私は日本共産党京都市会議員団を代表して、「議第224号~226号 京都市南部クリーンセンター第二工場・新設工事」にともなう、電気設備工事、衛生設備工事、空気調和設備工事の請負契約の締結について、「反対」する立場から討論をおこないます。
2013年10月28日の閉会本会議において、当時の「議第174号 南部クリーンセンター第二工場・新設工事請負契約の締結について」の議決の際、日本共産党京都市会議員団は次の意見をあげ、委員長報告の中で述べられました。それは「市のごみ半減計画を達成し、更なるごみ減量に取り組むために、約7割を占める生ごみ、紙ごみの分別を進めること。バイオガス化施設、有料化財源を活用した学習施設整備については再検討すること」であります。
クリーンセンターの建て替え事業そのものは当然必要なものだと考えています。しかし、その後の議会での質疑や一連の経過をふまえ、今回の議案は、この間何度も指摘してきた、他都市でトラブルをくり返している「生ごみの機械選別をともなう乾式のバイオガス化施設」の建設や、必要性のない展望台設置の計画推進をあらためて表明し、それらに関連する工事を含むものであることから、「反対」の態度表明をおこなうものです。以下、その問題点を指摘します。
まず、バイオガス化施設についてですが、そもそも、家庭ごみの中から生ごみを機械選別するやり方は、「生ごみは分別する必要がない」と宣言するに等しいものであり、京都市が取り組んでいる「ごみ分別・ごみ減量」「生ごみ対策」とも矛盾するものであります。数少ない先行事例である兵庫県の南但クリーンセンターでは、汚れたプラ製容器が可燃ごみに次々捨てられ、焼却炉の熱量が上がり、想定より少ない量しか燃やすことができず、ごみ処理が追いつかない状況です。12月4日付の読売新聞・但馬版では「ごみ処理が正常な状態に戻るのは2017年3月」と報道されました。「市民の分別意識が働かず、今までできていたことができなくなっている」という指摘を重く受け止めるべきです。
また、異物混入の可能性が高いごみを機械に投入するかぎり、どんなトラブルが起きるかわかりません。南但クリーンセンターでは3月5日、破砕選別機に使い捨てライターが大量に混入し、そのガスに引火したとされる爆発事故も起きました。その事例を受け本市も、発注仕様書段階では想定されていなかった対策をせざるを得なくなっています。国内に22あるバイオガス化施設は、そのほとんどが、生ごみや下水汚泥、家畜の糞尿など、きちんと分別されたもの、処理対象が明確なものが基本です。
京都市は「南但の事例はバイオガス化施設本体のトラブルではない」「構造的欠陥ではない」との答弁をくり返してきました。しかし、先日のくらし環境委員会で指摘したように、本年4月、わが党が取り上げる以前に、南但クリーンセンター自身が作成した資料に、「メタン発酵槽から発酵残渣を排出する配管の目詰まりが頻発し、その対策のため、たびたび運転停止を余儀なくされている」と明記されていることも明らかになりました。バイオガス化施設本体のトラブルを南但クリーンセンター自身が認めており、京都市の説明と矛盾します。
さらに、京都市は「南但クリーンセンターは順調に稼動」とくり返してきましたが、実態は、焼却炉、バイオガス化施設、どちらもトラブルを起こしており、「高効率原燃料回収施設」として正常に機能しているとは言えません。
本市9月議会の局別質疑では「バイオガス化施設は、本市の実証研究プラントで10年近く実証研究を続け、前処理設備も本市のクリーンセンターで選別の実証実験を重ねている」との答弁がありました。しかし、この実証実験をもとにつくられたのが南但クリーンセンターであり、そこで不具合がくり返され、ついには12月3日、特別委員会にプラントメーカー㈱タクマを呼び出すという事態になっているではありませんか。本市の焼却灰溶融施設と同様、国の補助金に誘導され、トラブルをくり返す施設をつくり、メーカーを議会に呼び出す事態となっていることは、否定できない事実であります。現地では「失敗作」「南但は実験台にされた」「先進事例にはなり得ない」「失敗から学ぶべきだ」との声が報告されており、この声に真摯に向き合い、計画は中止すべきです。
ごみ袋代を財源に2億5000万円かけて展望台を建設する計画についても一言申し上げます。「ごみ処理にいかに巨大な施設が必要かを見てもらう」とも言われますが、なぜそれがごみ減量につながるのか納得できる説明はありません。ごみ減量に取り組んでいる自治体はたくさんありますが、展望台に上がらなければごみ減量はできないのでしょうか。9月議会の局別質疑で環境政策局長は「展望台建設は収支がプラスかマイナスかという問題ではない」とまで答弁されましたが、一方でコスト削減をさけびながら、ごみ減量とはまったく関係のない展望台に2億5000万円もかけることはゆるされるものではありません。ごみ袋代の使い道として間違ったものでありやめるべきです。
原発ゼロをめざすうえでも再生可能エネルギーの導入・普及は重要です。しかし、それを口実に、トラブルが多発している施設に多額の税金がつぎこまれていいのか。ごみ減量を口実に、それとはまったく関係のない施設に市民のお金をつぎこんでいいのかが問われています。たとえ一度決まったものであっても、問題が起こっているならその事実を認め、徹底検証すべきではないでしょうか。そのことを重ねて指摘して「反対」の討論と致します。