「大学の機能強化を求める意見書」に対する反対討論 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

「大学の機能強化を求める意見書」に対する反対討論

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終了本会議討論
赤阪仁議員
 日本共産党は「大学の機能強化を求める意見書」について反対を表明していますので、以下、日本共産党を代表して討論をいたします。
 来年度予算の中で、財務省が大学予算削減のために、国立大学の授業料引き上げと運営費交付金の大幅削減の方針をまとめ、文部科学省に提案しました。国立大学協会や中央教育審議会が抗議声明を出すなど、危ぐの声が広がっています。
 本意見書の記、第3では、「一定水準の専門知識を習得できるよう教育の質の確保を図るとともに、学生定員確保のため、その基盤となる国立大学法人運営費交付金の充実、私立大学に対する私学助成の拡充を図ること」というのは、大いに賛同できるものです。
 一方、本意見書は、「国の地方創生総合戦略」を推進するために、大学の支援を図るよう求めています。果たして大学教育の機能強化に全く逆行するものであり、以下、その理由を述べます。
 理由の第一は、 「地方創生に向けた政府の総合戦略」にもとづく財務省提案は10月26日の財政制度等審議会に示され、了承されたことです。同提案は、国立大学に対して運営費交付金に頼るなと脅し、今後15年間、交付金を毎年1%ずつ削減するとしています。削減された分は各大学が、授業料の引き上げや産学連携などにより大学自身で毎年1・6%の収入増を確保することを迫るものです。これは高等教育にたいする国の責任放棄といわざるをえません。
 「産学連携」による収入増には限界があり、交付金削減は授業料の大幅引き上げを招きかねないことです。仮に、授業料引き上げだけで自己収入を増やすとなれば、毎年2万5千円程度値上げし、16年後の授業料は40万円増の93万円になります。経営難の私立大学も値上げに踏み切り、1970年代から2005年まで続いた大学全体の「学費値上げの連鎖」が復活することになります。
 財務省提案は、憲法26条が求める「教育を受ける権利」の保障に逆行するものです。
 第二に、運営費交付金の削減により、その不足分を、産学連携ですすめるならば、大学の学問、研究の自立性が失なわれ、産業界の経済的目的に従属させられる危険性があるからです。国の地方創生による大学の目標は、国際的人材育成や医療の中でも新産業などの一部研究分野に集中しています。現に、安倍政権は、大学を理系中心の学部に再編し、文系の学部を整理・廃止・統合するように文部科学省の主導で始めています。これは大学の自治と学問研究の自由を侵害する憲法違反であり、科学技術と学問研究の後退につながるものです。
 第三に、少子化に対応した「規模の適正化」を図るとする財務省の提案は、大学の再編・縮小を招くことです。運営費交付金は2004年に国立大学法人化された後、1470億円(11・8%)も削減されました。経常収支における交付金の割合は、48%から34%に低下し、教育研究費が枯渇する大学もあります。
 日本共産党京都市会議員団は、国に対して、地方創生総合戦略にもとづく、財務省提案の撤回こそ求めるべきことを指摘して、反対討論とします。

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