日本共産党市会議員団は、「京都市公契約基本条例」に対する修正案を提案し、原案に賛成するとの態度を表明していますので、私は議員団を代表して討論を行います。
まず、はじめに公契約とは、公共工事や委託業務、物品購入などの公共調達にかかわって、国や自治体が民間事業者と結ぶ契約のことです。この公契約は住民生活の幅広い領域の公共サービスにかかわるとともに、適正な公契約による賃金水準の改善が、広範な労働者の賃金水準に波及し、地域経済の循環と底上げに結ぶことが注目されて、全国での公契約条例制定の動きとなっています。
本市においても、問題となっている公契約におけるダンピング受注や、低い労働単価での請負を前提とする受注を防止しなければ、市内事業者の受注機会の確保をはじめ、後継者を育成し、技術を継承することはできません。「京都市公契約基本条例」の目的は、市内中小企業の受注等の機会の拡大、公契約に従事する労働者の適正な労働環境の確保、公契約の適正な履行及び履行の水準の確保並びに社会的課題の解決に資する取組みの推進を図り、もって地域経済の健全な発展及び市民の福祉の増進に寄与することとしていますが、そのためにも、賃金条項が必要です。
修正案では、いわゆる一人親方を含む現場労働者の賃金の下限を規定することとしています。賃金条項を加えることの必要性についてですが、第一に、下がり続ける労働者の低賃金の実態を、公契約の現場から引き上げることができますし、公共事業の質の担保にもつながります。このことは、後継者不足や、技術継承等の問題解決につながります。第二に、低賃金を前提としたダンピング受注ができなくなるなら、落札率が適正な水準まで引きあがることにつながります。賃上げが、中小企業の経営を圧迫するとの心配の声もありますが、落札率の上昇により契約額も賃上げに見合った額に引きあがることになります。第三に、市内中小企業の受注機会の拡大につながります。元請け業者が京都市以外の業者を下請けに使う主な理由は、労働者の賃金を低く抑えることにあります。ここでも、賃金規定が設けられれば、労働者の賃金が決まるので、市外事業者に発注することは、かえって交通費等の経費がかさむことになります。
次に、地方独立行政法人においてですが、修正案には、この条例の趣旨にのっとり対象地方独立行政法人が当事者となる契約について、本市が当事者となる契約に準じた取扱いとするよう努めることを規定しています。京都市の関与の高い、極めて公的な事業を行う市立病院等に対して、その事業の安全性と質を確保する必要があります。もともと本市の直営事業として運営してきた事業の趣旨に照らしても、公契約基本条例の規定に準じた運用の担保が必要です。
さらに、適正な労働環境の確保、並びに維持及び向上を図るためには雇用の継続が求められることから、当該労働者の雇用の継続に配慮するよう努めることを規定に追加しています。これらは、市立病院院内保育所の雇用が継続されず、保育の継続性に重大な問題を生じさせてきたことを教訓とするものです。
次に、公契約の実態を確認するために、立ち入り調査が必要です。その為の体制を充実させることを求めます。
最後に、京都市公契約基本条例の実効性を検証し、必要に応じて改善することが重要であります。他都市でも、公契約基本条例を制定後、その効力を検証し、改善を図っています。京都市においても、今回の「京都市公契約基本条例」が、真に市内中小企業の育成と活性化に結び、雇用の安定確保など市民の願いに応えられるものとなるよう、しっかり検証していくことを求め、私の討論といたします。