日本共産党京都市会議員団から「介護保険の給付対象から要支援者をはずさないように求める意見書」と自民党・公明党・無所属の2人から「介護保険制度における介護給付範囲の見直しに関する意見書」が提案されていますので、二つの意見書に対する賛成討論を行います。
厚生労働省は5月15日に、介護保険で「要支援1」「要支援2」と認定された「要支援者」を保険給付の対象からはずし、市町村が裁量で行う地域支援事業の対象に移すことを検討課題にあげました。要支援者へのサービスを、公的保障の極めて薄弱なものに切り下げて、給付費を削減する狙いです。
現在、要支援1と2の対象になっている人は、全国で約150万人で、京都市においても4月現在で2万人を超えています。さらに増える傾向にあり、重度者向けのサービス財源を確保するため、軽度者を保険給付の対象からはずし、ボランティア、NPO、民間企業の配食サービスなどを活用して行う地域支援事業を受け皿とする計画です。
事業内容は市町村の裁量とされ、介護に当たる人員や運営の基準もなく、これまで受けていた専門のヘルパーによる生活支援が取り上げられることになります。また、サービスの地域間格差も懸念されています。2012年4月には、すでに市町村の独自判断で要支援者を介護保険給付の対象からはずし、地域支援事業の対象にする制度が始まっており、27箇所で実施されていますが、さらに132箇所に拡大する予定です。この提案は、市町村の独自判断を全ての市町村に拡大し、要支援者全てを介護保険給付の対象外にするもので、厚生労働省は2015年4月から実施する計画です。
自民党・公明党・無所属提案の意見書には「言うまでもなく、健康でいきいきと暮らすことは、国民の願いであり、高齢者の介護の重度化の防止のためには、介護予防の充実を図ることが重要である」とされていますが、そもそも、要支援2は2006年の制度改正で要介護1の人の約6割が対象になり、受けられるサービスが少なくなりました。
その理由は「介護予防に重点を置く」というものでした。「重点」を置いたはすのサービスを改正からわずか7年で制度の対象外にするもので、大きな問題です。軽度の段階でしっかりと支援をして、重度化させないことの方が財政的にも負担の軽減につながります。
また、制度導入時から保険料負担が2倍になり、高すぎる負担に耐え切れない高齢者が増えています。根本には財源の50%を保険料でまかなうとされた仕組みに大きな問題があることは言うまでもありません。そのもとでのサービスの切捨てでは納得できません。
そもそも介護保険制度は、家族が抱え込んで苦しんできた介護を「社会化」することを理念として始まったはずです。数年ごとに利用者の不利益になる方向ばかりに制度が変更されれば、制度への信頼はなくなります。これ以上の制度改悪をやめて、わが党提案の意見書にあるように、介護保険の給付対象から要支援者をはずさないことを強く求めて賛成討論とします。