日本共産党は、室町及び朱雀の二つの市立市営乳児保育所の廃止の提案に反対しておりますので、私は、以下、その理由を述べ討論します。
第一に、地方自治法では、第244条で「普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつて公の施設を設けるものとする。正当な理由がない限り住民がこれを利用することを拒んではならない」と謳われています。「設けるものとする」というのは周知の通り設けなければならないという意味であります。更に児童福祉法第24条では、「市町村は...児童の保育に欠ける場合、...それらの児童を保育所において保育しなければならない。」と市町村の義務について謳われています。これらの原則に立ち帰って考えた場合、勿論京都の施設福祉は民間に支えられてきた歴史があるのは当然ですが、既に今ある市営保育所をわざわざ民間に移管するのは、住民福祉の増進に向け、自治体が、公けの施設を設けて保育しなければならないという法律の趣旨に反すると言わなければなりません。
第二に、廃止後、それぞれ社会福祉法人に民間移管して、乳児から幼児への一貫保育ができるとの理由が挙げられておりますが、移管先乳児保育園を増設して幼児と併設にするわけではなく、単に、同一法人が、乳児園と幼児園を別々に運営するというだけのことでしかありません。現在の保護者の皆さんが、乳児保育所卒園時には次の幼児園を探さなければならないのは、当然、百も承知ですが、その皆さん方自身が移管に疑問を感じておられるのであります。一般的に言っても乳児園から幼児園にはいろいろな転園ケースがあり得ますし、またこれは法人の責任でも何でもありませんが、移管先の法人は、現在、乳児保育の経験がなかったり、また一方、移管先の幼児保育園は来春移管の時点での新規開設という綱渡りの引継ぎであったり等、一貫保育の謳い文句そのものが、まだまだ今後の課題という余地を残しているのであります。
第三に、財政の問題についてです。諮問委員会等でも、市は、事務局として市立は高くつくと殊更に強調する材料作りに腐心してきました。予算委員会でも、市立と民間の各保育園の経費比較について、移管により合計1億7千万円の削減効果があるとの答弁でしたが、効果という表現自体、初めから財政削減ありきを目的とした移管だとしか思えないではありませんか。ほとんどの機能は引き継ぐとの本会議での答弁でしたが、1億7千万円も削って、どうして同じレベルの保育が保障できるのでしょうか。裏付けはありません。人件費の削減が大きな要素とのことですが、これこそ、民間園の労働者には、定年までの定期昇給は保障しないと言っているに等しく、すでにプール制の改悪と一体になった動きであると言わなければなりません。低賃金は労働の質を低めるとの言葉通り、その影響は結局子どもたちに撥ね返るのであります。
第四に、廃止の理由として「民間にできることは民間に」とも言われています。今回の市長の提案は、民間委託でも指定管理でもなく、文字通り廃止であり、土地は有償貸付、建物は買取で、従って、移管後の保育園は、もはや公けの施設ではなくなるわけであります。公有地や公有財産切り売りの一環であると言わなければなりません。今回の場合は公的な福祉法人への移管ですからそこまでは行かないにしても、昨今、何でもかんでも民間へという動きがありますが、自治体がその本来の役割を投げ捨てる、そういう大きな流れの一環でもあることも、反対の理由のひとつであります。市立だからこそ、市民からの相談対応や他の公的機関との連携、困難事例への対応、民間保育園への有形無形の援助等々先進的役割を果たすべきであり、従って市立のまま残してこそそういう役割を担えるし、また担うべきなのであります。
最後に手続き上の問題も、賛成できない理由のひとつであります。
第一に、市立保育所を廃止するかどうかは条例の改正ですから、京都市という団体の意思を決めるのは議会であります。その議会では、まさに今、その可否について議論しています。然るに、すでに昨春、移管先法人選定を任務とする選定等委員会を設置し、しかも昨年末、その法人まで決めました。廃止するかどうかについて、全く何も決まっていない段階で、これを既定の事実の如く、廃止を前提として独断専行するのは、自治体の意思決定の仕組みと手続きを無視するものであり無効であります。議会ひいては議員を選んでいる市民を冒涜するものであります。市長の越権行為と言うほかはありません。機関意思の決定ではなく、団体意思の決定として議会が京都市の方針を決め、その決めたことを、決めたあとで、それを執行するのが市長の仕事なのであります。今般の選定等委員会の任務は、廃止と移管を前提として移管先の法人を選定することでありましたから、これは明らかに越権であり逸脱であり先走りであります。議会は市長の追認機関ではありません。私は、議会人の一員として、今回の議会無視を絶対に容認するわけにはいきません。
第二に、移管先選定等委員会の位置付けや守備範囲が曖昧なまま推移しています。第一回の委員会では、どの保育所を移管するかも含めて審議すると言われ、実際、第四回委員会で「廃止する保育所はどことどこでいいですね」と確認も採られています。ところが市会常任委員会では、選定等委員会は意見具申だけで決定は市長がするとの答弁でしたし、またある委員さんは、我々の役割は移管すべき保育園の選定ではなく、移管先法人の選定ですねとわざわざ念を押されています。辻褄が合っていないのです。
更に、移管先選定等委員会は地方自治法で言うところの附属機関でないと言い張りながら、その証明がないまま突っ走っていること、加えて同委員会委員への報償費1万309円の支払いの根拠が、本市のどこにもなく、地方自治法という世間一般の法律でしかないこと、即ち、この報償費の支払いや額は、結局、慣習であったり担当局の恣意的裁量でしかないこと等も大きな問題であると、私は思います。
第三に、二年前の社会福祉審議会検討専門委員会から昨春の市の方針決定時、更に昨春以来の移管先選定等委員会に対し、その時時、廃止に反対され、疑問を感じる保護者や関係者の皆さんの声がたくさん寄せられてきたのに、結局これらの切実な願いを何ら考慮することなく、結論先にありきという進め方に終始してきたのがことの経過であります。私たちにも、保護者や職員、関係者の皆さんたちから沢山のハガキが届いています。保育料値上げを撤回または否決されたいという願いとともに、市立は市立のままでと書いておられます。関係者・市民の声に応えることこそが、議会の役割ではないのでしょうか。今からでも遅くはありません。議員各位のご賛同を求め、討論とします。
第一に、地方自治法では、第244条で「普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつて公の施設を設けるものとする。正当な理由がない限り住民がこれを利用することを拒んではならない」と謳われています。「設けるものとする」というのは周知の通り設けなければならないという意味であります。更に児童福祉法第24条では、「市町村は...児童の保育に欠ける場合、...それらの児童を保育所において保育しなければならない。」と市町村の義務について謳われています。これらの原則に立ち帰って考えた場合、勿論京都の施設福祉は民間に支えられてきた歴史があるのは当然ですが、既に今ある市営保育所をわざわざ民間に移管するのは、住民福祉の増進に向け、自治体が、公けの施設を設けて保育しなければならないという法律の趣旨に反すると言わなければなりません。
第二に、廃止後、それぞれ社会福祉法人に民間移管して、乳児から幼児への一貫保育ができるとの理由が挙げられておりますが、移管先乳児保育園を増設して幼児と併設にするわけではなく、単に、同一法人が、乳児園と幼児園を別々に運営するというだけのことでしかありません。現在の保護者の皆さんが、乳児保育所卒園時には次の幼児園を探さなければならないのは、当然、百も承知ですが、その皆さん方自身が移管に疑問を感じておられるのであります。一般的に言っても乳児園から幼児園にはいろいろな転園ケースがあり得ますし、またこれは法人の責任でも何でもありませんが、移管先の法人は、現在、乳児保育の経験がなかったり、また一方、移管先の幼児保育園は来春移管の時点での新規開設という綱渡りの引継ぎであったり等、一貫保育の謳い文句そのものが、まだまだ今後の課題という余地を残しているのであります。
第三に、財政の問題についてです。諮問委員会等でも、市は、事務局として市立は高くつくと殊更に強調する材料作りに腐心してきました。予算委員会でも、市立と民間の各保育園の経費比較について、移管により合計1億7千万円の削減効果があるとの答弁でしたが、効果という表現自体、初めから財政削減ありきを目的とした移管だとしか思えないではありませんか。ほとんどの機能は引き継ぐとの本会議での答弁でしたが、1億7千万円も削って、どうして同じレベルの保育が保障できるのでしょうか。裏付けはありません。人件費の削減が大きな要素とのことですが、これこそ、民間園の労働者には、定年までの定期昇給は保障しないと言っているに等しく、すでにプール制の改悪と一体になった動きであると言わなければなりません。低賃金は労働の質を低めるとの言葉通り、その影響は結局子どもたちに撥ね返るのであります。
第四に、廃止の理由として「民間にできることは民間に」とも言われています。今回の市長の提案は、民間委託でも指定管理でもなく、文字通り廃止であり、土地は有償貸付、建物は買取で、従って、移管後の保育園は、もはや公けの施設ではなくなるわけであります。公有地や公有財産切り売りの一環であると言わなければなりません。今回の場合は公的な福祉法人への移管ですからそこまでは行かないにしても、昨今、何でもかんでも民間へという動きがありますが、自治体がその本来の役割を投げ捨てる、そういう大きな流れの一環でもあることも、反対の理由のひとつであります。市立だからこそ、市民からの相談対応や他の公的機関との連携、困難事例への対応、民間保育園への有形無形の援助等々先進的役割を果たすべきであり、従って市立のまま残してこそそういう役割を担えるし、また担うべきなのであります。
最後に手続き上の問題も、賛成できない理由のひとつであります。
第一に、市立保育所を廃止するかどうかは条例の改正ですから、京都市という団体の意思を決めるのは議会であります。その議会では、まさに今、その可否について議論しています。然るに、すでに昨春、移管先法人選定を任務とする選定等委員会を設置し、しかも昨年末、その法人まで決めました。廃止するかどうかについて、全く何も決まっていない段階で、これを既定の事実の如く、廃止を前提として独断専行するのは、自治体の意思決定の仕組みと手続きを無視するものであり無効であります。議会ひいては議員を選んでいる市民を冒涜するものであります。市長の越権行為と言うほかはありません。機関意思の決定ではなく、団体意思の決定として議会が京都市の方針を決め、その決めたことを、決めたあとで、それを執行するのが市長の仕事なのであります。今般の選定等委員会の任務は、廃止と移管を前提として移管先の法人を選定することでありましたから、これは明らかに越権であり逸脱であり先走りであります。議会は市長の追認機関ではありません。私は、議会人の一員として、今回の議会無視を絶対に容認するわけにはいきません。
第二に、移管先選定等委員会の位置付けや守備範囲が曖昧なまま推移しています。第一回の委員会では、どの保育所を移管するかも含めて審議すると言われ、実際、第四回委員会で「廃止する保育所はどことどこでいいですね」と確認も採られています。ところが市会常任委員会では、選定等委員会は意見具申だけで決定は市長がするとの答弁でしたし、またある委員さんは、我々の役割は移管すべき保育園の選定ではなく、移管先法人の選定ですねとわざわざ念を押されています。辻褄が合っていないのです。
更に、移管先選定等委員会は地方自治法で言うところの附属機関でないと言い張りながら、その証明がないまま突っ走っていること、加えて同委員会委員への報償費1万309円の支払いの根拠が、本市のどこにもなく、地方自治法という世間一般の法律でしかないこと、即ち、この報償費の支払いや額は、結局、慣習であったり担当局の恣意的裁量でしかないこと等も大きな問題であると、私は思います。
第三に、二年前の社会福祉審議会検討専門委員会から昨春の市の方針決定時、更に昨春以来の移管先選定等委員会に対し、その時時、廃止に反対され、疑問を感じる保護者や関係者の皆さんの声がたくさん寄せられてきたのに、結局これらの切実な願いを何ら考慮することなく、結論先にありきという進め方に終始してきたのがことの経過であります。私たちにも、保護者や職員、関係者の皆さんたちから沢山のハガキが届いています。保育料値上げを撤回または否決されたいという願いとともに、市立は市立のままでと書いておられます。関係者・市民の声に応えることこそが、議会の役割ではないのでしょうか。今からでも遅くはありません。議員各位のご賛同を求め、討論とします。