井上けんじ議員の代表質問 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

井上けんじ議員の代表質問

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本会議代表質問
井上けんじ議員
 南区選出の井上けんじでございます。九州地方を襲った大地震の犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様方に対し、心よりお見舞い申し上げます。私も、先日、義援金をお届けに、現地へ行ってまいりました。一刻も早く元の生活が回復できますよう、心から願うものであります。 
アベノミクスの破綻、消費税10%への増税に反対せよ

 さて、日本共産党市会議員団を代表して市長に質問します。まず消費税についてお聞きします。来春予定の消費税増税の是非について安倍首相が迷っておられること自体、経済政策失敗の反映です。軽減税率云々の話も、低所得世帯に負担が重くなることを否定できないからでしょう。2月の全国市議会議長会の会合で総務省の課長も「逆進性が高い」と言っています。8%への増税で、ますます景気が悪くなっています。4月の日銀短期経済観測調査では大企業中小企業とも、業況判断指数が悪化、総務省家計調査でも、3月の消費支出は前年同月比実質5.3%の減少となっているなど、影響は一時的と言っていた安倍首相も、これは3月3日の参院予算委員会での答弁ですが、「予想以上に消費が落ち込みそれが続いている」と言わない訳にはいきません。消費税8%増税後の京都経済の現状について市長はどうお考えですか。10%への増税は中止するよう政府に求めるべきだと考えますが、市長の認識についてお答え下さい。
(小笠原副市長)本市の経済状況は、雇用情勢の改善、過去10年で最少の倒産件数など、全体として回復基調が続いている。一方、中小企業においては、人手不足や新興国経済の減速の影響などから、業種によってばらつきがあり、回復は市内の隅々にまで行きわたっていない。
 消費税10%への税率引上げの実施に当たっては、軽減税率制度の導入が決定されており、低所得者や中小企業者等への影響を最小限にとどめる対応策が十分に講ぜられる。
 また、2月議会では、消費税増税を前提に、来春、市バス・地下鉄運賃や水道料金等に上乗せ転嫁する方針であるとの答弁がありました。そこで次に、施設使用料や公営企業の運賃・料金等に上乗せし、利用する市民に転嫁する根拠についてお答え下さい。消費税は、事業者の売上高から仕入高を差し引いた額に課税されるだけで、消費税法には、そもそも消費者とか転嫁等とは書かれておりません。事業者にとっては、転嫁の法的裏付けがありません。また政府の指導にも従う義務はありません。かつて京都市交通局でも、消費税増税の時に運賃は値上げせず、又2年前、大阪府の堺市でも増税時の転嫁はされませんでした。転嫁するならその根拠をお示し下さい。それとも市長や管理者の判断ですか。ご説明願います。またそもそも転嫁すべきではないと考えますが、この点についても答弁を求めます。
(小笠原副市長)消費税は、消費一般に広く負担を求める間接税であり、市バス・地下鉄の運賃にも円滑かつ適正に転嫁し、公平に負担していただく。消費税が8%に引き上げられた際に、国の通達に従い、市バス・地下鉄の運賃に転嫁した。10%への引上げ時においても、同様に適正に転嫁していく。
小規模事業者、零細自営業者こそ実効ある支援を

 次に、経済産業政策についてお聞きします。市長は、今年度、「中小企業振興会議を設置し、条例による手法も含め、振興策を検討していく」との方針ですが、私はこれに賛成するとともに、この方針の対象として、中小企業一般に留まらず、小規模事業者、個人事業主、家族経営、零細自営業者も含めて位置付けるよう、またその為にもそういう分野からの委員の選任を求めるものです。小規模企業振興法も、「地方自治体での施策の策定実施」を義務付けています。本市での具体化は如何でしょうか。日夜、生活必需品やサービスの提供など生活の場で市民生活を支えておられる不可欠の存在であり、また小規模独自の現状があり課題があります。融資、相談、販路拡大、技術支援、後継者育成、下請けの単価や納期の問題、全面保証の復活等々、中小全般の課題設定や既存施策の小規模への適用拡大に留まらず、小規模固有の税制のあり方、自家労賃問題、社会保険料や国保料の問題等社会保障のあり方、また小規模公共事業や小口の仕事興しとして住宅や商店リフォーム制度創設、大型店の規制等々、独自の課題として振興会議の議題とし、また条例化へと展開されるよう具体化を求めます。またその為にも小規模事業者等の分野からの委員の選任について求めるものであります。夫々、ご答弁を求めます。
 また、市の産業戦略ビジョンについても質問します。中小企業のまち京都での産業政策は、中小企業政策でもあるはずです。ところがこのビジョンでは、今言いました中小企業振興会議を設置するとは書かれていますが、条例による手法も含むという方針はありません。是非補強すべきです。また中小及び小企業について触れられていることは評価できますが、その存在意義をもっと強調して、経済を牽引する力、社会の主役だと、強く位置付けるべきです。併せて政府の経済政策への批判的分析と、これを他山の石とする観点も必要です。政府の言う成長戦略とは大企業減税と規制緩和、非正規労働拡大ですが、その成果と莫大な利益は、専ら役員報酬と株主配当、内部留保に回るばかりです。成長戦略はいわば供給一辺倒の政策ですが、そこで、このビジョンでも、政府方針と同様、「稼ぐ力だ、首都圏へ、海外へ、グローバル展開」だと、市場を外向けに広げることばかりを強調しています。しかし、過剰生産傾向の今日の社会では、大手の利益を、賃金や下請け単価の改善、購買力向上、需要拡大策に生かさないことには、結局、持続的な生産や設備投資には発展していかないでしょう。部品や材料等をどこから調達するか、製品をどこへ供給販売するか等について考える場合、夫々、地域内、国内、海外等の圏域が考えられます。部品の調達における市内町工場の存在と役割、製造工程における各業者の分業が京都の特徴ですが、同時に、需要拡大と言う場合、京都で創ったものが、京都の市民に供給され市民が消費して市民の暮らしの向上に繋がる、従ってそうなれば流通や商業も市内で賄うことにもなっていく、そういう観点からのビジョンの具体化や今後の産業政策の展開が必要だと考えます。ビジョンの中に条例による手法も含めた振興策を位置付けていくこと、中小企業小規模事業を主役と位置付けること、更に市内での需要拡大策について、夫々ご答弁願います。
(市長)中小企業は、市内事業所の99%以上、雇用の7割を支える本市経済の担い手。市民の暮らしと地域コミュニティや文化、安心安全など、地域を支える京都の宝である。
 産業戦略ビジョンにおいても、中小企業・小規模事業者が、雇用や税収への寄与はもとより、市民や企業が生み出した所得を市内で循環させ、地域活動の中でも、まちづくりの中でも多面的な役割を果たす経済社会の重要な担い手であることを明確に位置づけた。
 中小企業振興会議には、小規模事業者に積極的に御参画いただく考えであり、夏には発足させ、「現場の声」、中小企業・小規模事業者の声をしっかり反映したより実効性ある振興策に取り組み、必要な場合は条例による手法等も検討していく。
介護保険事業、高齢者福祉に公的責任をはたせ
 
 続いて、介護保険と高齢者福祉についてお聞きします。来春、新総合事業がスタートします。そもそも保険事故に該当すれば保険給付の対象になるというのが保険の大原則なのに、該当しても給付しないのは約束違反ではないですか。介護保険の創設に携わり生みの親と言われた厚生労働省初代老健局長はシルバー産業新聞という業界紙で「言い過ぎかも知れないが国家的詐欺となりつつあるように思える」と言っておられます。訪問介護と通所介護の事業所に、共産党市会議員団としてアンケートをお願いしました。短期間に沢山の回答が寄せられました。「減収必至、事業所閉鎖の虞れ、訪問介護から撤退、今でもヘルパーさんの待遇が悪く退職が後を絶たない」等々、悲痛な声が寄せられています。その上財務省は要介護1・2の訪問介護も、今後全額自己負担等と言っています。政府に対し、保険給付と現行水準の維持存続、上限撤廃を求めるとともに、本市として財源投入も含め、現行相当水準を保障すべきです。この点についてお答え下さい。
(藤田副市長)総合事業は介護予防サービスの対象となる要支援の方に対し、現行と同水準のヘルパー派遣やデイサービスに加え、困り事への対応等多様な生活支援サービスを地域団体やボランティア団体等により提供していくもの。介護保険制度の枠内で財源も確保され、これまで以上にきめ細かくサービスが提供できる仕組みとなっている。
 ところで、新総合事業では一般介護予防や基本チェックリストなど保険給付でないのになぜ保険料を充てるのでしょうか。保険給付として現行通り受給権を保障し保険者としてその義務を果たすべきですが、保険給付から追い出すというのなら、保険料ではなく一般財源で賄うべきです。保険外の事業に保険料を充てるのは流用です。これではますます給付の範囲が狭くなるのに、ますます保険料が高くなるばかりです。そこで、保険料についてですが、9年後には基準額が月8,700円にもなると、市の長寿プランが書いています。そもそもこのプランでは高齢者の切実な暮らしの実態が窺えません。高齢者問題とは貧困問題であり、せめて所得保障や年金改善の必要性等について言及すべきです。老齢国民年金の市民平均は僅か5万.2千円、市の高齢者調査でも収入200万円未満が57%、300万円未満が76%、保険料の今以上の引上げは最早限界です。国と自治体の負担割合を増やす、或いは一般会計を繰り入れるなど市独自の引上げ防止策が必要です。ところが、市の長寿プランでは「介護保険は全国一律の制度、市の裁量は少ない、保険料への一般財源補填は認められていない」と書かれています。自治体の誇りはないのですか。発足当時、介護保険は地方分権の試金石と言われていました。介護保険は自治事務です。地方自治法でも「地方公共団体は・・・法令等の・・・事務を、自らの判断と責任において執行する」と、法令解釈の自治権を謳っています。まして通達は単なる助言で従う義務はありません。一般会計の繰り入れはダメとの話は、すでに2002年3月19日、参議院厚生労働委員会で当時の坂口厚労大臣の答弁で決着済みであります。地方分権地方創生等と言いながら政府も京都市も旧態依然、政府の地方自治への介入と市の追随姿勢は相変わらずではありませんか。自治体の裁量は本当に少ないのですか。本市独自の判断と責任で保険料減免を抜本的に拡充すべきです。これらについてお答え下さい。
(藤田副市長)介護保険は、全国一律の社会保険制度であり、給付に必要な費用は、法令で定められた負担割合に基づき、公費と保険料で賄うこととなっており、市町村独自に一般財源を投入して保険料を下げることはできない。平成27年度からの3年間の保険料については、国の低所得者の負担軽減策として、従来とは別枠で本市も一部公費3.5億円を投入し、所得区分が最も低い第1段階の保険料を、ほぼ同額に据え置いた。また、低所得者の保険料を最大で3分の1程度とする本市独自の減額制度を継続している。
 そこで、ではなぜこのように国追随の姿勢が根深いのでしょうか。私は、自治体が高齢者の生活実態に触れる場から制度的に遠ざかりつつあり、現場への認識が後退しつつあることがその要因だと考えます。介護保険の直接契約と現金給付が制度改悪の曲がり角でした。自治体が事業の直接的分担と事業者への支援から撤退し、政府も今や介護をビジネス育成、産業政策として位置付け、介護の商品化を進めています。また、幅広く高齢者の生活と権利を守るべき高齢者福祉が介護保険に偏り、老人福祉法が軽視されつつあることも自治体を現場から遠ざけています。介護と高齢者福祉の現場に出掛ける公務員をもっと配置すべきです。福祉事務所支援課や保健センターの高齢者担当を増員充実復活させるなど、直接、高齢者と接する機会の復活拡大の中からこそ、国追随ではない自主的な判断が生まれてくると私は思います。当面、すこやかサービスや配食サービス、憩いの家や入浴サービスの復活拡大、養護老人ホームの一層の活用等が必要です。介護保険外の施策、老人福祉法の一層の具体化と充実についてお答え下さい。以上で前半の質問を終わります。
(藤田副市長) 高齢者の方々の保健・福祉サービス全般にわたる総合的な計画として「京都市民長寿すこやかプラン」を策定し、民間の関係機関と連携して、現場の実態をしっかりとつかみながら、公・民の適切な役割分担の下、人的体制を確立し、施策や事業を着実に推進し、公的責任を果たしていく。
大企業・大金持ち減税をやめ、地方財政の確立を
 
 介護や消費税の答弁を聞いておりますと、地方自治の立場から言って、病膏肓に入るというか、京都市の病気も相当重症との印象をうけました。
 午後は、財政問題と憲法についてお聞きします。まず市長は常々財政危機と言われます。しかしそう言う前に、現状分析がもっと必要です。不十分な診断では病気は治りません。それらの検討抜きに、財政危機の強調や、ましてそれを理由に事業の見直しや民間化、職員削減等を進めることは順序が逆だと私は思います。
 第一に現状分析について、特に収入減の要因分析が不十分であります。自治体財政の不足分を国が保障する地方交付税交付金が減らされています。その一因として、この十数年来、臨時財政対策債が肩代わりしている形ですが、需要自体は増えているハズなのに、基準財政需要額が大きく落ち込んでいます。トップランナー方式も、財源保障の大原則を踏みにじるものであります。地方交付税の増額・改善を政府に求めるにあたり、もっと、緻密な批判的分析と政府への強力なアクションが必要です。市長は「三位一体改革以降交付税が減った」と傍観者的ですが、三位一体については本市も推進の立場でした。総括は如何ですか。市民税について、市長は「市民一人あたりの市税収入は大阪より少ない」と言われています。しかし内訳で言うと個人市民税は大阪より多く、議論が大まか過ぎます。交付税減額の要因をどう見ておられるか、また三位一体の総括、及び市民税の現状認識についてお答え下さい。
 第二に、財政危機克服の方向について提案し質問します。まず、市長の対策は歳出削減策が中心で、歳入を増やす展望が見えません。公の土地の切り売りは一時しのぎの質屋通いのようなもので、市民の貴重な財産の食い潰しです。収入増については、国の制度や政府の政策の制約の元で、確かにその実現は容易ではありません。しかしその展望や方向性を研究し明らかにすることは可能ですし、またまずそのことから始めなければなりません。
 市民税について、個人市民税の税率を累進制に戻し、より強化して、所得に相応しく、高い所得からの税収増をめざす方向について検討すべきです。大企業の法人市民税法人税割も制限税率一杯にする余地を残しています。法人市民税の一部国税化は、2年前、市長が無批判的に具体化され、既に市の減収になっています。
 そもそも政府の行きすぎた大企業減税が本市の法人市民税の減収や国の交付税の原資の縮小に連動しています。法人市民税を含め、法人三税の税収は消費税導入時約30兆円ありました。それが2014年度には約18兆円にまで落ち込んでいます。本市の法人市民税法人税割額は、当時400億円以上あったものが、今や200から250億円前後にまで落ち込んでいます。法人税も個人・法人の市民税も、もっと累進化が必要です。歴代政府の元で、法人税は43%から23%へ、所得税最高税率は75%から45%へと、大企業と富裕層には正に歴史的な減税です。所得と負担能力に応じ、高い所得からは高い税率で税金を集めるという原則に立ち返ることによって税収増をめざすべきだと考えます。市民税や法人税の累進化によって税収増を図る方向について見解をお聞かせ下さい。
 更に、政府の大企業減税が市の減収にいかに連動しているかについて質問します。中央大学の富岡幸雄教授の、「税金を払わない巨大企業」という文春新書によると、京セラ、三菱UFJ銀行等、実際に払っている税金の割合は、法定の税率よりも大幅に低くなっていると指摘されています。税金は「課税所得×税率-税額控除」で計算されますが、政府の税率値引きはほんの序の口で、それに加えて様々な手段で課税所得を小さくし、また税額控除を大きくするなど、実際は大企業しか利用できないような至れり尽くせりの租税特別措置がそのカラクリです。この本で、例えば京セラは、法人税・住民税・事業税を合わせ、法定税率38%なのに実際は23%しか払っていないと紹介されています。仮に課税所得にその差である15%を掛けてみる、即ち所得に法定税率を掛けた数字と実際の税額との差を計算してみると約100億円、同様の方法で市内大企業についても有価証券報告書などの資料によると、その他の主要6社も含め、私の試算では、法定税率による数字と実際の税額との差は、年間約200~300億円にもなる計算です。そのしわ寄せが国の法人税や市の法人市民税の減収になっています。
 法人税減税と富裕層減税が、税収減の最大の要因です。政府の大盤振る舞いの背景には、財界人自身が国の各種審議会委員となりお手盛りで政策を決めていることとともに、大企業から自民党への献金も影響があるんではなかろうかと私は思いますが、その穴埋めとしわ寄せが消費税増税や社会保障改悪、地方交付税減額など国民と地方自治体に押しつけられています。大企業の膨大な内部留保金は、中小企業や労働者の汗の結晶です。下請け単価や賃金の改善、税金など、社会に還元されて然るべきです。財界と政府が非正規労働者を増やし、大企業の社会保険料事業主負担の大幅減少が社会保障財源減収の大きな要因になっています。貧困克服と格差縮小へ、税制の所得再配分機能の回復、累進性の徹底が必要です。この方向は、消費税増税中止、交付税増額、そして国民生活底上げ購買力向上による景気回復への道でもあります。政府の税財政政策への批判的な分析や検討が不可欠の前提であり、これらの作業抜きに財政危機云々はあり得ません。言い得ません。政府への要望も、国も財政が大変との認識が前提では本質に迫ることはできません。歳入を限られた所与のものとして、身を切るとか改革とか歳出削減一辺倒の議論に矮小化するのは、政府の格差拡大政策に組みするものであり、大企業や富裕層等への減税策を免罪し、国民にしわ寄せするものであります。行きすぎた減税が本市の税収減に連動しているとの認識は如何ですか。政府の税財政政策の、本市財政への影響について調査研究し、政府にも行きすぎた大企業等への減税の見直しを求めるべきだと考えますが、この点についてお答え下さい。
(財政担当局長)国の財政も厳しく、地方交付税等の総額抑制が図られ、地方の財政需要の見積りが社会福祉関連経費の増などに見合っていないことにあると分析している。
 平成16年度からの税源移譲、国庫補助負担金改革、地方交付税改革のいわゆる三位一体改革は、地方の自由度の拡大につながったとは言えず、地方交付税、臨時財政対策債も大幅に削減されており、地方分権を実現するには不十分であった。地方交付税等は、413億円も削減され、この間の市税の増180億円を大幅に上回る減となっている。
 大阪市との比較においては、個人市民税は約3000円上回っているものの、固定資産税や法人市民税等を含めた市税全体では、約74000円下回っており、それぞれの税目毎に要因を分析している。
 所得と負担能力に応じた課税に関しては、この間、所得税の最高税率の引上げ、相続税の見直し、法人税の欠損金の繰越控除の縮小など、必要な見直しが行われてきている。高所得者や大企業が優遇されている制度とはなっていない。本市では、一定の大企業に対し、超過課税、即ち法人市民税の税率を9.7%から11.9%と、2.2ポイント上乗せして、その能力に応じた負担をお願いしている。
憲法改悪に反対し、憲法擁護の発信を
 
 次に、憲法についてお聞きします。問題の第一は、違憲無効の法律が存在していることであります。安全保障法制は、戦争放棄を謳っている前文や第9条のみならず、平和主義という憲法の大原則を踏みにじるものです。更に、国民から政府への注文書が憲法である、ところがそれを守らなければならない政府自身が、その注文書の解釈を勝手に変えてしまう、この立憲主義蹂躙こそが根本問題であります。市長の認識をお答え下さい。
 かつて蜷川虎三元京都府知事曰く「憲法を論議することは自由だが、守らねばならぬ憲法が厳としてある。憲法を論議して守ることを無視している者のあることは情けないことだ」。思うに憲法は、戦後の一時期を除き、一貫して歴代政府から軽んじられ、事実上の違憲状態が既成事実化されてきました。9条然り、健康で文化的な生活、お金がなくても教育を受ける権利、正社員とし働く権利、納税の実質的平等原則、そして地方自治等々。憲法の精神から逸脱していることの多い今日の社会にあって、議論されるべきは、如何に、平和や暮らし、地方自治等々各分野において憲法の理念を具体化し徹底するか、そのことが今日の日本の最大の課題であると考えます。憲法尊重擁護義務を負う市長としてこの点について如何お考えか、ご答弁願います。
 第二の大問題は、尊重擁護義務を負う安倍首相自身が憲法改正の先頭を走っておられることであります。本丸は第9条であり、また立憲主義の逆立ち、国民から政府へではなく政府から国民に対する命令書へと、改正と言うよりもはや憲法の変質とも言うべき方向がその本質です。当面、緊急事態条項と言われています。自民党の憲法改正草案には、緊急事態の場合、「市長は国の指示に従う、国民は公けの機関の指示に従わなければならない」等と書かれています。これは地方自治への介入であり、基本的人権の公然たる制約です。首相が一方的に緊急事態だと判断しさえすれば、市長は指示に従うのですか。市民の基本的人権が制限されてもいいのですか。反対すべきです。お答え下さい。議論されるのはいいことだとの市長のお考えは既にお聞きしています。では憲法自体については如何ですか。緊急事態条項については如何ですか。お答え下さい。考え方のいろいろ違いがあっても、今、憲法改悪の動きは食い止める、この点で皆が力を合わせるべきです。市長も憲法を守る立場に立つべきであります。
(岡田副市長)平和安全法制は、国権の最高機関である国会において議論し結論を出されたもの。
 日本国憲法における平和の理念は、変わらざる人類普遍の理念であり、基本的人権の尊重、主権在民と共に、遵守されるべき基本的な理念、原則である。同時に、現行憲法が制定されてから70年、今日、社会情勢が大きく変化してきた中で、理念、原則を大切にしつつ、憲法について国民が関心を高め、しっかりと議論されることは意義のあること。その在り方については、緊急事態への対処を含め、国家、国民の基本に関わる事項として、国民全体で議論が深められるべきもの。
高速道路3路線の廃止に向け、都市計画手続きの開始を
 
 最後に、市内高速道路3路線の計画について、先般、「見直し」との意見書が専門委員会から提出されました。直ちに、計画の廃止に向け、都市計画上の手続きを開始されますよう要望します。尚、今後の問題として仮に渋滞との現状があり、その解消が課題になっているとしても、その解決は、道路容量拡大だけでなく、車の総量を減らす、通行量を減らすという選択肢もあるはずで、歩くまち京都としては、後者の道を選ぶべきであることを指摘して、質問を終わります。

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