日本共産党市会議員団は、自民党、公明党、民主・都みらい、京都党、維新の党・無所属、及び無所属から提案されている、「京都府 豊かな森を育てる府民税(仮称)の導入に関する決議(案)について、反対を表明していますので、議員団を代表して討論をおこないます。
反対の第一は、本・決議文では、森林環境保全について国が本来負うべき責務を明らかにしておらず、市民に新たな負担を課す内容だからであります。
森林は、木材の供給とともに、中山間地域の維持と国土・環境の保全や水資源の涵養など多様な役割を担い、そこで営まれている林業は、地域経済と地域社会を支える大変重要な産業であります。しかし、近年、木材の自給率は2割台に落ち込み、産業は厳しい事態となっています。林業関係者からも、「木材価格が安すぎて伐採できない」と深刻な声が上がり、国民の多くも森林再生を求めています。健全な森林の育成と持続的な林業経営のためには、外材中心の加工・流通体制を改めて、地域の実態に即した安定的な国産材の生産・加工・流通体制を構築することが求められていて、そのために森林整備は欠くことはできず、国の森林・林業政策の抜本的転換は、待ったなしの事態です。
しかし、国の「森林整備予算」は、2008年度の1624億円から2015年度は1202億円と、この8年間だけでも422億円・26%も削減されています。しかも、TPPへの参加で、国産材の需要拡大に悪影響を招き、森林・木材産業の再生をも阻むこととなり、林業にいっそう打撃を与える可能性があります。このように、国において森林整備の責務を後退させていることは重大です。
反対の第二は、京都府の「森林環境税」は、企業には負担を求めず、個人府民税に上乗せ徴収という方法で、市民へ新たな負担を課すものとなっているからです。
森林環境の保全・整備については、企業にとっても当然利益をもたらすことになります。また、企業は森林伐採や開発などにより、利益を得ています。にもかかわらず、森林環境税の負担をしないことは、市民との負担の公平性にも反するのではありませんか。
決議文では、企業が負担しない理由が全く明らかになっていません。むしろ、市民にとっては、消費税増税、社会保障費負担が増えて、暮らしが大変であり、新たな税負担は認められません。
第三は、森林環境税の導入について、京都府議会の「森林環境の保全に関する税制研究会」では、意見は賛否両論併記となっていて、「導入の是非について府民が意見を述べる機会を設けるべき」とか、「一致した結論には至らなかった」などと、まとめられています。そういう中で大切なことは、府民意見をよく聞くことではないでしょうか。
京都市会としては、市民負担を増やすのではなく、森林整備・林業対策において国の責務を明らかにし、責任を持って取り組むことを国へ強く求めていくべきであることを指摘し討論とします。