日本共産党市会議員団は、「大宮消防出張所の廃止に関する説明会の開催を求める請願」を採択すべきとの態度を示しておりますので、わたくしは、議員団を代表して討論を行います。この請願は、京都市が上京区大宮消防出張所を2018年度に廃止する方針としていることについて、区民に対する住民説明会を要請するものです。
大宮消防出張所は、「応仁の乱」以降、西陣織物の産地として栄えた地域に設置されています。この大宮消防出張所の日常活動の守備範囲は、成逸、西陣、桃薗、乾隆、嘉樂、正親の6つの学区です。この地域は、路地、図子、突き抜け、袋小路が集中して存在し、特有の町を構成しています。
この特徴ある地域は、京都市が細街路対策の重点地域に指定していることからも明らかなように、特別な対策を必要としている地域です。さらに、まちの構造的な弱点に加え、要援護者、高齢化率が年々と高まっていることからも、より地域に密着した消防及び防災機能の充実と発展が求められています。
京都市は、平成25年度に大宮消防出張所の耐震改修の実施設計を行っていました。このことは、京都市が大宮消防出張所を存続させる方針としていたことを証明するものではないでしょうか。
京都市は、耐震化すべき庁舎に吹き付けアスベストが使用されていることから、改修費予算が合わなくなった等としています。しかし、その額は京都市資料でも当初予算2000万円が7000万円から9000万円です。実際には、近隣にある元西陣小学校内に仮庁舎を設置して改修工事を行うことは可能です。ところが、京都市は元西陣小学校の借用を具体化しないまま廃止方針を決定しています。
そして何よりも重大なのは、住民の生命にかかわる問題と費用を天秤にかけていることです。地域の消防拠点が無くなれば、住民の安全性が低下することは明らかです。京都市は、周辺に消防施設がある、周辺の消防施設の機能を強化し「より迅速に」対応すると述べていますが、周辺の消防施設に緊急車両が常に待機できるわけではありません。「機能の強化」や「より迅速な対応」の具体的内容は明らかではありません。
住民は、緊急時に、細街路や袋路に住まいする住民の生命を火災等から守れるのか、常日頃の住民生活に密着した消防、防災活動が行われるのか等の不安を抱いています。京都市は大宮消防出張所が担当している地域が、細街路が多い特有の地域であることを認識しながら、一方で「住宅密集地域における災害、火災時等の活動事前計画はこれからであり、大宮消防出張所が担っている日常業務の担当の検討も調整中」であることなど、住民に対する肝心な中身は説明できていないことが明らかです。
したがいまして、住民の疑問にきちんと向き合う場を設けることは当然でありますから、大宮消防出張所の廃止に関する住民説明会の開催を求める請願を採択し、住民に対する行政の説明責任を果たすよう議会として求めるべきであることを述べて、討論といたします。