日本共産党京都市会議員団は、議第101号平成25年度京都市一般会計補正予算ほか15件について、反対の態度を表明しておりますので、その理由を述べます。
今回の補正予算では、府支出金および本市一般財源をつかった風疹予防接種が拡充されることになっておりますが、これはきわめて大事であります。わが党は質疑の中で、19歳以上の妊娠を希望している女性の配偶者が風疹に感染しないよう来年度以降も継続して助成が行われる必要があると拡充をもとめたところであります。
さて、今回の補正予算において、産業技術研究所の機器整備、商店街等環境整備事業の増額、動物園や野球場整備、旅客案内機能の強化、三栖(みす)高架橋補修工事、国道162号・367号の斜面などの防災対策、北合同福祉センター改修、児童館耐震化、学校維持修繕、浸水対策、岩倉忠在地町の踏み切り拡幅、消防団小型動力ポンプの更新など、いずれも順次進めていくべき公共投資であり、その部分については予算化に賛成であります。
しかし、これらの事業を実施する財源とされる国支出金である「元気臨時交付金」の原資にあてるとして国家公務員給与と地方公務員の給与削減分に相当する地方交付税を削減するとしていることは重大な問題です。また、今回の補正予算のもう一つの柱である職員給与減額措置に対して党議員団は反対であります。以下、5つの点から反対の理由を申し述べます。
第一に、法的な根拠もなしに、地方公務員給与7.8%カットに相当する32億円の地方交付税交付金の削減を行い、給与費削減を要請するという国の横暴な地方自治への介入に京都市が屈しているという点です。提案説明にある「地方交付税法の改正と政府予算の成立により、給与減額を前提として地方交付税などの減額が確実になった」ことについて、予算委員会質疑で、理事者は「地方公務員の給与削減を自動的に義務付けたものではない」「削減に法的根拠はない」と答弁しました。今回のような要請を受け入れてしまえば、地方交付税制度の根幹が揺らぎ、例えば生活保護費の交付税措置分を国で勝手に減額した場合に、自治体負担分も減らせとされ、市民生活に被害が及ぶ恐れがあります。地方自治の原則を踏みにじるこのような先行事例をつくることは許されません。
第二に、市民生活と職員処遇を意図的に対立させ、分断を持ち込む削減理由を掲げている点であります。提案説明では「地方交付税減額の影響を市民に及ぼすことを避けるために職員の給与削減措置を実施する」とありますが、2013年度予算は公債償還基金を取り崩して編成し、国による理不尽な地方交付税交付金の削減を織り込んだ上で、すでに議会の議決をうけて執行されています。理事者は「給与削減分を公債償還基金に返還することにより、将来の市民に付けを回さない」と正当化していますが、今回の給与削減は今年度限りの特別の措置であり、この数年特別対策として取り崩して帳尻あわせをしてきた事実から考えて全く説得力がありません。「将来の市民のことを考えて給与削減」との理事者側の言い訳は、裏を返せば、現在の市民サービスへの影響がないと言っていることと同じです。
第三に、なぜこの時期に給与削減を判断し、決定しなければならないのか、という点です。提案説明で「地方交付税の削減が確実になった」とありますが、地方交付税発表は「7月下旬に閣議決定される」ものであり、削減額が確定した段階で、全庁あげて、不要不急の事業を見直し給与費削減を回避する努力を行うべきではありませんか。無駄で環境破壊という、不要不急の象徴たる焼却灰溶融施設の稼働に年20億円もの税金をつぎ込む京都市なのですから、真剣に取り組めば、当面の交付税削減額分の穴埋めにとどまらず、来年度以降の市民のための財源を確保することができるのではないでしょうか。
第四に、給与勧告制度に反し、国の横暴に手を貸すような提案を市長が行っている点であります。
国家公務員や地方公務員は労働基本権制約の代償措置として、人事院・人事委員会による給与勧告制度があります。京都市の人事委員会は、京都市会議長の意見書要請に対し、議第115号、116号について、「平成25年度に限った特例措置であると受け止めるものの、地方公務員法に規定する給与決定の原則によらない給与減額措置は遺憾であり、国からの一律の減額要請や減額相当分の地方交付税が減額されることも遺憾であり、給与勧告制度の趣旨が尊重されることを望む」と意見を表明しています。この点でも、今回の給与削減に道理がないことが証明されています。
地方公務員給与決定の条件・基準は「民間給与との整合性」「国や他都市との比較」とともに「生計費原則」があります。今回の給与削減は、この生計費原則からも逸脱したものであり、重大です。さらに、景気対策として補正予算を速やかに、効果的に執行していく上で、職員の士気は極めて重要な要素ですが、その士気に冷や水を浴びせているのですから、全く理不尽ではありませんか。
第五に、地域経済への打撃が計り知れない点です。
職員への給与はその多くが生活費として地域経済に循環していますが、今回の給与費削減はこの視点を完全に欠落したものです。これらのお金が回らなくなることによる地域経済への打撃について、理事者は「経済波及効果をはかるシステムを持っていない。国も持っていない」と応えました。こんな無責任で無計画なことで、どうして、デフレ脱却ができるというのでしょうか。安倍政権は「失われた20年」を取り戻すといいますが、デフレ不況の原因は、この十数年間に労働者の年収が70万円以上も減ったことにあります。労働の規制緩和によって、働けど働けど労働者の暮らしは貧しく不安定になり、労働者を使い捨てにした大企業はどんどんと超え太り、内部留保は百数十兆円も増やしました。大企業が成長してもその果実は労働者には落ちてこない。この悪循環を断ち、あらゆる働く人々の所得を奪う政治から所得を増やす政治へと転換することこそがデフレ不況脱却の道であります。だからこそ、安倍首相も、門川市長もデフレ克服のために、経済界に雇用の安定とともに「給与の改善」を要請したのではありませんか。民間に給与改善を求めながら、お膝元での職員給与削減は矛盾しています。今回の職員給与の削減は経済対策の本道に全く逆行しているという点を強く指摘しておきます。
最後に、地方制度のあり方や行財政改革に関して考え方が異なっているとしても、今回のような国が地方自治体の自主性を踏みにじるやり方には賛成できないと思うのであります。地方自治体に対する関与を強め、地方分権を遠ざけ、地方自治そのものを変質させる動きに対して、市民生活と京都市政に責任をもつ京都市会として今回の提案に対して反対されることを求めて討論とします。
今回の補正予算では、府支出金および本市一般財源をつかった風疹予防接種が拡充されることになっておりますが、これはきわめて大事であります。わが党は質疑の中で、19歳以上の妊娠を希望している女性の配偶者が風疹に感染しないよう来年度以降も継続して助成が行われる必要があると拡充をもとめたところであります。
さて、今回の補正予算において、産業技術研究所の機器整備、商店街等環境整備事業の増額、動物園や野球場整備、旅客案内機能の強化、三栖(みす)高架橋補修工事、国道162号・367号の斜面などの防災対策、北合同福祉センター改修、児童館耐震化、学校維持修繕、浸水対策、岩倉忠在地町の踏み切り拡幅、消防団小型動力ポンプの更新など、いずれも順次進めていくべき公共投資であり、その部分については予算化に賛成であります。
しかし、これらの事業を実施する財源とされる国支出金である「元気臨時交付金」の原資にあてるとして国家公務員給与と地方公務員の給与削減分に相当する地方交付税を削減するとしていることは重大な問題です。また、今回の補正予算のもう一つの柱である職員給与減額措置に対して党議員団は反対であります。以下、5つの点から反対の理由を申し述べます。
第一に、法的な根拠もなしに、地方公務員給与7.8%カットに相当する32億円の地方交付税交付金の削減を行い、給与費削減を要請するという国の横暴な地方自治への介入に京都市が屈しているという点です。提案説明にある「地方交付税法の改正と政府予算の成立により、給与減額を前提として地方交付税などの減額が確実になった」ことについて、予算委員会質疑で、理事者は「地方公務員の給与削減を自動的に義務付けたものではない」「削減に法的根拠はない」と答弁しました。今回のような要請を受け入れてしまえば、地方交付税制度の根幹が揺らぎ、例えば生活保護費の交付税措置分を国で勝手に減額した場合に、自治体負担分も減らせとされ、市民生活に被害が及ぶ恐れがあります。地方自治の原則を踏みにじるこのような先行事例をつくることは許されません。
第二に、市民生活と職員処遇を意図的に対立させ、分断を持ち込む削減理由を掲げている点であります。提案説明では「地方交付税減額の影響を市民に及ぼすことを避けるために職員の給与削減措置を実施する」とありますが、2013年度予算は公債償還基金を取り崩して編成し、国による理不尽な地方交付税交付金の削減を織り込んだ上で、すでに議会の議決をうけて執行されています。理事者は「給与削減分を公債償還基金に返還することにより、将来の市民に付けを回さない」と正当化していますが、今回の給与削減は今年度限りの特別の措置であり、この数年特別対策として取り崩して帳尻あわせをしてきた事実から考えて全く説得力がありません。「将来の市民のことを考えて給与削減」との理事者側の言い訳は、裏を返せば、現在の市民サービスへの影響がないと言っていることと同じです。
第三に、なぜこの時期に給与削減を判断し、決定しなければならないのか、という点です。提案説明で「地方交付税の削減が確実になった」とありますが、地方交付税発表は「7月下旬に閣議決定される」ものであり、削減額が確定した段階で、全庁あげて、不要不急の事業を見直し給与費削減を回避する努力を行うべきではありませんか。無駄で環境破壊という、不要不急の象徴たる焼却灰溶融施設の稼働に年20億円もの税金をつぎ込む京都市なのですから、真剣に取り組めば、当面の交付税削減額分の穴埋めにとどまらず、来年度以降の市民のための財源を確保することができるのではないでしょうか。
第四に、給与勧告制度に反し、国の横暴に手を貸すような提案を市長が行っている点であります。
国家公務員や地方公務員は労働基本権制約の代償措置として、人事院・人事委員会による給与勧告制度があります。京都市の人事委員会は、京都市会議長の意見書要請に対し、議第115号、116号について、「平成25年度に限った特例措置であると受け止めるものの、地方公務員法に規定する給与決定の原則によらない給与減額措置は遺憾であり、国からの一律の減額要請や減額相当分の地方交付税が減額されることも遺憾であり、給与勧告制度の趣旨が尊重されることを望む」と意見を表明しています。この点でも、今回の給与削減に道理がないことが証明されています。
地方公務員給与決定の条件・基準は「民間給与との整合性」「国や他都市との比較」とともに「生計費原則」があります。今回の給与削減は、この生計費原則からも逸脱したものであり、重大です。さらに、景気対策として補正予算を速やかに、効果的に執行していく上で、職員の士気は極めて重要な要素ですが、その士気に冷や水を浴びせているのですから、全く理不尽ではありませんか。
第五に、地域経済への打撃が計り知れない点です。
職員への給与はその多くが生活費として地域経済に循環していますが、今回の給与費削減はこの視点を完全に欠落したものです。これらのお金が回らなくなることによる地域経済への打撃について、理事者は「経済波及効果をはかるシステムを持っていない。国も持っていない」と応えました。こんな無責任で無計画なことで、どうして、デフレ脱却ができるというのでしょうか。安倍政権は「失われた20年」を取り戻すといいますが、デフレ不況の原因は、この十数年間に労働者の年収が70万円以上も減ったことにあります。労働の規制緩和によって、働けど働けど労働者の暮らしは貧しく不安定になり、労働者を使い捨てにした大企業はどんどんと超え太り、内部留保は百数十兆円も増やしました。大企業が成長してもその果実は労働者には落ちてこない。この悪循環を断ち、あらゆる働く人々の所得を奪う政治から所得を増やす政治へと転換することこそがデフレ不況脱却の道であります。だからこそ、安倍首相も、門川市長もデフレ克服のために、経済界に雇用の安定とともに「給与の改善」を要請したのではありませんか。民間に給与改善を求めながら、お膝元での職員給与削減は矛盾しています。今回の職員給与の削減は経済対策の本道に全く逆行しているという点を強く指摘しておきます。
最後に、地方制度のあり方や行財政改革に関して考え方が異なっているとしても、今回のような国が地方自治体の自主性を踏みにじるやり方には賛成できないと思うのであります。地方自治体に対する関与を強め、地方分権を遠ざけ、地方自治そのものを変質させる動きに対して、市民生活と京都市政に責任をもつ京都市会として今回の提案に対して反対されることを求めて討論とします。