日本共産党議員団は、「高浜原発の再稼働手続きを中止することを求める意見書」を提案しておりますので、提案説明を行います。
10月17日、原子力規制委員会は、関西電力高浜原子力発電所3・4号基の安全審査で、基本設計が新規制基準を満たしているとして、事実上の合格証にあたる審査書案を年内にも作成することを決め、関西電力は「原子炉設置変更許可」の補正申請書を、近く原子力規制委員会に提出し、原発の再稼働を進めようとしています。
高浜原発から京都市役所は約60kmの位置にあります。東京電力福島第1原発事故では、40~50kmの飯館村や60kmの伊達市は、計画的避難区域、特定避難勧奨区域に指定され、放射性物質から避難が求められる地域となっています。
ひとたび、高浜原発で事故が起きれば、京都市域にも取り返しのつかない被害を及ぼす危険があります。市民の生命、健康、財産を守る上でも原発の再稼働は絶対認めることはできません。甚大な被害を及ぼした福島原発事故から何を教訓とすべきでしょうか。
大飯原発3・4号基の運転差し止め判決を下した福井地裁判決は、このように言っています。「人格権は憲法上の権利であり、これを超える価値を他に見いだすことはできない。人格権とりわけ生命を守り、生活を維持するという人格権そのものに基づいて侵害行為の差し止めを請求できることになる」と、人権保障の原点に立ち返って、原発の稼働、再稼働は許されないとしました。
また、コストの問題についても、「国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失と言うべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが、国富であり、これを取り戻す事ができなくなることこそが国富の喪失である」と原発事故の深い反省のもとに、国民の生存を基礎とする人格権に基づき、国民を放射性物質の危険から守るという観点からの画期的な判決でした。
また、判決では、原発の安全性について、「原子力発電所に求められるべき安全性、信頼性は極めて高度なものでなければならず、万一の場合にも、放射性物質の危険から国民を守るべく、万全の措置がとられなければならない」としています。福島原発事故の体験からも、この判決の立場で、原発の再稼働中止を求めるべきと考えます。
川内原発に「規制基準に適合している」と判断した、原子力規制委員長は、「新規制基準を満たしたからと安全とは言えない」と発言していますが、「万全の安全」を保障するものではないことは明らかです。
このことは、高浜原発3・4号基においても同じです。深刻な汚染水問題、増え続ける「放射性廃棄物、今も困難な避難生活を強いられている10万人を超える人たち。この現実からも、市民の命、健康、財産を守る上でも、「原発の再稼働は絶対認められません。高浜原発の再稼働の手続きを直ちに中止することを強く求めるものです。
同僚議員のみなさんの賛同をお願いし、提案説明とします。