのことを踏まえ、一般会計法定外繰入を行う意思を明確にすべきです、いかがですか、はっきりとお答えください。
(保健福祉局長)保険料は、医療費の増大に伴い、本来引き上げるべきところだが、172億円の一般会計繰入金の確保などにより、昨年度と同じ保険料率に据え置き、最大限の負担軽減を図っている。平成27年度決算で2億円の累積赤字があり、引き下げは困難。
資格証明書等の発行や差押えは、納付意思を示さず、特別な理由もない長期の滞納者に対し、公平性を確保するためにも法令に基づき当然行うべき対応であり、「制裁」というものではない。都道府県単位化については、国において1700億円の更なる財政支援が行われるなど、制度の安定、国民皆保険制度堅持のため実施されるもの。都道府県単位化後の保険料率や一般会計繰入金は、医療費の動向や、現在の保険料水準等を勘案し、各自治体が判断し決定するものとされており、地方自治を否定するという指摘は当たらない。
後期高齢者医療制度について
第3番目は後期高齢者医療制度についてです。過日の京都府後期高齢者医療広域連合議会において、保険料の特例軽減措置を段階的に廃止する予算が可決されました。一方で京都市における後期高齢者医療保険料の滞納者数は平成27年度3858人、財産差し押さ件数は平成27年度22件と京都府下の市町村と比べ突出して多い状況にあります。さらに、後期高齢者の保険料負担軽減策である「特例軽減措置」の廃止により、市民27512人が負担増となります。平成29年度は現行7割、5割の所得割軽減を2割に、元扶養者の均等割軽減9割を7割に、平成31年度には所得割も均等割も全廃するとしていますが、これは、高齢者の暮らしを追い詰め、命をも脅かしかねない重大な問題であります。市長の認識はいかがですか、お答えください。後期高齢者に対する滞納保険料を理由とする財産の差し押さえを止めるべきです、いかがですか。国に対して、高齢者を差別し、命を軽んじる後期高齢者医療保険制度の廃止を求めるべきではありませんか。いかがですか、お答えください。
(保健福祉局長)「特例軽減」の見直しは、世代間の負担の公平性をはかり、持続可能な制度とするためのもの。今回は、所得のある方に対する所得割の見直し等に限られ、低所得者の均等割の減免率の見直しは見送られている。差押えについては、国保と同様、負担の公平性の観点からも必要である。後期高齢者医療制度は、現在安定的に運営されており、今後も必要な制度と認識している。
大宮消防出張所廃止反対、消防体制の強化充実を
次に、上京区大宮消防出張所廃止方針について伺います。年末に新潟県糸魚川で4万㎡を焼失する大火が発生しました。この場をお借りし、被災されたみなさんに、心よりお見舞い申し上げます。わたくしは、今月、同僚議員と現地の調査を行い、木造住宅密集地における火災の脅威を再認識しました。焼失した地域には、かつて北大路魯山人や美空ひばりが愛用した旅館など価値ある資源が多くあり、市担当者からも地域の大切な歴史、文化的価値を焼失したことのショックの大きさを感じ取りました。地元住民からは、「細街路が多く入り組み、建て込む京都のまちと同じです」と指摘がありました。
糸井川市視察の教訓は、木造を含む住宅密集地における初期消火機能を高めることの重要性でありました。国基準を満たした消防力でも大火を防ぐことができなかった実態に対して、国は、消防体制の充実強化や木造住宅密集地等の対策を検討するとしています。また、京都大学防災研究所における「京都市内にある文化財建造物の地震火災による焼失リスク」の研究においても、京都市内の文化財建造物の多くが木造密集地に在ることから、延焼火災への備えの必要性が指摘されています。
一方で、2月6日、桃薗学区内で開かれた住民説明会では、消防局から「京都市の財政が厳しいので職員を削減することが決まっている。救急か消防のどちらかを減らさなければならない」との説明がなされました。これに対し、住民から「救急も消防も、どちらも大切です。なぜ、住民の命にかかわる予算を減らすのですか」との指摘がありました。市長はこの声をどう受け止められますか。平成25年度に現地での耐震改修実施設計まで行われていた大宮消防出張所は、木造住宅密集地を含む西陣地域一帯の住民の命と地域財産を守るうえでなくてはならない消防の拠点です。住民の願いに応え、大宮消防出張所を廃止せず、充実させることを求めます。いかがかですか、お答えください。
(小笠原副市長)本市の消防職員数は、人口規模が近い神戸市や川崎市と比べて、約200人多く、約1700人を確保している。一方、火災件数の減少や救急出動件数の増加など、市内の災害発生状況をふまえ、消防隊や救急隊の配置を適宜見直している。救急隊の現場到着時間は、全国平均より約2分早い。人員と予算を効率的に生かす消防体制作りの一つとして、大宮消防出張所周辺署所の庁舎の建替え、小型水槽車や市内で唯一の大型水槽車の配置など部隊配置の見直しで、北区、上京区の消防体制を強化できるので、大宮消防出張所を閉鎖することとした。
仁和公園の代替公園の確保について
最後に、廃止された仁和公園の代替公園の確保についてです。地域住民からは、一日も早く子どもの通学の安全や、防災の拠点を取り戻したいと切実な声が寄せられています。市長総括質疑で、市長は私の質問に対して「なんとか残したい」と表明もされていました。自然豊かな公園が失われたことは痛恨でありますが、いま、代替の公園の実現を願う住民の要望に応えていただきたい。いかがですか、ご答弁をいただき、私の第一質問を終わります。
(建設局長)立本寺からは、仁和公園廃止後も引き続き、境内の一部を代替公園としての利用をお約束いただいており、早期に要請していく。
第二質問
中央卸売市場第一市場再整備計画に対する市長の答弁について、600億円の巨費を投じて、12年から13年の整備後に、取扱量と取扱金額を10%引き上げるというのは過大な見積もりではないかと質しました。しかし、それについては何らの見通しも根拠も示されませんでした。中央卸売市場は、生産者、消費者ともに守る大切な公共施設であります。だからこそ、市民と関係事業者の声をしっかりと聞いて整備することが必要であることを指摘しておきます。