私は日本共産党京都市会議員団を代表して、「戦争法案」の撤回を求める意見書と、安全保障法制に関する意見書に賛成する立場で、討論を行います。
安倍政権は、安全保障関連の2つの法案を国会に提出しました。内容は、「平和安全」などとつけられている名前とは全く逆で、日本を「海外で戦争する国」につくりかえる、「戦争法案」に他ならないことが、始まったばかりの国会審議の中でも、鮮明になっています。
第一に、アメリカが世界のどこであれ、例えばアフガニスタン報復戦争や、イラク侵略戦争のような戦争に乗り出した際に、これまで「戦闘地域」として支援活動はしない、としてきた地域でも、今後は軍事支援活動を行う、という問題です。当然相手から攻撃される可能性が高くなります。このことに関して首相は、自衛隊の行動している場所が、戦闘が行われている場所となる可能性があることを認めた上で、「不測の事態に際して、自衛隊員の生命や身体の防護」のために「武器を使用できる」と答えました。そうなれば、相手からさらに攻撃をうけ、まさに「殺し、殺される」ことになります。これが、憲法9条が禁止する武力の行使であることは明らかです。
第二に、形式上「停戦合意」があるものの、なお戦乱が続く地域で、治安維持活動をするという問題です。この活動の際に自己防護のために限っていた武器の使用を、任務遂行、つまり敵対勢力の「妨害排除」のためでも認めるなど、格段に拡大しようとしています。具体的にどのようなものが想定されるかと言えば、アフガン報復戦争を受けて展開した国際治安支援部隊、ISAF(アイサフ)のような活動が考えられます。首相は、こうした活動に自衛隊が参加することを否定しませんでした。ISAFは、米軍主導の「対テロ」掃討作戦と混然一体となり、13年間で約3,500人の戦死者を出しています。ここでも自衛隊が「殺し、殺される」戦争に参加することになる危険性は明白です。
第三に、日本がどこからも武力攻撃を受けていないのに、集団的自衛権を発動して、アメリカの戦争に参戦し、自衛隊が海外で武力を行使する問題です。これは、歴代政府が長年積み重ねてきた憲法9条の解釈を根底から覆すものとなっています。
今回の戦争法案は、戦後の日本の安全保障政策を180度転換させようとする、歴史的暴挙にほかなりません。この間の各種マスコミの世論調査でも、今の国会で成立させることに反対と答えている方が、過半数となっています。さらに、11にわたる法律の改定・制定を、2つの法案に一括して提出するという方法も、国民への説明や国会での徹底審議を避け、結論ありきで法改正を強行しようとするものであり、許されるものではありません。
憲法9条を壊し、海外で戦争する国づくりを進める「戦争法案」は撤回するべきであることを述べて、討論とします。