まずはじめに、中小企業の振興を図ることは極めて重要なことであります。とりわけ全国の中でも、疲弊の度合いが高い京都の経済を底上げる為に、中小企業に対する支援を強めることが求められていることに異論はございません。しかし、今回提案されている意見書案には看過できない問題があるため、わが党としては賛成することができません。
以下自民、公明などの共同提案「地域の中小企業振興策を求める意見書案」の問題点を指摘し討論を行います。
まず第一の問題は、破たんしたアベノミクスの地方版である「地方創生」を進めることを前提としているからであります。意見書自身がアベノミクスがもたらした「過度な円安状況に対して、政府・日銀が協調して為替の安定に努めることが重要」と指摘しているようにアベノミクスは明らかな失政であります。
「地域創生」とは、過疎のまちや周辺部を「都市の集約」と称して切り捨てながら、「アベノミクス」がめざす「世界で一番大企業が活躍しやすい国」へと地方をつくりかえ、大企業のために雇用や医療、農業など国民の生活と権利を守ってきた規制を撤廃するのが狙いであります。すでに、地域の中小企業の振興を妨げ、地域を疲弊させてきた政策をより全面的に行うものであり許せません。富める者には、もっと大きな富を、国民には生活の悪化だけ、結局「アベノミクス」がもたらしたものは格差拡大と景気の悪化だけではありませんか。
第二に、そもそも、地域の中小企業の振興を図るためには、為替を安定化させると同時に、安倍首相が先送りの後に必ず行うと断言している消費税増税を中止することが先決であります。京都のある経済団体は、「消費税増税の影響調査を行ったところ、5月時点では夏までには消費が回復するとみていたが、9月、10月になっても回復していないという結果であった」と述べておられ、この傾向は全国的なものとなっています。「経済不況のもと、反動減の回復が見込めないうえ、8%でも苦しいのに、これ以上の消費税増税には耐えられない」というのが中小企業のみなさんの切実な想いであります。
第三に、中小企業の願いは、景気の回復であります。景気を回復するためには、大企業の内部留保を活用し労働者の賃金を引き上げ、家計所得を増やして消費をあたためることが必要です。同時に、中小企業が安心して賃金の引き上げができるよう中小企業に対する国の対策費を大幅に引き上げることが必要です。投機マネーを規制し、実態経済を涵養する政策の実現を図るなど、中小企業を経済の主役と位置付ける財政措置こそが求められています。わが党はこれらの施策を具体化するために、2010年に閣議決定された「中小企業憲章」を国会決議とし、一日も早く本市の「中小企業振興基本条例」を制定することを求めるものであります。
この道こそ、真に中小企業の振興と地域経済再生への道であることを申し述べて、私の討論といたします。