日本共産党右京区選出ほり信子です。「教え子を再び戦場に送らない」を信条に、日本国憲法を遵守することを誓約して京都市内の小学校で37年間教師をしてきました。「分かる授業 楽しい学校 明るい未来」をテーマに、学校が居心地のよい空間になるよう取り組んできました。その経験を生かして、「子どもに笑顔 若者に仕事 老後に安心を」を公約に、地域の仕事人として、地域のみなさんの声をしっかり受けとめ、その願い実現に向けてがんばることを表明して、質問に入ります。
子育て支援充実へ、保育所増設・医療費無料化を
初めに、5月20日に市長が記者会見された「保育 2年連続待機児童ゼロ」ということについて質問します。
申し込み数3万346人に対して、入所できなかった児童は637人います。この637人は、待機児童にカウントされていません。この内の134人は「保育要件に該当しない児童」です。仕事を探している人や育児休業中の人、労働時間の少ない人が該当します。育児休業中だけれど、4月の年度始めに合わせて職場復帰しようと考えていたのに、希望する保育所に入れそうになく、育休を延長したという人がいます。また、461人は「特定の保育所等を希望」したとして待機児童から外されました。その中には、障害のある長男を小学校に送迎し、その近くの保育所に次男を預けて出勤をと考えていた人が、その保育所に入れず、断念をしたという報道もありました。市長、これでも、待機児童ゼロと言うのですか。お考えをお聞かせください。「子育て支援を市政の最重要課題と位置づけ全力を尽くしてきた」というのなら、保育実施責任を果たす立場から認可保育所の増設をすすめ、現実に入所できなかった人の保育を保障することこそが真の「待機児童ゼロ」となるのではないでしょうか。いかがですか。
〔子育て支援政策監〕多様なニーズをふまえ、保育所整備や幼稚園預かり保育を充実。保育所、認定こども園利用児童数は過去最高で全国トップ水準。きめ細かな入所相談、あっせん、調整で2年連続待機児ゼロを実現した。待機児は国の基準で算定。受け入れ枠の拡大や入所相談等で、入所しやすいと実感できるよう取り組む。
次に、「子どもの医療費」について質問します。
京都府の「子育て支援医療費助成制度」が今年9月から、入院200円、通院3000円の負担はそのままですが、対象が中学校卒業まで拡大されました。それによって、26ある京都府内の自治体の「子どもの医療費助成制度」の実施状況が変化しています。パネルをご覧ください。通院医療費の状況を図に示しました。助成の対象が高校卒業までの自治体が3自治体。ピンク色です。通院も中学校卒業まで無料で受けられる自治体が15。青色です。通院が小学校卒業まで無料の自治体が5自治体。緑色です。京都府内の自治体の中で、一番遅れているのが京都市です。5月市会で中学校卒業までの無料化は多額の経費が必要であり困難と答弁されていますが、市長、3歳になれば、3000円まで負担しなければならない今の制度が、子育て先進都市を創ろうとしている京都市にふさわしい「子ども医療費助成制度」と言うのですか。お考えをお聞かせください。そして一刻も早く「子どもの医療費」通院も中学校卒業まで無料化を求めます。
〔藤田副市長〕子ども医療費は市会決議もふまえ、府と協調して現実的な拡充策を研究した。中学校卒業までの無料化は多額の経費がかかり困難。子どもの医療費軽減は、国の責任で実施されるべきものであり、補助制度の創設を求めていく。
次に、子どもの貧困と「就学援助制度」に関わって質問します。
2014年に発表された日本の子どもの貧困率は過去最悪の16.3%でした。日本の子どもの貧困率は、OECD加盟国34か国中ワースト10の深刻さです。中でも深刻なのはひとり親家庭世帯で、その相対的貧困率は54.6%にもおよびます。貧困率が急増する背景には、政府がすすめてきた雇用、福祉、社会保障の切り捨てによる「貧困と格差の拡大」があります。
保護者の就労状況も年々厳しくなっており、家計を支えている主たる人が非正規雇用という実態は決して少なくありません。離婚に伴う転出・転入児童も増えています。母子世帯の母親の雇用形態はパート、派遣、アルバイトなど、不安定で低賃金での仕事が多く、2つ3つと仕事を掛け持ちしている方もおられます。厚労省の調査によると、2011年では就労収入が平均年収181万円です。3割の人は100万円未満、6割以上の人が200万円に達していません。この厳しい経済状況は今も変わりません。子どもの貧困解決にむけて具体的な施策が求められています。学校で集める預かり金は、給食費をはじめ教材費、校外活動費など、子ども一人あたり年間6万円近くになる現実があり、兄弟が通っていれば年間10数万円という額になります。義務教育は無償といいながらも保護者の負担無くしては、成りたっていないという現状があります。教育に係る費用の軽減が求められています。京都市における就学援助認定率は、2014年8月の速報値で、小学校21.8%、中学校27.7%です。そこで、より使いやすく内容も充実することを求める就学援助制度を提案します。
一つ目は、提出しなければならない所得に関する証明を京都市の責任で行っていただきたいということです。神戸市や大阪市では実施しています。すぐにでもできるはずです。また、申請の手数料を無料にしていただきたいということです。申請者に証明書を提出させている自治体でも手数料をとっているところは少ないのではないでしょうか。
二つ目は、「クラブ費」の問題です。入りたいクラブがあっても親の費用負担を考え、あきらめる生徒がいます。文科省は2010年度から、要保護児童生徒の就学援助費に「クラブ費」「PTA会費」、「学級会(生徒会)費」を国庫補助の対象とし、準要保護児童生徒にも拡大し一般財源化しました。横浜市や大阪市で準要保護児童生徒へも拡充しています。せめて「クラブ費」だけでも対象にしていただきたいのです。
三つ目は、新入学学用品費の入学前の支給です。小学校では、給付が6月か7月になっています。入学準備に間に合うようにしてほしいという強い願いに京都市は長年にわたり「検討課題」としてきました。「子どもの貧困対策推進法」ができたもとで、実施に踏み込むことを求めます。福岡市では実施しています。 以上三つの改善を求めます。いかがですか。
〔教育長〕源泉徴収、確定申告書等以外は350円の課税証明手数料が必要だが、29年度を目途にマイナンバー制度を使い個人番号カード提出により証明書類なしで取り扱う予定。支給項目については、武道必修化に伴う柔道着、食物アレルギー診断書作成費を加え、校外活動費の上限撤廃や修学旅行費・給食費の改定に伴う増額を行った。クラブ費の支給は政令市では2市のみ。新たに加えると3億6千万円が必要でありこれ以上の拡充は困難。新入学学用品費は、今年度から1ヶ月程度支給を早め、中学校は4月中、小学校は5月中に支給、可能な限り早期に対応している。
京北地域の小中一貫校の検討を撤回せよ
次に、京北地域の小中一貫校について、質問します。
右京区京北地域には、3つの小学校と1つの中学校があります。1999年に、6つあった小学校を現在の3つの小学校に統廃合しました。京北第一に3つの小学校が、京北第二に2つの小学校が、そして1つの小学校がそのまま京北第三になりました。学校がなくなった黒田の地域では、子育て世代の減少に歯止めをかけることができませんでした。大阪市とほぼ同じ面積を持つ京北地域で小学校1つ中学校1つの小中一貫校で、子育て世代を増やすことができるのでしょうか。自然に恵まれた地域で、子どもたちが地域の人に支えられて育つ学校だからこそ、地域の自然を活かした地域と結びついた教育実践ができるのです。PTAにこの統合計画の「検討」が正式に提案されたのは、昨年4月でした。そして、自治振興会から要望書が市教委に提出されるまでに、わずか1年4カ月です。市教委側からの一方的な情報だけで判断できないと、さまざまなところで学習会が行われ、疑問や異論が出され、「早急に決めないでほしい」という意見が多くでました。京北第一小でも、疑問や反対の意見が出される中で、一部参加者の拍手で決議があがり、京北第三小でも少ない参加者の中でのPTA決議でした。周山中では、学校編成等検討委員会がPTA内に設置され、そこでまとめた報告書が総会に取り上げられないまま、次年度総会で、反対意見が出される中、決議があがりました。京北第二小では、今現在もPTA決議をあげていません。京北4校で70回の討議が行われ、充分論議されたと市教委はいいますが、本部役員対象が37 回、全会員対象が19回、地区別で行われたのが第一小と第二小の各1回で9町内、4地域の会長の集まりが4回です。山国地域で行われた意向調査にしても、「反対」や「時間をかけて」の意見が多く、推進の方向ではありませんでした。京北自治振興会の決議にしても、総会ではなく、規約にない支部長会で提案され、6支部の内、3支部は反対・保留でした。また、京北活性化ビジョンのパブリックコメントの集計結果からも、小中一貫校には「反対」、「もっと時間をかけて」の意見が多くありました。このように、自治振興会から出された要望書が地域の総意と言えないことは明白です。また、これまで市教委が進めてきた京都方式にも反するのではありませんか。地域の活性化と学校の存在は密接不可分です。地域住民の意見を二分する小中一貫校ありきですすめる方針は撤回を求めます。いかがですか。時間をかけて、京北の町づくりと合わせて、地域の自然を生かし、子どもたちが地域に支えられて育つ学校及び子育て環境を整えていくことを求めます。
〔教育長〕合併後10年間で児童・生徒が4割減少。各PTAで70回の議論を重ね、3小学校から自治振興会へ地元協議を要請された。住民説明会等を経て、小中一貫教育校の創設を求める要望書が提出された。要望書を真摯に受け止め実現に向けた検討を進める。保育所保護者対象や、小学校単位の説明会など、意義や教育効果についての理解を深めて頂く。今後、地元やPTA代表参加の協議会を立ち上げ京北の活性化につながる小中一貫校創設に向け取り組む。
次に、大規模校の神川中学校の問題で質問します。
今年度は、1145人34クラスの京都市一の大規模校です。生徒数は、2021年まで1100人から1200人の間で推移していきます。
1100人を超えてすでに5年経ち、これから6年間も続くのです。このままの状態で、放置するのですか。神川中学校の生徒数を二つにわけても、全市75校のうち生徒数の多い学校上位20に入ってしまいます。神川中学校で勤務経験のある教師は、「文化祭でも、体育館に入りきれず2回に分けざるを得なかった。自己表現の場が少なく活躍する場がないといっても過言ではない。教職員集団として、生徒一人一人の個性や行動を把握し、きめ細かな指導を行うことが困難であった。」と振り返ります。1年生の時の教師集団が、3年間ほぼ同じメンバーで生徒の指導に当たります。1学年400人近い集団。3年間ですべての生徒のことを理解するのは大変です。今年度の神川中学校ホームページを読みますと、教職員の苦労と努力のあとが伺えます。「避難訓練の日、1150名グランドに避難4分30秒。点呼が終わるまでに6分38秒。5分以内で点呼が終われるように次回はがんばりましょう。」とか「合唱コンクール取組2日目です。放課後の約30分間の取組ですが、体育館や音楽室の割り当ては短く、どのクラスも時間を大切にして練習に取り組んでいました」と書かれており、生徒と教職員が大変な中、一生懸命がんばっている姿が見えてきます。また、毎日の登下校。小学校と隣接していることもあり、通学路の安全確保が課題です。狭いバス通りに用水路、朝に交通量が多く大変危険です。神川中学校では、適正規模の生徒数なら苦労しなくても済む課題を背負っているのが現実です。このような神川中学校の現状を放置しておいてよいのでしょうか。速やかに神川中学校の分離新設を提案します。いかがですか。
〔教育長〕神川中の生徒数は近年増加傾向であり、プール整備、運動場拡張、校舎の建設等、教育環境整備に努めている。教頭や必要な教員を大幅に加配、落ち着いた環境で教育活動をしている。通学路については、安全教育や教職員による登下校時の指導にとりくんでいる。今後徐々に減少見込みで、増築や分離新設は必要ない。推移を注視し必要な環境整備に努める。
ブラック企業、ブラックバイトから若者を守れ
次に、若者の働き方と行政の果たすべき役割に関わって質問します。
居酒屋でアルバイトしている女子学生は、言います。「ブラック企業のことは知っていたが、ブラックバイトのことは初めて知った。就業開始までに着替えて集合せよと指示されている。皿洗いしていて落として壊したことがあって弁償させられた。自分も弁償することが必要かなと思っていた。」また、20歳の大学生は、「生活費を稼ぐためにバイトしている。パワハラもあり、厨房で失敗した料理を目の前で投げ捨てられた。時給は810円で良いほうだと思うけれど、社員の人が店舗に1人しかいなくて、バイトの責任が重い。大学の授業料が高いのが負担になっている。バイトせずに学校に通える環境をつくってほしい。」これは、民青同盟京都府委員会の青年が、大学門前等で学生に聞き取りをした事例です。非正規雇用の拡大で、アルバイトが単純補助労働ではなく、正規労働者と同じような仕事内容と責任を持たされて働いている実態や「労働法」等の知識のなさが浮き彫りになりました。昨年の参議院予算委員会で、日本共産党の吉良よし子参議院議員がブラック企業の実態を告発し対策を厚労省に求めました。議案提案権を得た日本共産党がブラック企業規制法案を提出したところ、厚労省がその対策に乗り出しました。都道府県の労働基準監督署に相談窓口を設置する、大学と連携した取り組みを進めるなどの通知を出しました。また、今年3月、各大学に「アルバイトの労働条件を確かめよう」というポスターを掲示するキャンペーンが行われました。さらに、過酷な労働を強いるブラック企業に対する規制を盛り込んだ「青少年雇用促進法案」が9月4日衆議院厚生労働委員会で、全会一致で可決され、9月11日衆議院本会議においても全会一致で可決され成立しています。これは国民の運動の成果です。2014年6月成立・11月施行「過労死等防止対策推進法」に基づき、今年7月24日に「過労死等の防止のための対策に関する大綱~過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ~」が閣議決定されました。その中に「中学校・高等学校で労働に関する指導=勤労の権利と義務、労働問題、労働条件の改善、仕事と生活の調和・ワークライフバランスについて理解を深める指導がしっかりと行われるよう」とか「各学校の指導の充実を図るため、厚生労働省において作成した労働関係法令に関するハンドブックの活用や、都道府県労働局が行う労働関係法規等の授業の講師派遣について周知を行う」と明記されています。京都弁護士会でも、労働法制の講師の派遣をおこなっています。そこで、厚労省のハンドブック等を使って労働法制の学習指導をするよう各中学校高等学校への周知徹底を図ること。また、ブラック企業・ブラックバイトから若者を守るために、京都市として、労働局や高校・大学と連携して、相談窓口や対策室などをつくることを求めます。いかがですか。
〔塚本副市長〕ブラック企業・ブラックバイトは若者の未来を奪う許されないもの。本市・府・労働局が連携して取り組んでいる。相談窓口は府・労働局に市内9カ所設置、労基法等に違反する事業所には厳しく指導・監査している。本市では経営者向けセミナーや大学と共同での啓発動画、魅力ある中小企業や若者応援企業の周知などを行っている。市立中・高では、これまでから労働者の権利や義務、社会保障制度の学習を行っている。高校ではワーキングプアやワークライフバランス、過労死、労働災害について取り扱っている。今後、厚労省のハンドブック等を使って、ブラック企業、ブラックバイトなど最新の雇用、労働問題に関する学習について充実に努める。労働局・府・教育機関と連携し、ブラック企業・ブラックバイトの根絶に向け取り組む。
教職員の勤務時間を把握し、超勤をなくせ
次に、教職員の働き方について質問します。
私が教師になったころは、子どもたちと向き合う時間も教職員で子どもの話をしたり教材研究をしたりする時間もありました。しかし、今の学校現場はどうでしょうか。毎日が慌ただしく過ぎていきます。教員の長時間労働が問題になり、超勤裁判や過労死認定行政訴訟裁判闘争がありました。そして、2009年研究主任だった御所南小学校の教員が過労死する痛ましい出来事が起きました。そんな中で、教育委員会として、「時間外勤務の縮減等による教職員の健康の保持・増進について(通達)」を出し、教職員の勤務管理が行われるようになりました。しかし、自分のパソコンを使っての「超勤チェックシート」は、後回しになったり、数日間をまとめて記入したりと充分いかされていないのが実態です。過労死ラインといわれる80時間を超える超勤については健康管理医による「面接指導」をうけることになっていますが、大変忙しい状況の中で働いており、その時間すらとることができません。勤務が80時間を超えないようにと調整して記入している教職員がいたのも事実です。
時間外勤務状況チェックシートについて、80時間を越えた教職員は必ず、①時間外勤務が多い理由 ②現在の健康状況 ③縮減の見通し、工夫を書くことになっています。これでは、80時間を超える勤務をしていることを、本人の自己責任に転嫁することになるのではありませんか。
厚労省も、残業が月45時間を超えると健康被害のリスクが高まると言っています。このチェックシートでは、本当の勤務状況は把握できないと考えます。80時間を超える教職員だけでなく、全教職員の勤務時間管理をすべきです。大阪の高校で実施されている「カードリーダー」などを各学校に設置することを求めます。全教職員の労働時間を把握することは教育委員会の責任ではありませんか。いかがですか。
2011年12月に「小学校部活動(運動部)運営の手引き」が出ました。「京都市小学校部活動実施要項」に基づき、2002年度から開始した京都市独自の取組として教育活動の一環として取り組むと位置づけています。そして活動は勤務時間内といいながら、学校事情により柔軟に取り扱うことができるとか、学校休業日に交流会等を実施することができるとなっています。さらに、すべての教員が部活を指導しなければならないという規定はないが、指導体制を整える必要があると書かれれば、全員がやらざるを得ない状況です。大文字駅伝の練習も子どもたちの体の成長発達との関わりで見直しが必要ではないでしょうか。児童生徒数の多い10校の10月の80時間を超える時間外勤務報告者は、調査し始めての3年間、毎年20人以上いるのです。また、夢と希望を持って教職についたにもかかわらず、勤続10年未満の若年退職者が過去5年間、毎年50人前後いることにも驚きます。教職員がいきいきと子どもたちと向き合い、しっかりと教材研究した授業で、子どもたちのはじける笑顔が見られることが教師の喜びだと確信しています。そのためにも、超勤縮減は急務です。
教育委員会として、校務支援システムなど導入していますが、小学校では、この部活動の時間がネックです。部活動の時間の上限規制をすることが必要ではないでしょうか。これは各学校任せでは実現できません。教育委員会として超勤縮減につながることを積極的に提案していただきたいのです。いかがですか。
〔教育長〕カードリーダーでは時間数の把握に止まるため、業務内容の実態把握も可能な方式を開発し、実施している。全教職員から校長に報告を求め、時間外勤務の実態を共通認識にし、体調管理や業務の見直しをはかるもの。労働安全衛生法で医師による面接指導の努力義務を定められた月80時間を超える者は、教育委員会に報告を求め、医師との面談を働きかけ、学校で配慮している。少人数学級や校務支援システムで80時間超は半減、月平均で1%、今後も縮減に取り組む。小学校の部活動は、手引きで原則平日の勤務時間中としており、さらなる徹底をはかるため部活動ガイドラインの策定を進めている。
介護保険の負担軽減を。サービスを後退させるな
最後に、「老後に安心」介護保険に関わる質問です。
2000年からスタートした介護保険制度は、「みんなで支える老後の安心」を合言葉に、介護保険料を払うことで、いざというときに公的介護保険制度で充分な介護が受けられるというものでした。15年たった今、要介護高齢者をめぐる状況は安心できるものとはなっていません。介護保険料が今期基準額で6000円を超えました。高齢者の生活実態は深刻です。年金生活者の言葉を紹介します。「医療、介護保険料はどんどん上がり、医者にかかりたくても、窓口でどれだけ取られるかわからない。消費税があがり、着るものはもちろん食べるものも、ろくに食べられない。早く死ねと言わんばかりの仕打ち。許せない。」と言っています。これらの負担増による高齢者の困窮についてどう認識していますか。介護保険料の引き下げを行うべきです。財源を一般会計から繰り入れてはいかがですか。
今回の介護保険の改悪で、要支援1、2の人への訪問介護と通所介護を介護保険給付の対象から外し、市町村による「介護予防・日常生活支援総合事業」に置き換えることになりました。これは、比較的「軽度」とされる利用者を介護保険制度によるサービスの対象から除外することであり、サービスの提供主体を「住民ボランティア」「無資格者によるサービス」に置き換えていくことで、コストの削減を図ることです。そして、施設サービスから在宅サービスへ、在宅サービスから家族や近隣住民による「自助」「互助」へという流れを加速させるものです。また、特別養護老人ホームへの新規入所は原則「要介護3」以上に限定してしまいました。要介護1、2の人を入所申し込みの対象から除外すれば、行くあてのない介護難民を大量に発生させることになります。また、今年8月から、これまで「一割」の利用者負担を「合計所得160万円以上の人は「2割負担」に引き上げられました。二割負担証を受け取った方は、御夫婦で支援を受けていましたが、生活が大変と妻のサービスだけにし、自分のサービスを中止されました。このように2割となれば、サービスが必要であっても利用できないという人が出ています。また、低所得の施設利用者の補足給付に資産要件が加わったことで、自分なりに計画を立てていた終のすみかの計画が狂いショックで体調を崩したという方がいます。また、若いときからコツコツとまじめに働いて生活してきて、老人介護施設にお世話になり将来のためにと節約してきたのに、資産要件ができプライバシーが守られない。人権侵害だという方もいます。必要な介護が保障されない重大事態です。京都市として介護保険制度の改悪に反対すべきではありませんか。8月からの新たな負担増については、撤回をし、元に戻すように国に求めるべきではありませんか。お考えをお聞かせください。
2017年4月までに、要支援1・2の人へのサービス「介護予防・日常生活支援総合事業」として京都市は計画を立て実施をしていかなければなりません。今現在「生活支援サービス」の実態調査をしていると聞きます。事業化によって、これまで受けていた必要なサービスが後退することがあってはなりません。要支援者の全ての方に、現行水準の訪問介護、通所介護を保障し、安価なサービスに置き換えるのではなく、現行サービスを維持した上で、さらに充実させることを求めます。いかがですか。京都市は健康長寿の町をめざしています。介護の基盤が揺らぐようなことがあってはなりません。戦後の復興期、一生懸命はたらき、この日本を築いてこられた高齢者のみなさんが安心できる介護保障を求めて、質問を終わります。
〔市長〕国への要望の結果、別枠で公費を確保し、第1段階の保険料を概ね据え置いた。利用者負担の見直し対象は一部の負担能力がある方に限られ、要支援・要介護認定者の1割未満に止まっている。自己負担割合の引き上げについては、高額サービス費の支給で、高齢者に十分配慮されている。介護予防・日常生活支援総合事業については、要支援の方への従来のヘルパー派遣やデイサービスに加え、買い物や電球の交換など、日常の困りごとに対応する多様な生活支援サービスを提供するためのもの。適切なケアマネジメントの下、必要な方に必要なサービスが届く仕組み。円滑な導入に向け取り組む。