2015年度京都市予算案等についての討論 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

2015年度京都市予算案等についての討論

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閉会本会議討論
井坂 博文議員
 日本共産党京都市会議員団は、予算特別委員会に付託された議案55件のうち、議第1号「27年度一般会計予算」、議第4号「介護保険事業特別会計予算」、議第5号「後期高齢者医療特別会計予算」、議第20号「自動車運送事業特別会計予算」をはじめ、議第27号「職員定数条例の一部改正」、議第32号「動物による迷惑等の防止に関する条例の制定」、議第39号「老人医療費支給条例」、など20議案に反対し、残余の35議案には賛成の態度を表明しておりますので、以下その理由を述べ議員団を代表して討論を行います。
 まず、27年度一般会計予算に関して。予算に反対する第一の理由は、市民に多大な負担をおしつけ市民生活を壊してきた「京プラン」実施計画を総仕上げし、今後も継続することを明らかにしていることにあります。
 市長は予算の提案説明において「京プラン」実施計画を「我が国屈指の行革を断行し、財政構造改革を大きく前進させた」と自画自賛されましたが、その行革の実態はどうでしょうか。社会福祉関係費削減や職員削減による人件費の削減に加えて、2013年度の「ゆりかごから墓場まで」の値上げに続き、2014年度は市バス・地下鉄・上下水道料金をはじめ各種手数料に消費税増税の転嫁をおこない、その後年度負担は耐え難い痛みを市民に押し付けてきました。同時に、国の消費税増税、社会保障の連続負担増によるダブルの痛みです。市長自ら認めているように市民が「景気回復が実感できない」のはアベノミクスの破たんだけではなく、「京プラン」実施計画による市民負担増があるからにほかなりません。これを「総仕上げ」すれば「持続可能な行財政の確立」の前に市民生活の方が持続できなくなります。「京プラン」実施計画は継続ではなく、撤回するよう強く求めるものであります。
 第二に、国の「地方創生を先導し、モデルにする」予算としていることにあります。国の掲げる「地方創生」とは、「自治体が消滅する」と地方自治体を脅し、「東京一極集中と人口減少社会の打破」と称して、一部の拠点に行政施設とサービスを集約して周辺は切り捨て、格差拡大を進め、地方自治体こわしをすすめるものです。
 論より証拠、総括質疑で副市長は「切り捨てられるエリアをできるだけ少なくする」「切り捨てられるところを一つにまとめて切り捨てられる数を減らす」と、地域の切り捨てが前提となっていることを、正直に答弁で語っているではありませんか。
 よそ事ではありません。京都市が1月に発表した「京都駅周辺における地域地区の見直し」案は、高さを20メートから31メートルに、容積率を200%から600%に緩和する提案をしています。まさに、財界による規制緩和の要求に沿ったものであり、市民と世論が行政を動かし策定し、その後も市民が守ってきた新景観政策の規制を京都市自らが破っているではありませんか。絶対に認めるわけにはいきません。
 第三に、財源対策と経済対策が京都市「財政危機」の真の解決になっていないからですす。市長は「本市の財政収入と地方交付税収入がピーク時から400億円も下がったまま」と嘆いていますが、診断と処方箋がかみ合っていません。市税収入を増やすには、中小企業と市民の担税力をたかめることが必要です。「アベノミクスによっても中小企業が景気回復を実感できていない」と認めるのであれば、賃上げで市民の収入と所得を増やす、中小企業の業績を上げ担税力を高める京都市独自の手立てが必要です。ところが、京都の経営者協会には「正規雇用の拡大と賃上げ、就労環境の改善」を要望しながら、市長の選挙公約である公契約条例は公約の最終年度の予算でも「制定を検討する」にとどまっています。質疑の中で賃金規定をめぐり「利害が相反する」との答弁がありましたが、二者拓一論を克服して賃金規定を明記した公契約条例の制定を強く求めます。
 一方、副市長は「市の事業でも質の高い雇用は必要」と認めながら、京都市が設置者である市立病院の院内保育所「青いとり保育園」では、これまで働いてきた職員が4月以降はゼロになり、求人情報では基本給13万円の低賃金雇用となっています。京都の経済界にものを言うのであれば、足元でこそ「質の高い安定雇用の拡大」を実施すべきであります。
 また、国債の発行を地方の市債に回しただけの臨時財政対策債を速やかに廃止し、地方交付税本来の地方財政の調整と保障の役割を発揮するよう更なる法定率の改善とともに、必要額を確保するよう腰を据えて国に求めるよう強く求めるものです。
 同時に、400億円と言われる地下鉄烏丸線の更新、下水道老朽管の更新のための国補償制度の拡充を国に求めるべきであります。
 第四に、「財政が大変」と言いながら、ムダと不要不急の事業にメスが入っていません。
南部クリーンセンター第二工場の煙突に2億5千万円かけて計画する展望台について市長は「必ずごみ減量につながる」と答弁されましたが、まったく根拠がありません。意義も根拠も不明な展望台はきっぱりと止めるべきです。
 また、リニア新幹線は現時点でも9兆円の経費、トンネルと電磁波による環境破壊が懸念されています。市長はそのリニアを肯定し「リニアは京都と日本の未来のために必要」と強弁し、京都駅誘致に500万円の予算を計上していますが、撤回し誘致運動をやめるよう強く求めます。
 「国民健康保険事業特別会計」は、市民の運動により国保制度が始まって以来初めてすべての保険料を引き下げ、市民の負担軽減を図るものであり、賛成します。引き続き、一般会計繰り入れをすすめ、保険料の引き下げを求めます。ところが、国は2018年度に自治体の繰り入れをなくすために「国保の都道府県単位化」をめざし、市長は自ら掲げる「保険の一元化」のステップと高く評価していますが問題です。国に対して「単位化」反対の声をあげ、自らの「一元化」方針を撤回するよう求めます。
 子どもの医療費助成条例について、制度の対象が中学校卒業まで拡大されました。しかし、通院の自己負担(1人1医療機関につき上限月額3000円)は現状のままであり、府の制度に独自の上乗せを行ない、通院も中学校卒業まで無料とすることを求めます。
 「介護保険事業特別委会計」は、国の介護報酬引き下げに対して無批判であり、介護保険料の値上げをふくむ予算であり反対します。「国に意見を言う」と言うものの、市独自の減額制度の拡充方針がありません。介護報酬削減による実態調査を求めても副市長は「開所の相談はあっても廃所の相談はない」と開き直りましたが、介護報酬削減による実態調査の実施と報酬の引き上げを国に強く要請することを求めます。
 現行の「老人医療費支給条例」の廃止は許されません。市民がどれだけ65歳から医療費1割になるのを心待ちにし、喜んでおられるか。市長にその声が届いていないのですか。副市長は「想像以上の高齢化の進展」と言い訳されたが、高齢化の進展はわかっている話です。一年間で総額6億円にも及ぶ負担増であり、廃止方針を撤回し継続し、対象年齢を74歳までに拡充するよう求めます。
 いわゆる「動物による迷惑防止条例」について。動物の取り扱いに起因して人に迷惑を及ぼすことを防止し、発生するトラブルの解決、街の美化の推進や生活環境の保全を図ることは必要です。しかしながら、条例で餌やりを禁止し、罰則で取り締まることは自治体の姿勢としてはなじみません。そのことは、条例の名称を変えても、施行期日を延ばしても、条例の本質は変わりません。このまますすめば、住民間の対立が強まり、トラブルが広がる可能性もあります。行政の体制を強化し、個別の対応策とトラブル解決の支援こそ強めるべきであります。
 最後に、日本共産党市会議員団は、市民いじめの政治とは正面から対決し、どんな問題でも市民の目線で対案を示して提案し、一致する点で共同を進めてきました。来たるべきいっせい地方選挙においても、安倍暴走政治にストップをかけ、住民の苦難の解決と市民要求実現へ全力をあげます。そして、新たな議会でも、その役割を発揮して奮闘することを決意して討論とします。

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