経済政策の基本と消費税増税について
下京区選出の山中渡です。2015年度京都市予算案について日本共産党京都市会議員団を代表して質問します。予算案に対する市長の基本見解を中心に伺います。
市長は、予算案の重点の一番に京都経済の活性化と安定した雇用の創出を掲げました。また、京プランの総仕上げとして、政策と一体に徹底した行革の断行を推進するとしています。
まず、最初にこの予算案で、本当に京都経済の活性化や雇用の安定が図れるかという点について伺います。予算案では、国の経済政策と本市の成長戦略で市税収入は増加するとしています。市長は安倍政権の地方創生と経済政策が本市の実体経済に効果があるとお考えなのでしょうか。今年の国への予算要望には、安倍政権の地方創生、経済政策について、「人口減少」問題や「地方の活性化」の問題に対し、「解決の道筋をつけようとする力強い国策である」との記述がされています。しかし、実態は大企業が史上最高の利益をあげても内部留保を増やす。その一方で、労働者の実質賃金は18ヵ月連続減少です。雇用についても非正規労働者がついに2000万人を超えました。賃金と個人消費は上がらず、不安定雇用が増大する事態が続いているのではありませんか。昨年のGDPも1年通じてマイナス、国民消費の10月から12月期もマイナスでした。日銀の昨年12月の「生活意識に関する」調査でも「生活にゆとりがなくなってきた」「1年後の景気は悪くなる」と答えた人が多数でした。雇用と消費低迷の「解決の道筋」などまったく見えていません。京都市中央卸売市場第一市場の初市式でも業界代表の方が、「アベノミクスというが中小零細企業は厳しい」「購買力が落ちている」とあいさつされたとおり、京都の中小企業が停滞から抜け出す見通しはまったく立っていないのが現状です。それでも市長は安倍政権の経済政策を「力強い国策」と評価されるのですか。
今年公表された国の資料でも、景気が良いのは自動車や電気機械など海外需要が増加している業種や訪日外国人客関連業などで、収益が増加しているとしていますが、中小企業は「原材料・エネルギーコスト上昇の価格への転嫁が困難」であり、内需依存度の高い食料品、小売りや飲食等は収益が悪化しているとしています。今年1月に公表した京都市中小企業景況調査でも経営上の不安要素のトップに「売り上げ不振」が上がり、「原材料価格上昇」も不安要素の高位を占めるなど、京都市における「円安」の影響は全国と同様です。ところが提案された中小企業支援予算の内容と予算額はどうでしょう。円安効果が見られる観光対策などあるものの、らくなん進都推進や企業立地促進助成など従来型、呼び込み型の対策が中心です。伝統産業の振興にいたっては京もの海外進出助成、伝統産業を担う若手支援予算はわずか3600万円です。
市長の言う「市内企業が景気回復を幅広く実感できる」というなら、呼び込み型の企業誘致策を改めること、そして成長が見込める企業への応援にとどまるのではなく、中小零細企業の固定費負担を軽減するなど、すべての中小零細企業、地場産業、商店街を対象とした支援策へと中小企業対策の基本を転換することが必要と考えますが市長いかがですか。
消費税8%増税による中小企業への影響は深刻です。安倍首相は中小企業団体の全国大会あいさつで「原材料やエネルギーのコストが上がって転嫁できないという中小・小規模事業者の切実な声をよく耳にする」と述べましたが、京都の中小企業団体の調査でも規模が小さいほど消費税が転嫁できない実態が報告されています。中小零細企業にとって消費税増税は「死活問題」になっています。安倍首相はどんな条件でも10%増税を実行するといっていますが、8%への増税が京都経済を悪化させ、中小零細企業を窮地においやっていることがこれだけはっきりしているのに「消費税は必要」との市長の認識を今後も続けるなら、中小零細企業はいっそう押しつぶされるだけではありませんか。中小企零細企業の振興を図るというなら消費税10%の中止を求めるのが市長の責任ではありませんか。
その際、今後政府がやろうとしている外形標準課税の対象拡大について、これまで「本市の中小企業を取り巻く環境が依然として厳しく、その経営に大きな影響を与える恐れがある」との市の認識を示されています。そうであるなら国に対してその撤回を求めることが必要と考えますが、市長お答えください。
中小企業振興基本条例と公契約条例制定を(塚本副市長)これまでから本市の最重点課題として中小企業の下支えと振興に取り組んできた。呼び込み型ではない。京都経済はゆるやかな回復基調にあるが、中小企業と家計には恩恵が十分には及んでいない。そのため、国の交付金を活用した消費喚起策として、中小店舗に限定して利用促進を図るプレミアム商品・サービス券を発行し、子育て世代に割引券を交付し、中小企業と子育て支援に重点を置いた。27年度予算では、融資制度や企業立地促進助成金など従来施策とともに、販路開拓事業や新事業の創出など、引き続き中小企業支援に取り組む。消費税は中小企業の経営に影響を与えることから、引き続き国の検討状況を注視し、必要な配慮を求めていく。外形標準課税についてはこれまでから国に対し、中小企業への十分な配慮について要望している。
中小零細企業対策について具体的に伺います。
本市において中小零細企業対策を本気で進めようとするなら、これまでの公共事業と企業誘致という、古い効果がない経済政策から地域内再投資力をつける経済対策への転換が急務と考えます。最初に、今日に至っても京都市中小企業振興基本条例をつくろうとしない点について伺います。
日本共産党京都市会議員団は2011年に、京都市中小企業振興基本条例大綱を発表しました。その中では、中小企業の振興は地域の経済や社会を維持・発展させるまちづくりの要であるとして、そのために京都市が必要な調査を京都府、大学等と連携して行うことを求め、中小零細企業振興に向け、中小企業、大企業、市民の役割を示しました。議会でも繰り返し条例制定を求めてきましたが、京都市は「他都市の成果を検証し経済団体の意見を聞くなど引き続き検討を進める。」「小規模企業振興基本法の趣旨を踏まえ、引き続き、他都市の事例を検証しながら、検討を進める。」との答弁を繰り返してきました。ところが、今予算案でも具体化されていません。
大都市でも横浜市で制定され、中小企業支援の実績のある墨田区では系統的に支援策が拡充されています。中小企業振興基本条例について、他都市の成果とその検証結果、京都市の取り組みの到達について市長の認識をまずお答えください。
さらに「小規模企業振興基本法」は従業員20人、商業・サービス業は5人以下の小規模企業が、事業の持続的発展を支援する施策を、国・地方公共団体などが連携して講じるよう求めています。その上で地方自治体に対して、地域の経済的社会的条件に応じた施策を策定し、実施する責務があると規定しています。同法を踏まえるならその具体化が直ちに必要と考えますが市長の考えをお示しください。
さらに衆院経済産業委員会の参考人質疑で、中小企業家同友会全国協議会の副会長は、自治体の取り組みについて中小企業振興基本条例の制定と、しっかい調査の実施などが重要と強調されました。本市において、中小企業振興基本条例制定に直ちに着手し、中小零細企業のしっかい調査に取り組むべきと考えますが市長の見解をお答えください。
(産業観光局長)他都市の基本条例の多くは中小企業の役割認識を促す理念条例で、実効性の担保が課題。条例化はこうした課題もふまえ、引き続き検討していく。小規模企業振興基本法の具体化について、すでに経営支援員の増員、商議所と一体となった経営相談や専門家派遣等を行っている。来年度から融資制度についても、小規模企業の貸付比率を引き下げる等見直し、今後ともオール京都体制で、中小企業振興のさらなる充実をはかる。
さらに公契約条例の制定です。市長公約です。この間、京都の中小企業団体、労働組合、弁護士会などから公契約条例制定にむけ積極的な提案、要望活動が行われています。京都総評や京都弁護士会は昨年末に、公契約条例は最低賃金引上げの実現が期待でき、下請け孫請けは地元業者とすることで地域経済の活性化が期待できる。また、中小零細事業主の経営を圧迫せず労働者の賃金の底上げなど地元企業の経営の安定が図れ、地域経済を活性化することにもつながると、その早期制定を求める提案や声明を出しました。官公需適格組合も昨年6月京都宣言を発表し、その中で公契約条例の制定を求めています。
これらの団体の皆さんの提案や声明について市長はどのように受け止められていますか。公契約条例については、中小企業の経営安定と労働者の賃金底上げに資する条例とすべきと考えますが市長いかがですか。
(財政担当局長)公契約基本条例制定へ検討を進めてきた。現在、中間報告、事業者アンケートをもとに経営者や労働団体、学識経験者に意見を聞いている。団体からの要望書もいただいている。十分検討し、来年度の制定をめざす。京都経済活性化のため、条例制定を待つことなく、これまでから市内中小企業への発注に最大限努め、ダンピング大作のため入札制度改革を行っており、今後もむ必要な取り組みを実施していく。
市民に負担を押し付け、自治体の役割を放棄する「京プラン」中止を
次に「行革」「京プラン」について伺います。
市長は2010年に「民間の経営感覚を取り込み、効率的な市政」で「持続可能な行財政の確立」をはかるとして「京プラン」を提案、当時の自民党、民主・都みらい、公明党の賛成で可決されました。続く2012年に「京プラン実施計画」を発表、社会福祉関係費など4年間で250億円削減、職員690人削減など具体的目標と計画をうちだしました。
負担増、行政サービス削減を高齢者、生活弱者の方を対象にスタートしたところに「京プラン実施計画」の大きな特徴があります。2012年度予算では緊急通報システムの利用料金引き上げ、生活保護費の抑制、65歳以上の市民の個人府市民税軽減措置の廃止など生活弱者の市民を対象に34億円規模の負担をおしつけました。2013年度では過去12年間なかった水道料金の値上げをはじめ保育料、各種公共施設利用料などの値上げで14億9千万円。続いて2014年度では消費税増税について市長は「消費税は社会保障に必要な財源を安定的に確保するため広く負担を分かち合う制度」と消費税増税を歓迎。そして、水道料金の2年連続値上げをはじめ、市バス、地下鉄運賃、各種公共料金を値上げし、総額27億7千万円の負担増を強行しました。
こうしたもとで例えば高齢者の皆さんの生活にどんな影響を与えたのでしょうか。政府は実質年金を削減する検討をすすめていますが、実行されると年金生活者の所得はいっそう減ります。こうしたところに生活必需品の物価上昇が及び、電気料金や京都市の水道料金の値上げがのしかかりました。敬老乗車証についても応益負担とばかりに市バスや地下鉄を利用すれば100円の支払いを求めるなど検討していますが、こうした京プランの実行は、これからも負担増の道でしかありません。高齢者の皆さんへの影響を例にあげましたが、市長は、「京プラン」が高齢者の皆さんに与えた影響についてどのようにお考えですか。
第二は、市民の命と健康を守るうえで欠くことのできない施設についても廃止や民間移管を強行したことです。2010年に市長は市立看護短期大学を廃止しましたが首長による公立の大学廃止は全国に例のないことでした。その後、洛西ふれあいの里保養研修センター廃止、京都市身体障がい者リハビリテーションセンター附属病院の廃止。そして公立保育所の廃止と民間移管が強行されてきました。リハセン附属病院の廃止について医師等関係者の皆さんは引き続き厳しく批判されています。
第三は、民間委託や職員削減の影響です。2013年の台風18号の際には民間委託の小栗栖排水機場が機能せず、現時点で補償総額8億円にも達する甚大な被害をもたらしました。さらに税の賦課業務の集約一元化で区役所における税の相談業務など、区役所業務の後退の懸念が広がっています。ごみ収集業務についても、民間委託を7割まで拡大する方針ですが、「災害時の対応ができるのか」「ごみ出しそのものが困難な世帯の増加に対応できるのか」の心配の声を聞きます。
市政の多くの業務は住民の身近な問題と関わり、積み重ねがあります。これを経費節減と効率化だけで次々と行政サービスを削減することが、市民生活に新たな問題と矛盾を生み出しているとお考えになりませんか。京プランをすすめるほど市民生活はますます壊れ、市財政の危機と深刻さがさらに深まっているのではないでしょうか。このまま続けたら自治体の役割放棄がますますすすむだけと考えますが、市長いかがですか。
(市長)本市は収入がピーク時より400億円減少し、社会福祉関係費が増加の一途と厳しい財政状況の中、市長就任以来、2940人の職員数を削減し、人件費を年間300億円超減らした。さらに、「民間にできることは民間に」など徹底した行財政改革で財源を確保し、福祉、教育、子育て支援を充実してきた。特別養護老人ホームなど介護保険施設整備、待機児童ゼロ堅持のため新規受け入れ枠倍増、3人目の保育料無償化拡大、子ども医療費支給制度拡充など、市民の命とくらしを守る取り組みが大きく前進しており、「京プラン」は自治体の役割放棄という指摘は当を得ない。国に対する要望とともに、市の努力も重要。「京プラン実施計画」総仕上げとなる来年度も、着実に推進していく。
地方財源確保について
次に、本市財政について伺います
市長は財源不足を強調されますが、京都市の財源不足の一番の原因は国の一方的な地方交付税の削減です。本市の地方交付税はピーク時の時と比べると670億円も削減されています。国は地方交付税を今後さらに大幅に削減する考えを示し、2001年から地方交付税削減分補填の臨時財政対策債の措置がとられていますが、それを含めても縮小されています。市長は地方交付税確保について要望しているといいますが、安倍政権がこうした削減路線を強めていることに対してまともに対応しているのかということです。「リーマン・ショック対応」あるいは地方交付税の大幅削減による地方財政の厳しさから、国のとった地方交付税の「上乗せ措置」なるものついても削減する方針です。さらに、地方交付税の算定にあたっては職員削減、人件費削減、公債費残高削減など「行革」を誘導しています。
そもそも地方交付税はどの自治体であっても標準的なサービスの財源を保障し、住民の福祉機関としての役割を支える基本となる財源です。行政サービス削減や負担増などの政策誘導に従うなら財政も市民生活もますます深刻な方向に向かうだけではないでしょうか。本気で京都市に必要な財源確保を求めようとするなら、地方交付税算定にあたっての国の「行革」誘導策は地方交付税の制度をゆがめるものであり、その是正を求めるべきではありませんか。
また、地方交付税制度を守り、地方に必要な財源については国がその責任を果たすよう強く求めるとの市長の姿勢が必要です。また、消費税増税と地方財政について市長は「地方消費税の拡大」が図られるとの見解を示されていますが。地方消費税が増えると基準財政収入額が増え、結果として地方自治体の地方交付税は減額になります。消費税増税で地方交付税が減額され、本市財政はますます危機に追いやられるだけです。財源確保の点でも消費税増税は必要との考えを改めるよう強く求めておきます。
(財政担当局長)地方交付税は、一部、行革努力の指標での額が算定されるが、総額に占める役割は小さい。この算定方法の是非よりも、地方交付税等が削減されていることが大きな問題。臨財債野廃止とともに、地方交付税の必要額確保について、引き続き求めていく。
若者などの雇用対策の強化を
次に、雇用対策について質問します。
京都市は、「雇用労働行政は、国および都道府県が所管すべき分野」としてきた姿勢を2008年度に改め「若者の就労支援をはじめとする雇用対策の充実強化を図るため」として、産業観光局商工部に雇用創出の「担当部長」を設置し、経済企画課が雇用対策を統括するとともに、総合的な雇用施策ために関係局長らで構成する「庁内横断的な組織」を設置しました。ところが早くも2014年度にはこの担当部長職を廃止し産業観光局商工部に統合してしまいました。雇用対策の後退です。
全国的な非正規率は今や38%です。若者をはじめとする雇用をめぐる状況は2008年当時と比べても確実に深刻さは増しています。若者を使いつぶすブラック企業の働かせ方が、学生アルバイトにまで拡大しています。マスコミ数社が報道しましたが、非正規の現場では長時間労働、残業代が出ない、有給休暇がないなど違法、無法な働かせ方のもとで、正社員と同じレベルの労働を強いられるというひどい実態があります。総務省の調査でも大学、短大を卒業した人の三分の一以上が年収300万円以下の賃金であることが報告されています。また、厚生労働省も新卒者の3年後の離職率は3割にも達していると報告しています。私自身も「非正規雇用だが、300万円を超える奨学金返済が滞るようになった。今の仕事を止めても次の就職がすぐに決まるかどうか不安で抜け出せないでいる」との若者の声を聞きましたが、人生そのものを押しつぶしているとの思いを強くしました。
今、京都市の非正規率は43・7%と全国平均を大きく上回るワーストワンです。指摘した若者を取り巻く雇用の現状と本市の非正規率ワーストワンについて市長はどのように認識されていますか。市長は関西の経済団体の皆さんの前で「宿泊や飲食の雇用は7割が非正規」であることを指摘し、改善にむけ経済界の英断を要望されましたがそうであるなら、市長がまず正規雇用の拡大とブラック企業の根絶を宣言すべきと考えます。また、職員削減のもとで公務労働の非正規雇用を増やしていること自体をまず改善すべきです。市長いかがですか。
国のブラック企業調査が行なわれましたが、ブラックバイトが出現するなど事態はさらに深刻化しています。予算案には正社員化等の処遇改善を進めるとありますが、処遇改善目標1000人、ところが市内の非正規雇用者数は32万6500人、非正規率は年々増えています。実態を踏まえた対策とは思えません。市として長時間労働や使い捨ての実態などをまず把握することをやるべきではありませんか。市長いかがですか。
(塚本副市長)平成25年9月に市長もメンバーの京都雇用創出活力会議で「4年間で正規雇用3万人創出」など安定雇用戦略推進を確認した。経済団体に対しても、労働局、京都府とともに正規雇用の拡大と若者の定着支援を要請した。近く、再度申し入れる予定。長時間労働や若者使い捨ての疑いのある企業に対しては、労働局、京都府と緊密に連携し、実態把握に努め、ブラック企業根絶に向けてオール京都で取り組んでいる。本市の外郭団体や民間企業への委託は、適切な委託料確保を図ることにより、必ずしも非正規雇用につながるものではない。本市の非常勤嘱託やアルバイトは、一般職員との適切な役割分担で配置しており、近年、その人数は増えていない。
京都駅周辺などの高さや容積率緩和方針について
京都駅周辺などの高さや容積率制限緩和方針について伺います。
今、安倍政権は地方都市の機能をその地域の中心部に誘導、再整備するコンパクトシティ構想で地方創生を図るとしています。本市においてもこの1月、京都駅周辺など5地区の見直しを内容とする「駅周辺における地域地区の見直し(案)」を発表しました。そこでは将来の土地利用やものづくり拠点などいくつかの構想が描かれていますが、そこで重要拠点とされているのが「京都駅周辺エリア」です。「市の都市機能の中枢を担う重要な地域」と位置付けています。規制緩和が提案されるなど国の構想そのままの採用です。ここでは高さについて最大で20メートルの地域を31メートルに緩和する。さらに住居地域を商業地域に見直し、最大で容積率200%を3倍の600%に緩和することなどが提案されています。景観政策にそむくことになります。再開発が想定され、新しい規模の大きいビルの出現が可能となります。政府は都市開発の資金について、不動産によって生み出される利益を当てこみ、公共施設整備についても同じ方針で資金を集めるとしています。
今年に入って関西、京都の財界関係者から、この地域の高さ規制緩和の要望が出されました。インフラ整備をおこなう能力を持つ企業や投資家の利益が優先される開発が誘導されることになるではありませんか。市長いかがですか。同時に、地域の住民にとっては権利や利益が大きく失われ、新たなくらしと地域破壊が進むだけと考えますが、市長いかがですか。
(市長)本市はきたるべき人口減少社会に挑戦する取り組みとして、商業、業務、医療・福祉施設などの生活利便施設を駅周辺に集積させ、市民が便利で暮らしやすく、地球環境への負荷が少ない「エコ・コンパクトな都市構造」の実現を目指している。現在、駅周辺の用途地域などの見直しを進めており、京都駅周辺においては、河原町通とJRとの立体交差完成や八条通の拡幅など、都市基盤が整った箇所について、商業、業務機能の中枢を担ってきた京都駅北側地域と同様の用途地域、容積率及び高度地区等に見直し、都市機能の更なる強化を目指すもの。この見直しにより、既存の都市基盤を最大限活用した土地利用の誘導を図り、京都駅の集客効果を周辺地域のまちづくりに活かし、地域経済の活性化とともに、生活利便性の更なる向上を図ろうとするもの。
戦後70年、今こそ憲法生かす平和施策を
最後に平和施策について伺います。武装組織IS(イスラミック・ステート)による日本人殺害という事件は国民の間に大きなショックと怒りを呼び起こしました。テロ根絶の国際社会の結束と政府の冷静な検証が求められます。また、今年は、第2次世界大戦終結から70年となりますが、憲法を守ることの大事さが正面から問われています。集団的自衛権の行使の一番の狙いは、日本の国を守ることでも、国民の命を守ることでもなく、アフガン戦争、イラク戦争のような戦争をアメリカがおこしたさいに、「戦闘地域」まで行って自衛隊が米軍と一緒に軍事行動をすることにあると考えますが市長の認識はいかがですか。
世論調査では日本の国際的協力について57・9%の人が非軍事的行為に限るとしています。憲法9条改悪にも6割の国民が反対の表明をしています。安倍首相は今年5月ごろに集団的自衛権行使の法案提出を予定しています。憲法問題等について、議会答弁で繰り返されてきた「国民全体で議論されるべきもの」との認識のままでいいのでしょうか。「市政の全体が平和施策」というが、市民の安全を守るというなら市長が先頭にたって、日本を戦争に導く集団的自衛権行使容認など危険な流れについて批判し、憲法擁護の見解を今こそ示すべきと考えますが市長いかがですか。
(塚本副市長)集団的自衛権の行使は、我が国を取り巻く安全保障環境の変化を考慮し、我が国の平和と安全を維持し、国民の命を守り、国際社会に積極的に貢献するため、従来の政府見解における憲法解釈の基本的な論理の枠内で行ったものと説明されている。集団的自衛権の行使および憲法9条に関しては、国民全体で議論が深められるものであり、国民の声をしっかり受け止め、十分な説明責任を果たすべきと考えている。日本国憲法における平和の理念は、日本国民のみならず、世界の人々に共通する願いであり、変わらざる人類普遍の理念。本市は、平和都市宣言、世界文化自由都市宣言を行い、一貫して平和を都市の理念としてきた。
第二質問
景気回復基調といわれましたが、年収200万円以下の「働く貧困層」は史上最多に広がっているのが現実です。本市の中小企業の厳しい実態も、アベノミクスが地方に届いていないのではなく、この経済対策がくらしと経済を壊しているのです。
「京プラン」と市民の生活実態の認識を伺いましたが、答弁を避けられました。京プランによる負担増と公務労働の非正規化拡大が、くらしを困難に追いやり、消費力を後退させているのではないでしょうか。ここに目を向けることが必要です。
引き続き、予算特別委員会で質疑することを申し上げ、質問を終わります。