日本共産党京都市会議員団は、提案された議第374号、土地利用の調整に係るまちづくりに関する条例の一部改正について反対しておりますので討論します。
今回の条例改正案は、開発事業について構想段階での協議や手続きを定めるものです。改正案では、パチンコ屋、遊技場や集会所など、集客施設である建築物の対象が拡大されました。これは、高野パチンコ店建設問題で住民の運動や議会での請願の採択もあり、改善されたものであり評価できるものです。また、土地利用審査会の機能など審査機能を強化すること、開発事業者の見解に対し、再説明の要求書を提出できるとするなどの意見調整の仕組みの充実など改善点もあります。
しかし、条例の目的である「本市及び市民の意見を反映させるための手続きを定め、都市の健全な発展と福祉の増進につとめる」という立場から逆行する問題があります。公告・縦覧期間を3週間から2週間に短縮すること、説明会の周知範囲を従来の基準としてきた250mを100mに狭めることは、市民がまちづくりに参加し取り組む上で、その条件を狭めることになります。
また、説明会について、「説明会に参加した時は、開発事業者の立場を尊重しつつ協議等を行うよう努めなければならない」としています。これは、市民に開発事業者の立場を押しつけるものです。なぜ、市民が開発事業者の立場に立たなければならないのか。開発事業者にこそ、住民の立場に立つことを明確に求めるべきではありませんか。議論の中でも理事者は、「事業者に過度の負担を求めない」と発言がありましたが、行政が市民の立場に立たず、開発事業者の立場に立つものであり重大です。住民の立場に立つことこそ行政の役割ではありませんか。条例改正にあたって、本市の姿勢が問われます。住民の立場にたつ条例とすべきです。
改正された条例が、京都のまち、市民やそこで営業しくらす人の生業を支えるものになるのか、14の世界遺産を抱える1200年の歴史と伝統、景観を守り生かすものになるのかが問われます。2000年に大店法(大規模小売店舗法)が廃止され、大店立地法になったことで、商業調整、大型商業施設を規制するルールがなくなりました。その流れの中で、まちづくり条例が商業集積ガイドプランと一体で制定されました。「ガイドプラン」の内容は市内を7種類のゾーンに分け、「北部は保全、中心部は再生、南部は創造」と基本計画に基づいたもので、規制が全くない地域、20000㎡の大規模施設誘導地域ゾーン、市内の多くの地域で上限を1000~3000㎡にするなど、大型店誘導プランです。その後、市内ではイオンなど大型商業施設の建設が進み、総売場面積の5割に迫り、商店街・小売店の減少、衰退、疲弊が進みました。そうした中で「これ以上の大型店はいらない」という市民の運動が大きく広がり、市民的な議論が起こり、議会に請願も出されてきました。商店街や小売店を守り、住民が安心して住み続けられるために、これ以上の大型店はいらないという立場にたつべきです。
景観、住環境の点ではどうか。本市では、マンション建設ラッシュによるまち壊しに対して「景観を守れ」の運動が大きく広がったもとで、新景観条例が制定され、屋外広告物についても厳しく規制する取り組みが進められてきました。しかし、逆行する動きがあります。島津地区、岡崎地区など、市自らが地区計画によって高さ規制を緩和し、高層化を進めてきました。京都会館の建て替え、高層化に対して、世界遺産を審議するイコモスからも問題を指摘され、住民が建築確認の取り消しを求め審査請求した事に対し、建築審査会は異例の付言をつけました。「新景観政策は多くの支持を得てきたもの。自ら建築する建築物においては例外的な取り扱いはすべきないのはもちろん、新景観政策の理念を優先することが求められる」というものです。付言を真摯に受けとめ、新景観政策を生かすまちづくり条例とすべきです。
以上、まちづくり条例は、大型商業施設を規制し、京都の中小業者や商店を守り、そこでくらす人の生業を支え、元気なまちをつくること、京都の歴史や伝統、景観を守り生かすものであるべきです。商業集積ガイドプランは撤回し、今回提案されたまちづくり条例については、住民の立場で見直すことを求め、討論とします。