日本共産党市会議員団は「労働法制の改悪に反対する意見書」を提案しておりますので、議員団を代表して、理由を説明します。
安倍首相は、働く人の立場にたった「働き方改革」を行うとして、「長時間労働の慣行を断ち切る」「非正規という言葉を一掃する」と述べました。しかし、臨時国会で成立を狙っているのは過労死や、長時間労働を深刻にする「残業代ゼロ」を含む労働基準法の大改悪です。これは、成果で賃金を払う事と一体に、労働時間規制をなくし、残業代支払い義務をなくし、さらに労使が合意した時間を労働時間と「みなす」制度の実施など、まさに財界の願いに応えるものです。
すでに「残業代ゼロ」法案に盛り込まれている「裁量労働制」を採用しているトヨタ自動車では、同制度適用者1740人中、今年3月時点で「超過在社時間」80時間を越える社員が347人に上り、これは5人に一人が過労死予備軍となっている重大な事態です。また、ソニーでは社員の半分が裁量労働となっており、労働時間を正確に把握できない実態が広がっています。
今国会中も、大手広告代理店電通の女性社員が、長時間労働が原因の過労自死と労災認定された問題や、残業時間規制の適用除外とされた関西電力の社員の長時間労働に起因する過労自死も明らかになりました。
このように深刻な長時間労働の実態に対して、今、働く人の立場にたった改革を本気で取り組むのであれば、ナショナルセンターの違いをこえて労働組合が反対している「労働基準法改正法案」は撤回し、残業時間の上限規制や勤務時間のインターバル規制の導入、週休制の確保など「長時間労働規制法案」を審議すべきと考えます。
以上、当意見書への賛同をもとめて提案説明といたします。