西野さち子議員の代表質問 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

西野さち子議員の代表質問

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本会議代表質問
西野さち子議員

 伏見区選出の西野さち子です。
 質問に入る前に、橋下大阪市長の「慰安婦は必要」とする人権侵害発言は侵略戦争と植民地支配を美化するものです。女性だけでなくすべての人間の尊厳をおとしめるものであり、絶対に許すことはできません。発言の撤回と謝罪をすべきことを強く求めます。
 日本共産党を代表して市政一般について質問します。

原発の新「規制基準」を認めるべきではない

 まず、原子力発電所の新規制基準の危険性についてです。
 2011年3月11日に発生した大地震は、原発が取り返しのつかない異質の被害をもたらすことを図らずも明らかにしました。ところが自民党安倍内閣は「世界最高水準の安全性をめざす」と繰り返し、「安全神話」を振りまいています。福島第一原子力発電所におけるこの間の相次ぐトラブルを見ると、原発のシビアアクシデント、重大事故は起こりうるし、起こった場合は甚大な影響を及ぼすことが明らかになっています。
4月3日に発覚した放射能汚染水の漏水事故は、法律で安定型産業廃棄物の埋め立て以外には使用を禁止しているシートを安全確認もせずに放射能汚染水に使用したことが問題となっています。福島第一原子力発電所の汚染水は毎日400トンずつ増え続け、その原因と対策は未だに確定していません。放射能汚染水は絶対に海に流してはいけません。しかし、東電は海に流すことを前提にした対策しかしていないのが現状です。
 ねずみの侵入によって二度にわたって停電し、原子炉の冷却ができなくなる事態に陥っており、2年たった今でもまだ、しっかりした施設を造らずに政府も東京電力も応急的で、場当たり的な施設で済ませていることに唖然とします。
 先日、IAEAの調査団からも「原子炉の冷却に関わる部分などに仮設の機器が使用されてトラブルが頻発している。恒久的な設備に置き換える必要がある」との助言もされています。市長は大飯原発の稼働について「新安全基準を策定したうえで再審査を行い、安全確保に万全を期すべき」と答弁されています。
 今年7月には、安全基準を規制基準に言い換えて原発新基準が施行されます。過酷事故対策のひとつは事故が起こった際に原子炉格納容器の圧力を下げるフィルター付ベントの設置が義務付けられます。しかし、原子力規制委員会委員長は4月5日の衆議院予算委員会でフィルター付ベントの設置は「格納容器が壊れないようにするためで、放射能の放出は最悪でも福島原発の100分の1程度になる」と国会で答弁をされています。炉心溶融という過酷事故は起こる可能性があると認めながら、格納容器が壊れれば最悪の事態になるからというのなら、原発は廃炉にするしかないではありませんか。放射性物質を外に放出することを前提にした過酷事故対策では住民の理解は得られません。
 今、廃炉を決めても、完了するまでに40年かかるといわれています。3・11福島原発事故が起こるまでは原発の新増設を求めておられた自民党の福島県議会議長は反省し、原発の廃炉を求めておられます。勇気ある決断だと思います。ところが市長は4月26日に、昨年からさらに踏み込んで、今年の関西電力の株主総会に「新たな規制基準を厳格に適用することはもとより、更なる安全性の確保と地域住民の理解を得た上で必要最低限の範囲で行うものとする」と新基準を適用すればあたかも安全だといわんばかりの提案をされています。高浜原発は新基準の施行に合わせて今年7月に再稼働申請の方針です。放射性物質を外に出すことを前提とした過酷事故対策で安全とは言えません。市長、この新規制基準の適用で高浜原発、大飯原発の稼働を認めるということは、新たな安全神話作りではありませんか。いかがですか。お答えください。
 福島原発の事故は、今も周辺住民や子どもたちに放射能の恐怖を与え続けています。福島の「市民放射能測定所」は県内の県立高校で水が張られたままになっていたプールから採取された汚泥から、1キロ当たり10万ベクレルを超える放射性セシウムを検出したと今年4月に報じています。この測定所では、伊達市の1校から1キロ当たり11万8千ベクレル、福島市の1校からは10万4千ベクレル、南相馬市の一校は8400ベクレルの放射性セシウムを検出しました。万が一、高浜原発や大飯原発で重大事故が起これば、京都市民に取り返しのつかない深刻な被害が起こりうるわけです。安全神話にとらわれた結果、福島の深刻な現状がいまなお続き、事故は収束していません。市長、福島で過酷事故が起こったと認識するなら、すぐに大飯原発の稼働停止を求めるべきです。いかがですか。お答えください。

(市長)原発の新規制基準は、福島原発事故の教訓や最新の国際基準を踏まえ、地震や津波による原発事故を防止するために、設計基準の強化に加え、事故が起こった場合でも被害を最小化したもの。関西広域連合と連携し、すべての原発について新基準の適応と再審査を国に申し入れている。大飯原発が新基準に適合しないと判断された場合は、運転停止を求める。万が一の事故から市民の命と暮らしを守るため、原子力防災対策に万全を期す。

「原発ゼロ」で再生可能エネルギーの抜本的普及を

 経済産業省は、4月に「今年の夏は、猛暑を想定しているが原発をこれ以上再稼働させなくても、節電意識が定着したことで沖縄を除く電力9社の電力は不足しない」との報告を発表しました。そして、大飯原発が止まっても電力会社間で電力の融通をすれば、関西電力の管内でも1%の余力が生まれるとされています。昨年の夏、原発を稼働しなければ「電力が足らなくなる」「企業が外国に出て行く」などと言われましたが、市民の節電努力も大きかったと思いますが電力は足りました。
 今年は、昨年のような脅しが通用しないことを国が明らかにしたわけです。また、経済産業省は2012年4月から10月末までに運転を始めた再生可能エネルギーの発電設備が115万55キロワットとなり、原発1基分にのぼったことを発表しました。
 2月議会では大飯原発の再稼働について、「短期的には原発稼働の必要性、安全の確保、地域住民の理解が必要」と答弁されましたが、3つとも根拠がなくなったのではありませんか。今こそ、京都市としても原発ゼロの立場を明らかにして、再生可能エネルギーへの転換に大きく踏み出すときではないでしょうか。今、全国の自治体で住民を中心にした地産地消の再生可能エネルギーへの取り組みが進められています。
 たとえば、長野県飯田市です。今年4月1日に「飯田市再生可能エネルギーの導入による持続可能な地域づくりに関する条例」が施行されました。持続可能な地域づくりに主眼を置き、条文には「現在の自然環境及び地域住民の生活と調和する方法により再生可能エネルギーを自ら利用し、そのもとで生活していく地域住民の権利」と地域環境権を明確に謳っています。本来、水や空気、太陽などからの恩恵を享受する第一義的な権利は地域住民にあるという立場で、市長による支援として、初期費用を調達しやすい環境を整えるための保障や補助金の交付、資金の貸し付け、市有財産の利用等、地域に根ざした取り組みを条例に位置づけています。
 京都市においても今年度は機構を改革し、環境政策局に地球環境・エネルギー政策監をおき、局を横断した取り組みがはじめられています。
 2月議会では「省エネ・創エネに寄与する製品開発を行う中小企業を対象とした研究開発費の助成事業、省エネ、節電サポート事業を進める。地域分散型のエネルギー政策を主要な柱として推進する」と答弁がありましたが、そのための予算は市民協働発電制度の支援などに約2億円しか計上されていません。あまりにも少なすぎます。大企業によるメガソーラーに頼るのではなく、地域住民が再生可能エネルギー活用事業に取り組みやすい補助制度の拡充や無料で助言や提案を受けるアドバイスの制度など、先進事例のように住民を主体に再生可能エネルギーへの転換に軸足を置いた支援策に踏み出すべきです。そのための予算を抜本的に増やすこと。そして、地域住民とともに、地域経済の活性化につながる取り組みを推進し、地域循環型のエネルギー政策を進めることを位置づける「エネルギー基本条例」を制定すべきです。いかがですか。

(市長)バイオデーゼル燃料化事業、市民協働発電制度の構築、住宅用太陽光発電システムの設置助成に取り組んできた。水垂のメガソーラ-発電所は施行の9割以上に地元企業が関わった。4月から地球環境・エネルギー政策監を配置し全庁体制を強化した。策定中のエネルギー戦略にもとづき、市民ぐるみで取り組む市民協働発電制度の仕組みの進化、安部内閣の経済対策との連携、産学公連携でエネルギー産業振興で再生可能エネルギーの飛躍的前進に取り組む。

生活保護基準引き下げに反対し、子どもを貧困から守れ

 次に、生活保護基準の引き下げが子どもの貧困に大きな影響を与える問題ついて質問します。
 私は京都市内で開かれた子どもの貧困についてのフォーラムや地域の相談、学習会などでお聞きしました。今でも「学校での給食が一日の中で唯一の栄養源」という子どもや「お風呂に一週間入っていないため仲間はずれにされた」等、子どもの貧困はあげればきりが有りません。
 幼い子どもたちがどんな思いで暮らしているのかと思うと胸が締め付けられる思いです。ところが安倍内閣は生活保護基準を8月から引き下げようとしています。3年間で最大10%という前例のない大幅な引き下げです。
 今回の保護基準の大幅な引き下げは、食費や水光熱費などの生活必需品の物価は上がっているのに、ほとんどの保護世帯で減額となります。その上、低所得者層への施策だけでなく最低賃金の低下、住民税非課税限度額、保育料などの福祉・医療サービスなど広範な国民の暮らしに大きな影響を及ぼします。国民生活への影響については2月議会で指摘をしてきましたが、国任せの無責任な答弁しか有りませんでした。非常に残念です。また、今回の引き下げで、特に子育て世帯が大きな影響を受け、生活保護を受けられなくなる世帯も出てきます。保護世帯の子どもは全国で約三十万人といわれていますが、市長は子どもたちに今より過酷な生活を押し付けていいと思われますか。保護費の中でも今回は生活扶助の削減が言われているわけですから、食事の量や質を落とさざるを得なくなり、子どもの健康や発達に大きな影響が及びます。その影響は長期に及ぶ可能性が大きいわけですから非常に深刻です。
 過去最大の引き下げに加えて、来年4月に消費税の増税が実施されることになれば、子育て世帯へさらなる悪影響が出ることは間違い有りません。今回の生活保護基準の引き下げで、市長は子どもにどのような影響が出るとの認識をお持ちでしょうか。

(藤田副市長)今回の生活扶助基準見直しは社会保障審議会生活保護基準部会での検証に加え、H20年以降の物価下落を反映した結果。消費税率改定や物価上昇に対して、適宜、生活扶助基準に反映されるものと考えるが、国の見直し内容を注視し対応する。

 生活保護基準が下がれば子どもたちに更に過酷な生活が待ち受けています。例えば就学援助です。2012年8月現在の京都市における就学援助認定数は小学校で1万4666人、中学校で8475人ですが、基準が下がることで対象から外れ、就学援助を受けられなくなる子どもが増えることは目に見えていますから、事態は一層深刻になります。親の収入は変わらなくても就学援助が受けられなくなる子どもが出る可能性があります。
 また、義務教育と言っても全てが無料ではありません。2010年度会計での京都市教育委員会資料によると、児童・生徒1人当たりの年間の負担は小学校で6万5356円、中学校で3万1682円、総合支援学校で5万5480円とかなりの負担です。負担できない家庭の子どもが、どんなみじめな気持になるか市長は想像できますか?生活保護基準が引き下げられれば、進学をあきらめてしまう子どもが増えることも考えられますから、格差がさらに広がる結果になるのではありませんか。市長は常々福祉と教育は後退させないと言っておられますが、これでは福祉の後退といわざるを得ません。
 子どもの貧困を放置することは、引いては日本社会の財産をないがしろにする事につながります。京都市の将来を担うべき子どもたちを、国の悪政から守ることが市長の役割です。子どもの貧困を更に拡大する生活保護基準の引き下げに反対の声を上げ、子どもを少しでも貧困から守る立場を明らかにすべきではありませんか。加えて、保護基準の引き下げに京都市の就学援助基準を連動させて変更すべきではありません。これ以上、子どもへの悪影響を広げないことを求めます。合わせてお答えください。

(教育長)平成18年以降、生活保護基準の引き下げに準じた就学援助制度の引き下げは行っていない。長期宿泊事業、学習支援プログラム、柔道着購入の保護者負担など、制度の充実を行ってきた。平成15年度の認定率は17%(9億2千万円)だが、平成24年度は24%(14億4千万円)、5千人(5億2千万円)以上増加した。来年度は国基準見直しや市財政助教を踏まえて検討する。

 子どもを取り巻く環境の悪化の中で、京都市でもスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの役割は大きくなっています。スクールカウンセラーは現在118人が95校に配置され、2015年に全校配置の目標で進められています。また、教育分野に加えて社会福祉などの専門的な知識を用いて、児童生徒の置かれたさまざまな生活環境に働きかけて支援をするスクールソーシャルワーカーは11名で活動されています。2015年16人に増やす目標はありますが、役割の重要性から見ても足りません。また、その雇用は非常勤で1年雇用です。更に子どもを取り巻く環境整備を進めるために、ソーシャルワーカーの人数の確保と同時に正規職員として安定雇用をすることを求めます。いかがですか。

(教育長)平成20年から10人を配置。平成27年に20人程度拡充する。平成25年度は3人増員。国補助事業で週1回の非常勤職員の配置。さらなる配置へ国に財政措置を要望する。

市営住宅の浴室にシャワー設置、浴槽・扉の改善を

 次に市営住宅の生活環境の改善と住み替え制度について質問します。
 最初に浴室に関する問題です。
これまで、3度にわたって住民の皆さんから請願が出され、日本共産党議員団は機会あるたびに取り上げて議論し、改善を求めて来ました。その結果、今年度から市営住宅の公私負担区分の見直しが行われ、ふろがまの修理・取り換えが京都市の責任で行われるようになりました。
4月から公費で行われることになり、「さっそく、公社に相談して取り替えてもらった」「7万~8万円かかると聞いていたので助かった」と、私のところに住民の皆さんからは喜びの声が多く届いています。ただ、経年劣化は風呂釜だけではありません。浴槽も同じです。
 私は市営住宅を訪問し、調査をしました。そこでお聞きしたのは「長く使っているので浴槽に穴があき、穴を詰めて使っている。漏れないか心配だ」「すりへって、中の鉄が見えて、さびが浮いている」「壁が落ちてきて驚いた」「壁のペンキがはがれてコンクリートがむき出しになっているので、カビが取れない。見た目も汚いし衛生的にも良くないのではないかと思う」等々、全て浴室に関する声です。長年住んでいれば経年劣化は避けられません。経年劣化については、公費での改善が必要ではないでしょうか。また、「浴槽が高くて入りにくい。年寄りにはまたげない」「シャワーをつけてほしい」などの声も多くあります。贅沢とは言えない、ごく、当り前の願いではありませんか。だからこそ京都市は新たにお風呂を設置する際にはシャワーも設置されているではありませんか。また、浴室の扉は中に開くため、中で倒れた場合、戸が開きません。向島団地では救助に手間取った例も出ています。命にもかかわりかねない問題です。
 市長、このような劣悪な浴室環境を放置していいのでしょうか。市営住宅の浴室を要望のあるところから順次、シャワーの設置、浴槽や扉の改善を求めますが、いかがですか。

(都市計画局長)浴室のない住戸への浴室設置に重点的に取り組んでいる。今年度から風呂釜修繕・交換費用について、設置後10年経過したものは公費負担とした。シャワー設置、浴室環境改善等は入居者の個々事情によるために入居者負担としていただく。

精神障害者の住宅変更制度の創設を

 次に、市営住宅の住宅変更制度の改善について質問します。今はエレベーターの無い3階以上にお住まいの身体障害者手帳1級~4級、又は階段の使用は無理だとの医師の診断書のある方などは、年に2回の住み替えの機会が有りますが、不十分です。空き家整備を進め、年に2回ではなく身体状況の変化に対応できるよう公募の回数を増やす事を求めます。また、精神の障害で高層階だという事が理解できず、ベランダから飛び降りようとする方の相談を受けましたが、住宅変更制度には身体についての規定しかありません。身体だけでなく、精神の障害についても住み替え可能にすべきです。いかがですか。

(都市計画局長)毎年1月と7月に住み替え募集を実施しているが、応募がない住戸や無抽選になる住戸も多いため募集頻度は増やさない。精神的要因を住み替え理由に加えることは、公平な判断基準を設けることが困難。しかし、なんらかの対応ができないか、引き続き検討する。

市営住宅のエレベーター設置を

 次に市営住宅のエレベーター設置の問題です。昨年、市営住宅の実態調査が行われました。その結果、昨年7月1日現在でエレベーター未設置住宅で3階以上にお住まいの65歳以上の高齢者を含む世帯は、2309世帯で、高齢者世帯の22.1%に当たる事が明らかになりました。今後、高齢化はさらに進む傾向にありますから、早急な対策が必要です。今年度予算では、エレベーター設置工事は3棟、実施設計・基本設計は25棟以上で取り組まれますが、廊下型の市営住宅が優先された計画になっています。しかし、階段型の市営住宅も多くありますから、ここへの対策も急がれます。廊下型の住宅にエレベーターの設置を進めつつ、階段型の住戸についても、住民合意を整えエレベーター設置を進めていくことを求めます。いかがですか。
 以上を求めまして、私の質問を終わります。

(都市計画局長)耐震改修とセットで取り組んでいるため、耐震が弱い廊下型の住宅が先行しているが、階段室型の住宅も住民合意を整えて設置を進める。

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開催議会別目次

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