日本共産党市会議員団は、お手元にありますように「国民年金等改定法案の撤回を求める意見書」(案)を提出していますので、賛成の趣旨を述べ、同時に提出されている民進党(案)については反対していますので、合わせて討論いたします。
国民年金など公的年金の加入者は2014年度末で6713万人、受給権者は3991万人と老後等の生活をささえるものであります。年金の大半を占める国民年金の受給者は3241万人ですが、平均年金受給月額は5万4千円と極めて劣悪であり、暮らしを支えるに足る額への引き上げは急務であります。
ところが、安倍政権の狙う年金制度改革は、「年金カット法」といわれるように、際限なく年金を切り下げるものであります。物価が上がっても賃金が上がらなければ年金は上がらず、賃金が下がればいかに物価が上がっても年金は引下げるというものであります。2年後に消費税10%増税が狙われていますが、ここで物価が上がれども賃金が上がらなければ年金は下がるのです。もしこの法案が通れば、今まで10年間の物価と賃金の改定率を当てはめてみますと、5・2%の年金引下げとなりますから、年金を暮らしの柱にしている高齢者の方にとっては大打撃となり、今でも深刻な格差と貧困を広げてしまいます。
年金の支給に関しては、これ以外に「マクロ経済スライド」が適用され、その結果、毎年0.9%から1%の年金が実際に引き下げられています。今回の法案の中にはこの措置をさらに進めて、単年度で引き下げが不可能な場合には、「未調整分のキャリーオーバー」と称して、引下げ不足分を翌年度以降に繰越して実施できる仕組みまで組み込まれています。「年金カット法案」に対して、世論調査でも反対が「共同通信」で58%、日経調査でも57%となっており、国民の多数は反対です。暮らしを後退させ、地域経済に多大な悪影響を及ぼす法案の成立は到底認められません。
民進党議員団提案の「いわゆる"年金カット法案"の撒回を求める意見書案」は、「社会保障と税の一体改革」の3党合意に基づく年金制度の改革という、消費税増税を前提とした内容でありますので賛同できません。
以上をもちまして討論といたします。