農業委員会の選挙による委員等に関する条例の一部改正についての反対討論 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

農業委員会の選挙による委員等に関する条例の一部改正についての反対討論

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終了本会議討論
西村よしみ議員

 日本共産党市会議員団は、議第220号「京都市農業委員会の選挙による委員等に関する条例の一部を改正する条例について」、反対の態度を表明していますので、議員団を代表して討論をいたします。
 反対の第一は、「農地の番人」と位置付けられてきた農業委員会制度を骨抜きにするからです。 
 農地の管理についてはこれまで、農業委員会に許認可権が与えられ、農業委員会のもとに、地域の農業者による自治的な仕組みにより農地が守られてきました。ところが、法改悪により農業委員会制度の根幹である公選制が廃止され市長による任命制に変えられ、さらに、農業者からの「建議」が除外されるなど、農業者の「自治」が大きく後退させられました。このことにより農業委員会は、農民の代表機関としての権限を弱め、市長など行政機関の恣意的な選任が懸念され、国が強行する農地の「最適化、流動化」のため、行政の下請機関に変えられました。
 農業委員会は今後も、農家とその農地、集落を守るため、地域の農業者の多様な意見を生かすべきです。
 反対の第二は、今回の制度変更による規制緩和で、企業の参入が大幅に拡大し、日本の家族農業が壊され、これまで守り続けた農地制度の根幹が壊されるからです。
 農業委員会を構成する「認定農業者」には、株式会社でもなれることから、「農家」だけでなく、大手企業が農業委員会へ参入することも充分可能となっています。「農家の代表」、「農地の番人」と言われてきた農業委員会が、企業の参入へと、役割が大きく変わることも考えられます。
 新しく設けられた「農地利用最適化推進委員会」とは、議案の通り、「農地の集積、集約化」が必須の役割と位置付けられています。そして、農地の「最適化」の名のもとに、農地は「農地中間管理機構」に集められ、機構を通じて、代々守り続けてきた農地が、「地域を知らない」企業等に預けることになります。借手企業等にとっては、優良農地が初期投資も安く借り受けられ大きな利益を上げられます。しかし、農家は休耕地で置くと1.8倍の課税により、貸出す様に強いられます。また、貸し出しても優良な田畑のまま維持・管理されるのか懸念が残ります。今回の条例変更について地域の農家から、懸念する意見が多く上っています。
 農家と農地を守り、地域を守る、安心安全な農産物の生産を応援する対策を強化すべきです。
 反対の第三は、制度変更によって、日本の食糧自給率がいっそう低下することになるからです。
 今回の農業委員会制度の見直しと共に、農業生産法人、農業協同組合制度の見直しを加えた、いわゆる「農業改革3本柱」は、TPP推進の前提として、多くの農業従事者の反対のなかで強行されました。こうして、安倍内閣はTPPの「大筋合意」をしました。
 ところが、合意内容については、国会にも国民にも全容が説明されていません。その上で、TPP大筋合意があたかも「決定」された既成事実の如く、「国内対策」を取ろうとしています。こういうやり方は、民主主義にも反するもので全く認められません。
 国が言う「強い農業、儲かる農業」とはなにか。企業の参入による輸出中心の農業であります。逆に、国内には外国産農産物が大規模に入り、今でさえ価格低下に喘ぎ利益も薄い農家に大打撃を与えようとしています。農水省の試算では農業就業人口は10年間で51万人減少しました。TPP推進で、農業就業者の減少にさらに拍車がかかり、農業がいっそう弱体化します。そうなれば、食料自給率は向上するどころか、国の試算どうり、20%台に落ち込むものであります。世界はいま「食料はいつでも輸入できる」状況ではありません。日本農業を再生し、食料自給率を向上させることは待ったなしです。
 農業のあり方について国連は、大規模な企業的農業が環境を破壊し、逆に飢餓を広げていると批判し、中小農家の役割を重視しています。家族経営を基本にした多様な農家や生産組織などが、展望をもって生産できる環境をつくるべきで、そのために役立つ農業委員会にすべきことを指摘して討論といたします。


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