私は、日本共産党の提出している「南スーダンからの自衛隊の撤退を求める意見
書」について、日本共産党市会議員団を代表して、賛成討論を行います。
政府は、南スーダンPKO(国連平和維持活動)について、今月末で期限が切れる自衛隊の派兵期間を来年3月末まで延長することを昨日25日、閣議決定しました。政府は、3月施行の戦争法(安保法制)に基づき、11月にも、「駆けつけ警護」や「宿営地共同防護」といった新任務付与を判断する見通しです。
しかし激しい戦闘が続く南スーダンでは、自衛隊派兵の前提となる「紛争当事者間の停戦合意」など「PKO参加5原則」は完全に崩壊しており、派兵延長は許される状態ではありません。いわゆる「新任務付与」は、自衛隊員が「殺し、殺される」初の事態を生み出すものであり、憲法が禁じる海外での武力行使に踏み切ることになり、断じて認められるものではありません。
現に、南スーダンでは7月上旬に自衛隊が駐留する首都ジュバで、大統領派の政府軍と副大統領派の反政府勢力の間で大規模な戦闘が発生し、数百人が死亡しました。この時、自衛隊宿営地近くでも激しい銃撃戦が起きました。その後も各地で両派の戦闘は続いており、昨年8月の和平合意は無実化し、内戦状態の悪化は明らかです。
ところが、政府は自衛隊派兵ありきの立場から、南スーダン情勢の危険をことさら小さく見せ、「内戦」であるとも、「戦闘」が起こっているとも認めようとしません。安倍首相にいたっては「永田町と比べればはるかに危険」(12日、衆院予算委員会)と述べるだけで、現地の情勢をまともに検討する姿勢さえ見られません。
10月8日にジュバを7時間だけ視察した稲田朋美防衛相も「現地は落ち着いている」と繰り返しています。しかし、同じ8日にはジュバに向かう幹線道路で民間人の車列が襲撃され、21人が死亡する事件が発生しています。
南スーダンPKOを担う国連南スーダン派遣団(UNMISS)は防衛相訪問直後の10日、「最近の数週間に各地で暴力と武力紛争の報告が増加していることを極めて懸念している」との声明を発表しました。
ところが、防衛省が自衛隊員の家族への説明のため、「駆け付け警護」で「武力紛争には巻き込まれることはない」などとする応答要領を作成していることが、日本共産党の井上哲士議員の質問(20日、参院外交防衛委員会)で明らかになったことも重大です。
「治安情勢が悪化している中で、自衛隊自身が『駆け付け警護』を行えば...紛争に巻き込まれることになるのでは」との質問に「南スーダン共和国が国連PKOの活動に同意し、受け入れている状況においては、武力紛争に巻き込まれることも無い」と答えるよう例示するなど、無責任な資料であります。
7月のジュバでの戦闘では、政府軍がNGO関係者らが滞在するホテルを襲撃しています。他にも、国連南スーダン派遣団の施設や兵士への攻撃など政府軍の敵対行為が多数報告されています。「駆け付け警護」で自衛隊が政府軍などと交戦する危険は大いにあります。
よって、 日本政府が、憲法違反の戦争法(安保法制)を廃止し、自衛隊員のいのちを守るためにも、直ちに南スーダンから自衛隊を撤退させることを求めます。そして、憲法9条に基づく、非軍事の人道・民生支援の抜本的強化こそ求められていることを指摘し、私の賛成討論をおわります。ご清聴ありがとうございました。