2016年度一般会計京都市予算等に対する反対討論 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

2016年度一般会計京都市予算等に対する反対討論

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終了本会議討論
西野さち子議員
 日本共産党京都市会議員団は、予算特別委員会に付託された議案48件のうち、議第1号「28年度一般会計予算」、議第3号「国民健康保険事業特別会計予算」、議第4号「介護保険事業特別会計予算」、議第5号「後期高齢者医療特別会計予算」、議第13号「駐車場事業特別会計予算」をはじめ、議第24号「個人番号の利用に関する条例の一部改正」、議第26号「職員定数条例の一部改正」、議第29号「職員給与条例等の一部改正」、などの議案に反対し、残余の議案には賛成の態度を表明しておりますので、以下その理由を述べ議員団を代表して討論を行います。
 まず、28年度一般会計予算に関してです。予算に反対する理由は、市民サービスの大リストラで市民生活を壊してきた「京プラン」前期実施計画をさらに上回る規模の削減を実行する予算だからです。京プラン後期実施計画は2020年までの5年間で職員800人削減し総人件費を170億円、社会福祉経費を含む消費的経費の見直しは年間40億円、5年間で600億円、土地の売却や貸付で110億円の財源を確保する計画です。28年度予算案はその初年度で「徹底した行財政改革の断行」として、職員数123人の削減で10億円、事業見直しと一般会計繰出金の削減で41億円、資産有効活用で30億円、合計81億円もの財源を作り出す予算です。今でさえ職員削減で超過勤務やサービス残業が増加しており、市民サービスの低下が懸念されています。ところが「国の制度改正により交付税が減少する場合は、京プランの目標数値の上積みもありうる」と、更なる削減の可能性に言及する有様です。京プラン後期実施計画の撤回を求めます。
 この京プランは選択と集中で地方行革を進め、競争主義を持ち込む地方創生の路線そのものです。国が地方創生総合戦略の一環として提案している地方交付税におけるトップランナー方式は、財政健全化計画で交付税削減の方向を示す中で出されてきたものです。これまで減らされてきた交付税をさらに減らすための手法として採り入れられたものであり、国が政策目的をもって誘導し、自治体の自主性を奪うことは地方自治に対する重大な介入です。わが党は予算委員会で厳しく批判し、国に対して反対の意思表示をするように求めましたが「トップランナー方式で削った交付税をどのように配分されるかを見極める」との答弁がありました。交付税の更なる削減を容認する立場でしかありません。トップランナー方式に反対し、国に地方交付税の増額の責任を果すよう求めるべきです。
 以下、市民の暮らしにもたらす影響を具体的に述べます。まず、生活保護費の問題です。「最後のセーフティネット」としながら生活保護費を予算で5億4100万円も減額しています。市長は市民のくらしの現状を全く見ず、「生活保護率が下がったことは素晴らしいこと」と答弁されました。予算を減額したうえ就労指導強化の方針が、行き過ぎた就労指導へと職員を追いつめていること、そしてその結果何が起こっているか正確につかもうともしない姿勢は反省すべきです。命にかかわる事態が起こっていることに心が痛まないのでしょうか。日本での生活保護の捕捉率は研究者の中でも2割台にとどまっています。補足率が低いままでこうした受給抑制をするなら、事態はますます深刻になるだけです。改善を求めます。
 次に、介護保険制度の問題です。政府は更なる介護保険制度の改悪を計画しています。昨年4月の介護報酬の引き下げによる影響は、とりわけ小規模デイサービス事業所に大きく、月8%~10%の収入減で運営が成り立たず、廃業準備をされているところもあります。そして、来年4月から始まる京都市の新総合事業では、家事援助等の報酬を引き下げる計画です。要支援者の介護度悪化が懸念される中、副市長は「より柔軟に専門的サービス以外の介護が可能になる。介護度が悪化するとは考えていない」と答弁されましたが、あまりにも現実をみない答弁です。先行して実施している自治体では、現行通りの報酬額を確保して実施していますが、京都市は最初から報酬額の低い緩和型や無資格者を導入するサービスへの移行をすすめる計画であり問題です。
 次に、国民健康保険制度についてです。国民健康保険料が高すぎて払いたくても払えない市民が増えています。滞納世帯への強引な差押えは市民のいのちにかかわります。副市長は「来年度3億円の繰り入れを増額する」と答弁されましたが、国からの基盤安定分が増額されたものです。市の努力が反映される財政支援分を2014年度並にすれば国民健康保険料の引き下げはできるはずです。国保料の引き下げを求めておきます。
 次は、子育てについてです。国会では「保育所落ちた」のネット投稿に大きな反応が広がり、政府を揺り動かしています。「2年連続保育所待機児童ゼロ」と市長はおっしゃいますが、保護者の実態は全く違っています。京都市でも保育所の入所に落ちた方たちが昨日、市役所へ要請に来られました。市民の声に押され市長は予算説明で「数字上のゼロにとどまらず」と言わざるを得ませんでした。しかし、その一方で「公営で残してほしい」と言う市民の声を聞かず、公営保育所の廃止方針は撤回されておりません。保育所が不足していると声が上がっているのですから、公営保育所の廃止を中止し、民間の認可保育所の増設と合わせて、増加している保育ニーズに応えるべきではありませんか。指摘しておきます。また、公営保育所の廃止について「市の財政効率化の一翼を担っている」と信じがたい局長答弁がありました。効率化のために保育所を廃止することは断じて認められません。撤回すべきです。
 そして、保育料の値上げについてです。「国基準の64%に減額している」「応分の負担。現状では妥当」としていますが、世帯の年収が640万円で3人の子育てはかなり大変です。年12万円もの値上げになる世帯があることも現実です。子育て日本一と言うのなら、保育料の値下げをすべきです。
次は子どもの医療費支給制度についてです。他の自治体では独自の努力で制度の拡充が行われてきている中、京都府内で最も遅れた唯一の自治体となってしまいました。子どもの貧困対策が問題になっている中でもあり、中学校卒業までの通院の無料化をすべきです。
 次に、原発再稼動についてです。市長は「できる限り早期の全廃」「やむを得ず再稼動する場合は世界最高水準とされる新規制基準を厳格に適用して、万全の安全性を確保するように国に求める」との答弁の繰り返しをしています。しかし、「できる限り早期の全廃」とは時期も政策的展望も示されず、先送りするだけの無責任な立場が浮き彫りになりました。そして、規制基準に合格して再稼動したはずの高浜原発3・4号機は、相次ぐトラブルで止まりました。ところが京都市はUPZ圏内の地域をもつ自治体であるにも関わらず、この重大トラブルについて関西電力に説明すら求めていません。大津地裁では、「新規性基準に適合しても安全とは言えず、発電の効率性をもって甚大な災禍と引き換えにすべき事情はない」と断罪しました。市民の安全を守るならば原発再稼動にきっぱりと反対すべきです。
 次に、中小企業支援の問題です。わが党は予算委員会で、実効性ある中小企業支援のために公契約条例に賃金条項を入れるべきと提案しました。賃金条項を入れている他の自治体では、ピンハネだけをする業者が入り込めなくなって下請けの改善につながっていることも指摘しましたが、「公共事業に関するものだけが高いという状況が放置される可能性があり、中小企業の負担が過大になる」として、賃金条項は入れない態度に固執しています。    
 また、消費税10%増税の影響について副市長は「8%増税の影響は残っているが、アベノミクスによって回復基調。順調な数字が並んでいる。」「業種によってばらつきがある」「消費税は増大し続ける社会保障に要する財源を確保するためのものであり消費一般に広く課税されるもの」との答弁をされています。しかし、京都市の99%が中小企業で、景気回復には至っていないことも明らかです。消費税増税が京都市財政にも、市民生活にも悪影響を及ぼしている事は事実です。8%増税の影響が残っていると言うのであれば、10%増税に反対の立場に立つべきです。
 以上、国の地方創生にもとづく京プラン後期実施計画とアベノミクスの破たんによる市民生活への影響は甚大です。市民生活優先の市政への転換を求めまして私の討論とします。

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