原発再稼働はやめるべき
左京区選出の加藤あいです。日本共産党市会議員団を代表して質問します。
まず、原発問題についてうかがいます。
安倍・自民党・公明党政権は、原発事故の教訓を忘れ、全国の原発再稼働の突破口として、川内(せんだい)原発の再稼働を年明けにも強行しようとしています。 巨大噴火への備えも、避難計画もない、何の保障も根拠もないまま、「安全だ」と強弁して突き進もうとするもので、まさに、命と安全が置き去りにされようとしています。いまも福島では12万人を超える方々が避難生活を余儀なくされ、事故の収束も原因究明もできていないのに、再稼働など論外です。
稼働原発ゼロは1年2ヶ月続いてきました。その間の国民の省エネ努力は原発13基分にあたるといわれています。原発が稼働していなくてもやっていけることが証明されたのではないでしょうか。ドイツでは原発ゼロの決断をして、再生可能エネルギーの割合が、この10年で6%から28.5%へ飛躍的に拡大し、主要電源になりました。原発ゼロの立場に立ってこそ再生可能エネルギーへ大転換することができます。市長、今こそ、原発ゼロの立場に立ち、再稼働に反対し、国に再稼働をやめるよう声をあげるべきです。
川内(せんだい)原発がある薩摩川内市(さつま・せんだいし)のとなり、いちき串木野市(いちき・くしきのし)市長は「周辺自治体の意見も充分聞いてほしい」と言い、姶良(あいら)市議会は再稼働反対と廃炉を求める意見書を可決しました。原発から30キロ圏の周辺自治体に対して行ったマスコミのアンケート調査では全体の54%が周辺自治体の同意が必要と答えています。周辺自治体が同意なしに再稼働すべきでないという声をあげていることについて、市長はどのように考えますか。お答えください。
(藤田副市長)再稼働には、稼働の必要性を明らかにし、万全の安全性を確保し、立地自治体だけでなく原発から30㎞圏内のUPZを含む関係自治体及び住民への十分な説明と理解が必要。市独自に、また関西広域連合の一員として国に申し入れている。
そもそも、アメリカでは事故時の住民の避難計画について規制委員会の認可を受けない限り、原発を運転することができませんが、日本では住民の避難計画は審査対象ではなく、住民避難を想定しない規制基準になっています。次の焦点は高浜と大飯です。高浜原発は来春以降にも再稼働判断と言われています。このままいけば、避難計画はどうあれ、高浜原発を動かすということになるではありませんか。そこで問われているのは市長の立場です。先のマスコミアンケートでは、「国の再稼働判断の審査対象に避難計画を含めるべきかどうか」も、問われましたが、市長は「含めなくてよい」とお答えになりました。いざという時に逃げる手立ては、どうあろうと、動かすという国の姿勢になぜものを言わないのですか。避難計画を再稼働の要件にしないでどうやって安全性を確保するのでしょうか。国に対し避難計画を審査対象に含めるよう求めるべきです。いかがですか。
(藤田副市長)避難計画は、国の責任で実効性の確認をすることが再稼働判断に際して重要。川内地域の避難計画については、原子力防災会議の了承を得ている。
原発を廃炉にすることが最大の安全対策であることはいうまでもありません。しかし、原発はその特性から停止後も監視管理が必要です。原発事故の際に可能な限り被害を少なくする有効な避難計画を一刻も早く策定する必要があります。
先般、国の原子力規制委員会において放射性物質が煙のように大気中に漂って移動する放射性プルームへの対応を検討する「検討チーム」が設置されました。しかし、10月に一度会議が開かれただけ。指針見直しが一体いつになるのか見通しがたっていません。本市の避難計画見直しも国まちになっています。滋賀県の独自シミュレーションでは、大飯原発で福島第一原発並みの事故が起きた場合の放射性ヨウ素の拡散予測で、24時間積算甲状腺被ばく線量が50ミリシーベルトを超える区域が京都府を超えて大阪の河内長野(かわちながの)にまで広がりました。京都市右京区のほぼ全域と北区の一部は汚染度の高い100ミリシーベルトから500ミリシーベルトとなっています。UPZを半径32.5キロ圏域とする機械的対応では不充分であることは明らかです。独自に被害予測を行い、京都市全域を対象とした計画を一刻も早く策定すべきと考えます。いかがですか。
(藤田副市長)本市の避難計画は、国が統一的に実施した拡散シミュレーションを参考に定めたUPZ地域を対象に策定。その他の地域については、プルームの影響を考慮した原子力規制委員会の検討結果をふまえて適切に対応する。
「京プラン実施計画」は公的責任の放棄
次に、京プラン実施計画についてうかがいます。
市長は2期目当選されて以来、京プラン実施計画での市政運営をすすめてこられました。4年間の計画期間のうち2年が過ぎましたが、その内容は大きくは2つです。
一つは一部地域や施設への過大な税金投入をすすめる一方で、「持続可能な財政と制度」を口実にして市民負担を増加させていることです。昨年度だけでも京都市の公共料金を15億円値上げしました。保育料や市営墓地使用料など「ゆりかごから墓場まで」の値上げを行い、そして、今度は敬老乗車証制度を改悪しようとしています。
二つ目は「民間でできるものは民間で」とする行政の公的責任の放棄です。これまでに、市立看護短大の廃止、リハビリテーションセンター付属病院の廃止を決定されました。今後は、ごみ収集業務委託化を70%にまで広げ、公営保育所6ヶ所の更なる民間移管をすすめようとしています。
何れをめぐっても、市民の反対の声が大きくあがっています。これは、市民にとって、多大な痛みとなっているからであります。市民負担の増加と行政の公的責任の放棄、京プラン実施計画で進んだのはこの二つに尽きるのではありませんか。
市長がいくら市民生活を守る取り組みが進んでいると言っても、市民生活を守る点で大幅な後退となっているのは明らかではありませんか。いかがですか。ここまでで、いったん答弁を求めます。
(市長)「京プラン」実施計画は、重点戦略の推進と、持続可能で機動的な財政の確立をめざすもの。効率的な職員配置や徹底した事業見直しで財源を捻出し、福祉・教育を充実させてきた。保育料を国基準より低い水準に維持しながら保育所の新設、待機児ゼロ等保育水準整備。介護基盤整備の推進など、いのちとくらしを守る取組を前進させた。
京プラン実施計画では「2015年度以降には「社会保障と税の一体改革」や地方財政制度全般にわたる改革で一般財源収入の増加を図る」としています。
つまり、国の政策に期待して、京都市政の運営をすすめてきたのです。しかし、その結果、地域の経済は大打撃を受けております。また、国民の権利としての社会保障が危機にさらされ、市民生活をますます厳しいものに追い込んでいます。京プラン実施計画そのものを撤回して、公的責任を果たし市民の福祉増進を図る立場に立つことを求めます。
次に、公営保育所の民間移管についてうかがいます。
公営保育所において、新たに6ヶ所の移管方針が発表されました。現在23カ所の公営保育所を17カ所に減らすというものです。
この方針に子ども・子育て会議の幼児教育保育部会では異論が続出しました。パブリックコメントでは民間移管反対や慎重意見が99%を占め、基本方針見直しを求める署名が10日間で1万4000筆集められるなど、多くの反対意見が出されました。これだけの意見があるのに、民間移管をあくまでも押し通すという姿勢はあまりにも市民不在ではありませんか。
公営保育所の廃止は市民の行政サービスを後退させる重大な問題があります。
第一に、障害をもつ子どもたちの入所が保障されるのかという点です。
これまでから、障害を持つお子さんの受け入れについては、公営保育所が大きな役割を果たしてきました。
現在、入所児童に対する障害児の割合は民間保育所では3.75%ですが、公営保育所では10.48%となっています。職員加配が公営の方が手厚いためであります。改定された方針では公民の配置基準の統一化が示されましたが、公営保育所の基準に民間の基準を引き上げるとは言わず「適切に見直す」というばかりで現状より後退し、行き場のないお子さんや保護者を生むのではないかという疑念がぬぐえません。
第二に、地域子育て支援拠点事業についてです。ご家庭で子育てをしておられる保護者やお子さんへの支援でも公営保育所の役割は大きいものがあり、それが、後退をするのではないかという点です。ご家庭への訪問や子育て相談など専任の保育士を配置して行われています。ネットワーク形成で機能強化を図るといわれますが、全市16カ所の拠点事業を10カ所程度に減らすことになれば、対応範囲が広域化して支援が薄まることになるのではありませんか。
第三は保育士確保についてです。民間の認可保育所は今、保育士の確保ができないと悲鳴を上げています。ボーナスが出ない、賃金が低いなど、極めて公的な仕事であるにもかかわらず低い処遇でしか雇用することができない状況となっています。そして、国の制度のみならず、民間保育所のいわゆるプール制の補助金削減や改悪がその事態に拍車をかけています。民間の認可保育所への支援を後退させておきながら、さらに公営保育所の廃止により、保育の現場から保育士としての豊富な経験を蓄積した公務員を追い出すなど、あまりにもひどい話ではありませんか。
市長は、こうした行政サービスの後退についてどのように考えるのですか。お答えください。
すでに、3つの乳児保育所と2つの南区の保育所の廃止に着手されました。しかし、一つは何度も公募した後、結局移管先が決まらないままです。2つの乳児保育所は今年の四月から全面移管が始まったばかりです。つまり、民間移管がどのような影響を市民にもたらすのか検証は全く行われていません。先に指摘したように問題が山積しているのに民間移管の検証すらしないのですか。答弁を求めます。今でも1割しかない公営保育所を更に減らし、保育士確保も後退させる民間移管は中止すべきです。
(藤田副市長)民間でできることは民間で、公民一体となって保育ニーズに応える方針で民間移管を進めている。障害児が身近な保育園に、より積極的に受け入れられるよう、市営保育所の加配のあり方も見直しつつ、民間園の職員加配を充実する。子育て支援拠点事業は、広域的ネットワークづくりや子育て家庭への訪問の実施で機能強化をはかる。保育士確保は「保育人材サポートセンター」設置、民間保育への補助金で全国トップ水準の処遇を確保している。今後とも保護者、移管先法人、市の三者協議会での意見や検証をふまえて円滑な移管に取り組む。
地産地消、清水焼食器など、学校給食の改善を
次に、学校給食について質問します。
今年の夏、党議員団で今治市へ地産地消の学校給食について調査に行きました。
自校方式を基本として学校給食が実施され、調理場ごとに栄養士を配置し、独自献立方式で進めておられます。
米飯給食は100%今治産減農薬米を使用、週2回のパン給食でも多くが地元産小麦でまかなわれています。いずれも、通常の食材と比べて割高になるので差額は市として補助されています。
野菜は、今治産、県内産で78%を占めています。給食の時間に校内放送で 「今日の野菜は誰々さんが作りました」とアナウンスされるなど、生産者の顔が見える給食になっていると紹介がありました。有機農産物の使用についても一部の地域で取り組んでおられます。担当の方が「大量に遠くから運んできたもののほうが安い。でも、地産池消を進めるためには、割高であっても地元の食材を使う必要がある」と説明されていたことが大変印象に残りました。
食料の安全性と安定供給体制を確立する都市の宣言の決定や今治市食と農のまちづくり条例策定など、市政の大方針として地産池消を掲げそれを軸に農林振興課が学校給食を大きく位置づけられています。
京都市の学校給食の野菜使用は2013年度で使用量ベースで京都市産は0・45%、京都府内産は42.7%ですから、食材の一括購入のあり方を検討するなど、更なる工夫が求められます。地産地消の学校給食を更に大きくすすめるために、教育委員会のみならず、産業観光局も含め全市あげての仕組み作りを検討することを求めます。
学校給食における和食の検討会議の意見を元にした方向性と取り組み案も示されました。これまでから市民が求めてきた学校給食の食器の改善方向も示されています。アルマイト食器から、ペン食器などへの全校更新が早期にできるよう計画をもつこと、地場産業の業界とも連携し、ランチルームへの清水焼食器などの導入等を積極的に進めることを求めます。
また、中学校給食の改善が切に求められています。
いま日本では子どもの6人に1人が貧困に陥っています。7月の厚生労働省の発表では、「子どもの貧困率」が過去最悪の16・3%となり、「ひとり親家庭」の貧困率は54・6%にもなります。一日のうち、まともな食事は給食だけ、経済的な理由で、おなかいっぱい食べることもままならない子どもたちが増えています。食育基本法では「子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に付けていくためには、何よりも「食」が重要である」と位置づけられています。親御さんや生徒の選択にゆだねるということでなく、教育として、給食を位置づけ、保障していく、中学校給食にもそうした立場が必要ではありませんか。「選択制」の中学校給食から、全員制の給食への転換が必要であります。自校方式の全員給食の実現を求めます。
(教育長)小学校の給食では、京野菜の使用やおばんざい献立など、地産地消や食に関する知識を深める取組をすすめてきた。食器については、希望する学校のランチルームに強化磁器食器を配分。教室でのアルマイト食器も、より味わいを感じることができる食器へ更新を検討する。地産地消について、産業観光局と連携し、地域の農家の協力で栽培から調理までの体験をすすめている。中学校給食は円滑に運営され、喫食率も増加傾向。施設整備だけで200億円の巨額の経費が必要で、自校調理の全員給食は全く考えていない。
北泉通への架橋はやめよ
最後に、左京区のまちづくりに関わって質問します。
まず、北泉通りへの架橋についてです。橋の建設で立ち退きを迫られている松ヶ崎の地権者の方々は「心配で毎晩眠れない」とご心痛の声をあげておられます。東側の養徳学区泉町ではどうでしょうか。交通量の増大について多くの不安の声が上がり、北泉通り沿いの住民が次々出ていかれる状況が発生し、住環境が破壊されています。先日も「ここに橋を架けるのはやめてほしい」と残っておられる住人の方から切実に訴えられました。8億円ものお金をかけて、新たな橋を架けることについて反対意見があります。強行すれば、将来に大きな禍根を残すことになるのではありませんか。河合橋については安全対策を求める請願が全会派一致で採択されたにもかかわらず、抜本方策と耐震補強は2017年度以降の第二期プログラムにおいての検討にとどまっています。こうしたものこそ優先すべきであります。答弁を求めます。
(建設局長)北泉通は都市計画道路の92%の区間が完成。橋りょう部を含む170㍍が未整備で、区役所へのアクセスなど、道路ネットワーク機能が発揮できていない。早期完成を求める周辺地域の強い要望に応えられるよう、整備に全力で取り組む。河合橋は、第一次緊急輸送道路などの橋の改修完了後に、安全対策を含めた整備を検討する。
左京区役所への公共交通の確保を
また、左京区のまちづくりをめぐって大きな課題となっているのが区役所の問題です。3年半前、区役所が吉田学区から松ヶ崎学区へと移転されました。私どもは左京区南部への支所機能の設置など極めて不便な現状の打開を求めてきました。しかし、市長は解決策を示すどころか、旧左京区役所跡地は売却、岩倉出張所は廃止、先般は旧区役所の駐車場跡地まで地元の意見を聞かず、売却するに至りました。左京区の自治体要求連絡会で行った左京区民アンケートでは約2000通の回答のうち7割の市民が移動に困る場所を「区役所」と回答しています。交通アクセスだけでも早急に行うべきとくり返し改善を要望してきましたが、採算性を理由にほとんど対策がとられていません。市民の行政サービスを受ける権利にかかわる問題であり、改善は急務です。支所の設置を行うとともに、シャトルバスを走らせるなど、予算措置もとり、一刻も早く改善を図ることを求めます。
以上、答弁を求めまして質問を終わります。
(交通局長)市バス65号、4号系統の経路を変更してアクセス向上に努力している。市バスは採算性を基本としており、シャトルバスは、運行に見合う利用が見込めず、創設はむずかしい。北泉橋を架橋すれば左京区役所へのアクセス向上に寄与する。