日本共産党市会議員団は、議第162号 2015年度補正予算案に賛成しています。私は、以下、その理由及び改善点を申し述べ討論いたします。
まず、今回の民間保育所整備助成や小規模保育整備助成などは、保育環境の充実を求める市民の願いに沿うものです。また台風11号による被害の復旧を図ることは、市民生活の安全を確保する上で喫緊の課題であります。
一方で、3億6千4百万円を補正する「京都市プレミアム商品・サービス券」についてですが、当初の状況について、商工部長は「商店街のイベント等、販売促進の取組や、ついで買い等、消費喚起の当初の目的は果たせたものと考える」と答弁されました。しかし、地域の商店街や小売店からは、「消費喚起には程遠い」との声があがっています。
そもそも大型店と小規模店の区分を、大店立地法の基準である1000㎡をはるかに超える3000㎡としていることから、売上の26%が大型小売店で消費されているというものの、実際には1000㎡以下の小規模店への売り上げには繋がっていないのではないでしょうか。
さらに、商品券の換金に最長2ケ月を要し、銀行手数料が1回324円かかることなど、零細小規模事業者には大きな負担となっているのが実態です。補正による第2期目は500円商品・サービス券を作成するとしていますが、小規模事業者の負担軽減を徹底することが大事です。さらに、国の「地域住民生活等緊急支援のための交付金」を活用し、消費喚起による京都経済の底上げを図るというのなら、他府県で、その経済効果が評価されている、「住宅リフォーム助成制度」等への活用を真剣に検討すべきであることを指摘しておきます。
次に、マイナンバー制度の導入に伴う「再交付手続きに係る経費」が補正されています。10月5日から個人番号の通知を行うとしていますが、市民からは「制度の中身が分からない」「どんなメリットがあるのかもわからない」「個人情報が漏れたり、悪用されるのではないか心配」の声が寄せられております。国会で、情報漏えいを100%防ぐシステムは不可能である。意図的に情報を盗み売る人間がいる。一度漏れた情報は流通・売買され取り返しがつかない。情報は集積されるほど利用価値が高まり攻撃されやすくなることが指摘されました。このことは、官房長官も認めており、個人情報の安全性が担保されない制度を導入することは重大な問題です。
そもそも、マイナンバー制度の目的は、社会保障費を削減することにあり、その為に国民一人ひとりの個人情報を一括に管理することを可能にするものです。さらに、制度が始まるまでに、個人の預貯金や、健診結果まで情報管理することが可能となる改正が行われていることに対して、市民が不安を感じるのは当然ではないでしょうか。本市においては、こうした市民の不安を真摯に受け止め、制度を中止するよう、国に対して意見をあげるべきです。
次に、高齢者支え合い活動創出モデル事業についてです。これは、「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」で多様なサービスをつくるものとし、担い手の養成研修や、高齢者の支援活動のモデル事業を行うとしていますが、いずれも、無資格者による訪問介護の緩和型サービスの導入を前提としたものです。在宅療養の現場では、支援を必要とする方への家事援助などは、様々な専門的見地にたった介護者の技術が求められます。介護保険制度が始まって以降、積み重ねられてきたヘルパーによる訪問介護の実践を軽んじるなど、要支援者のサービスを後退させることがあってはなりません。京都市は、国に対して制度の改悪を止めるよう求め、京都市の要支援者の全ての方に、現行水準の訪問介護、通所介護を保障し、安価なサービスに置き換えるのではなく、現行サービスを維持した上で、さらに充実させるべきです。
また、小規模保育整備について、我が党は、保育環境の格差があってはならないと質してきました。保育室が1階にない問題や、給食が外部から搬入されてもよいとなっていることは問題であり、改善すべきであることを指摘しておきます。
最後に、近隣都市との連携に関する共同研究事業は、京都・滋賀・大阪の基礎自治体との連携で観光振興を図るとしていますが、背景には、国の地方創生の方針に基づき地方切り捨てにつながるコンパクトシティの推進を図ることの誘導があることを指摘し、私の討論といたします。