くらた共子議員の代表質問 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

くらた共子議員の代表質問

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本会議代表質問
くらた共子 議員

 上京区選出のくらた共子です。私は日本共産党市会議員団を代表し市長に質問します。
  国会が解散し総選挙が目前となりました。政権を交代させた国民は新しい政治を求めています。原発再稼動、消費税増税と社会保障の改悪、TPP参加など国民の声を無視し、歴史までも逆流させようとする、こんな政治を変えたいとの声が大きく広がっています。日本共産党は、内政、外交における新しい日本の改革ビジョンを示し、国民の皆さんと一緒に行動し、即時原発ゼロの実現など命とくらしを大切にする政治の実現に全力で頑張る決意を述べて質問に移ります。

子育て世代への消費税増税の影響について

 まず、市民生活に対する消費税増税の影響についてです。小学生と保育園児の子どもを持つあるお母さんは、「子ども手当ても廃止になる。夫の賃金は増えず、自分もパートで必死に頑張るが毎月、家計はカツカツ。これで消費税が増税されたら食費を減らさざるを得ない。二人の子どもの成長にあわせお金がかかるが、やっていけるか不安でたまらない」と述べておられます。内閣府による国内総生産速報値は、年間換算で3・5%減となっており景気の後退は致命的な状況です。この状況下に消費税を増税するなど断じて許されません。消費税に対する世論調査で、子育て中の30代で96%、40代でも95%が「暮らしに影響する」と答えています。背景には若い世代の不安定雇用など低収入の広がりがあります。今でも子どものいる世帯の69・4%が「生活が苦しい」と答えていることから、消費税増税が尋常でない影響を与えることが明らかです。2011年と2015年時点での世帯の可処分所得の政府の試算によると、40歳以上の片働きで年収300万円の世帯では24万円以上減ります。年収500万円の世帯では31万円以上減るという事態です。市長は、厳しい生活を強いられる子育て世帯の状況をどう認識されていますか、「消費税は社会保障に必要な財源を確保するために重要」との認識は市民生活を顧みないものではありませんか。いかがですかお答えください。

(平口副市長)消費税は、地方の単独事業を含む社会保障制度を持続可能にするため、広い世代が負担を分かち合い財源を確保するよう増税するもの。国で一体改革に基づき、低所得者への給付などの対応がされる。

雇用確保に対する企業の責任

 雇用の面では、賃金の下落が続き、若者の就職難は引き続き深刻です。改正された労働者派遣法は完全な骨抜きで非正規雇用労働者を拡大させる仕組みがつくられました。その上、大手の電機・情報関連企業が経営悪化を理由に13万人にも及ぶ大量のリストラ・解雇をすすめています。京都ではロームが1期の赤字を理由に250人の希望退職者を募るとしています。しかし、ロームの内部留保は7000億円。京都会館の改築でネーミングライツ料として52億5000万円支払うなど十分な体力があります。しかもロームは雇用確保を目的とする京都市企業立地促進事業の補助を受けた企業です。たった1期の赤字を理由に職員の大量解雇をすすめるロームに対し、市長は何も言わないのですか、雇用確保に対する企業の社会的責任を果たすよう要請すべきです。いかがですか、お答えください。

(産業観光局長)ベンチャー企業として京都の経済・雇用に役割を果たしてきた。早期に業績を回復し、さらに売り上げを伸ばし雇用拡大を図られることを期待する。

堀川商店街振興、堀川団地の再整備について

 次に、商店街の振興についてです。わが党は商店街を守るために、「商業集積ガイドプラン」の撤回、「京都市まちづくり条例」を大型店出店を規制するものに見直すこと、大規模小売店舗立地法は需給調整が可能となるよう国に求めるべきと繰り返し指摘し求めてきました。しかし実現されず京都市としての効果的な対策はとられていません。現在、堀川丸太町南西角の元ニュー京都ホテル跡に大型スーパーの建設計画があります。この計画に対して地元住民から「コミュニティ道路でもある猪熊通りに出入り口をつくることは決して認められない」との強い意見が出されています。住民が合意できない出店は認めるべきではありません。住民説明会で、事業者から「商業圏は1キロ、北は清明神社、南は三条商店街、西は七本松通、東は高倉通あたりで、一日3000人の来客数を確保したい」「南と西は厳しいが北、東方面で客層を得たい」と説明がありました。これは堀川商店街を凌駕する商業戦略だということが明らかです。京都市は商店街は地域になくてはならないものとしてきましたが、堀川商店街の地域における位置づけをどう考えておられますか、商店街を守るために新たな出店を規制することを求めますがいかがですか、お答えください。

(産業観光局長)無秩序な商業開発を抑制するため「商業集積ガイドプラン」に基づき指導しており、今回の出店も上限を守るもの。大店立地法に基づき周辺の生活環境保持に配慮を求める。

 また、堀川商店街では京都府住宅供給公社堀川団地の再整備計画案が出されていますが、団地の住民や商店主から「まともな説明はきいていない、私たちの意見は聞かれない」と事業のあり方に対する意見とともに「ここに住み続けられるのだろうか、家賃の値上げが心配」との声も寄せられています。建物の安全を確保すると同時に、市民が安心して住み続けられるように市としてしっかり役割を果たすことが必要ですがいかがですか。また現在ここで営業を営んでいる商店への配慮が必要です。商店街関係者からは、「京都府が示した直近の再整備計画案で、果たして商店街として成り立つのだろうか」「整備後も営業できるのだろうか」との意見があります。地域住民の生活を支える立場からも住民や商店街関係者の意見をまずはよく聞くことが必要です。その上で、商店街の活性化が図れるよう市の役割を果たすことを求めますがいかがですか。はっきりとお答えください。

(市長)商店街、入居者、地域住民の意見を反映するための「堀川団地町づくり協議会」や、団地再生方針や事業スキームの検討を行う「堀川団地再生・事業推進委員会」に参加している。建物の安全性、にぎわい創出やコミュニティ活性化の推進のため、商店街、入居者、地域住民の理解の上で進めるよう働きかける。

TPP参加中止を求めよ

 次に、TPPについてです。TPPに参加することになれば、アメリカの経済ルールが日本に押し付けられることになります。関税撤廃が迫られるだけでなく日本の国内制度をアメリカが「非関税障壁」だと見なせば、その制度の撤廃すら求められることになります。京都市が定める中小企業を優先し、育成するしくみなども攻撃にさらされるとの指摘があります。アメリカの多国籍企業が、日本の国民を守る国内制度の制約を受けることなく企業活動ができるようになれば、食の安全や農業、医療と薬業、金融、保険、雇用など国民生活のあらゆる分野で打撃を受けることは必至です。私はとりわけTPP参加が国民皆保険制度を崩壊させるものであることを見過ごすことが出来ません。京都府保険医協会のある医師は、「アメリカは、日本の国民皆保険制度には手をつけないと言っているが信用できない。例えばアメリカから輸入している心臓のペースメーカーはワンセット100万円、抗癌剤は一錠10万円するが、国内の安いレートで一般的な保険医療として今国民に提供されている。アメリカがこれを儲けの障壁とすることは明らかである。混合診療の拡大と民間保険の導入で、お金がなければ受けられない医療へと医療制度が変質することになる」と指摘しておられます。市長は、決算議会でTPPに対する態度を自らの言葉で表明されませんでしたが、日本のTPP参加はアメリカと財界の圧力に屈した亡国の政策ではありませんか。住民のいのちと暮らしを守るために、市長は国に対してTPP参加の中止を強く求めるべきです。いかがですか、お答えください。

(塚本副市長)輸出企業の競争力が高まる一方、農林業や医療分野への影響が危惧される。食の安全・安心の確保、国民皆保険堅持の視点は大変重要である。十分な国民的議論をふまえて国策で判断されるものであり、注視する。

介護、国保の充実を、

 次に、社会保障の問題についてです。社会保障制度改革推進法は、消費税増税と合わせて社会保障予算削減のための制度改悪から、国民の権利としての社会保障を否定する方向に改悪の質を加速させるひどいものです。生活保護に対するバッシングと切り捨てはその典型です。ある先天性の障害により生活全般で介護を必要とする60歳代の弟さんと、持病のある70歳代後半のお姉さんの実態について述べます。最近、弟さんが医療的ケアが必要となり入院され、独り暮らしとなったお姉さんも心身の衰えでいつまで在宅生活ができるか分かりません。お姉さんは、「弟が退院できたなら二人で一緒に施設に入りお世話になりたい」と願っておられます。しかし、介護保険制度はこれに応えられるものでしょうか。このお姉さんは、これまで一〇〇歳を超える認知症のお母さんを看とり、同時に自分の身体をボロボロにしながら弟さんの世話をしてこられています。そのあまりにも過酷な暮らしに支援に係わる方々から「いつかお姉さんが倒れてしまう。なんとかならないのか」と意見が寄せられてきました。二人の暮らしは、わずかな年金を合わせて生活保護基準をかろうじて上回る水準です。医療的ケアを必要とする弟さんと共にすぐに入所できる可能性があるのは医療的ケアのできる有料老人ホームとなりますが、高額な費用のかかるサービスを二人が選択できる余地は全くありません。通常の介護保険施設への緊急的な入所であっても、在宅で虐待を受けている要介護者の対応で一杯という状況ですし、入所待機者が多い状況からも二人揃っての入所はおろか、お姉さん一人の入所でさえ申請から何年も待たなければならない、これが今年12年目を迎える介護保険制度の実態です。市長はこうした高齢者の実態があることを認識しておられますか。お金の心配をせずに老後を安心して暮らせることを保障する介護保障が市民の願いです。市長は国の介護保険制度では市民の願いに応えられていない実態を掌握すべきです。介護サービス基盤の整備をすすめると同時に、福祉事務所の体制を強化し、地域包括支援センターや市民からの相談にすみやかに対応すること、市職員が現場で判断し困難を抱える市民の処遇に責任を果たすことを求めますがいかがですか。お答えください。

(保健福祉局長)プランに基づいて基盤整備を推進している。市民からの相談は地域包括支援センターで対応している。24年度専門職をひとり増員し体制を拡充。福祉事務所と連携し適切に対応している。

 また、介護保険料についてですが、「介護保険料は納めても、いざ介護サービスを利用する時の1割の利用料は払えない」との声が寄せられています。今年度、保険料が高すぎるなどの理由で決定通知された介護保険料に対する不服審査請求は1090件となっています。過酷な保険料は、介護保険制度が謳う自立支援に逆行するものです。「使えるかわからない介護保険の保険料を払うより、今、栄養のある美味しいものを食べるほうが元気でいられるのに」は率直な市民の声です。本市の介護保険料は2000年2958円から2012年5440円になりました。このままでは、介護保険サービスを利用するまでに高齢者の暮らしそのものが成り立たなくなります。市長は国に対して、介護保険料の負担軽減を図るよう強く求め、京都市独自の保険料減免制度の拡充を図るべきです。いかがですか、お答えください。

(保健福祉局長)介護保険料は、24年度いっそう低所得者に配慮した保険料設定を行い、独自の減額制度を拡大するなど負担を軽減している。国に対して保険料負担軽減を求める。

 次に、京都市国民健康保険制度についてです。京都市は、単年度の国保会計が黒字となった後も保険料を値上げてきました。さらに保険料を分納している市民にも保険証の取り上げ通知を行うなど、強引な保険料の取立てを行っていますが、許されないことです。私はこれまで難病の患者であることを難病手帳を示して申し出た市民に対しても「滞納保険料を支払わなければ資格証明書を発行する」という対応があったことを指摘し、改善を求めてきました。なぜ、こうしたことが起こるのでしょうか。滞納保険料の支払い計画を検討し、それに基づいてきちんと納入している市民に対しても、資格証明書発行の京都市独自のルールをかぶせて当初の納付誓約を反故にし、残額を今年度内に支払わせようとする指導が行われています。ここには、本人の支払い能力について親身に相談にのり、市民が安心して保険料を納められるように援助しようとする態度はありません。市長は「京プラン」に債権を回収するための専門部署をつくり、その体制を強化するとしていますが、ここに市民生活の実態よりも国保の滞納保険料の回収ありきの姿勢が明らかです。平成20年10月30日付で厚生労働省は資格証明書の交付に際しての留意点に「資格証明書は納付相談の機会を確保するために交付しているものであり、機械的運用を行うことなく、特別の事情の有無の把握を適切に行った上で行うこと」と困窮している世帯への発行を戒めています。京都市の対応はこの厚生労働省の通達にも反しているのではありませんか。滞納保険料の取立てが最優先となっていることは重大です。副市長はこれまで「一律的、機械的な対応はしていない」と繰り返し答弁されていますが、実態は違うではありませんか。早急に是正すべきです。根本的な問題である「資格証明書」の発行を中止することを求めますがいかがですか、お答えください。そして、市民の切実な願いである高すぎる保険料の値下げを行うべきです。いかがですか、お答えください。

(保健福祉局長)きめ細かな納付相談を行っているが、特別な理由もなく長期に滞納している方に資格証明書発行はやむを得ない。保険料率は据え置いており、負担軽減に努めているが37億円の累積赤字があり引き下げは困難。

原発問題と再生可能エネルギー政策について

 次に、原発問題と再生可能エネルギー政策についてです。大飯原発の敷地内の破砕帯が活断層ではないかと指摘されている問題で、原子力規制委員会は活断層の可能性を否定できないとして追加調査を関西電力に求めるとしました。このことは、安全性の確認もなしに大飯原発を再稼動させていることの重大性を指摘するものです。市長の判断はいかがですか。電力は足りており、原発を稼動させなければならない理由はありません。安全性を確認できない原発が稼動していることが問題なのですから、関西電力と国に対し大飯原発を即時停止させることを求めるべきではありませんか、お答えください。
 また、再生可能エネルギーは、地域循環型経済の起爆剤として位置けることが重要です。市民は節電を意識すると同時に再生可能エネルギーの具体化を求めています。地域でつくり出したエネルギーを地域で活用するというコンセプトに中小企業や地域の事業者を参画させ、地域内循環型経済の具体化を図ることを強く求めますが、いかがですかお答えください。

(市長)電力安定供給のための暫定基準に基づく限定的稼働であり、規制委員会で新しい基準を策定して再審査、安全確保に万全を期すべき。破砕帯について安全確保に重大な影響を及ぼす可能性があり、関西広域連合として調査と見解の提示を国に申し入れた。
 再生可能エネルギーは自立分散型電源への転換に寄与。エネルギーの地産地消で、市民生活や経済活性化につながる。地域資源として最大限に活用、環境と経済の融合に取り組む。

上京区における防災のまちづくりについて

 最後に、上京区における防災のまちづくりについてお聞きします。京都大学防災研究所の研究等から上京区では高齢者が、老朽木造家屋や長屋、袋小路などに多く居住しており、建物の倒壊、延焼、避難路の遮断などによる被害を受けることが予想されています。直近の東日本大震災の分析をもとに、予想される被害を最小限に食い止める対策を急がなければなりません。
 そこで京都市は今年7月より「京都市細街路対策事業」を始めました。これは狭い道の拡幅と、行き止まりの道を災害時に避難しやすくするために、塀の撤去や袋路入り口の建物の耐震強化などの改修費、入り口付近の通路の拡幅工事などを行うために上限30万円を補助する事業です。11月10日まで5軒の相談があり、工事が実施されたのは3軒とのことです。私は、先日上京区仁和学区で制度を活用し工事完了した現場を確認させていただきました。ここはもともとろう路の入り口も広く、ろう路の突き当たりに隣の墓地に抜けられる入り口があったところを再整備したものでした。今後、入り口が狭く住居が密集し抜け道のない地域の本腰を入れた細街路対策となるよう検討が求められるのではないでしょうか。市民からは「ろう路の奥の住民の為に入り口側の住民の協力をどのようにして得るのが」「世代交代した際の土地家屋の財産所有に係わる問題がある」「30万円では手がつけられない」などの意見があります。上京区全体の細街路は600ケ所、市内全域では4330ケ所です。危険区域の課題解決を急がなければなりません。地権者及び建物所有者や借家人に理解される制度とすること、改修に伴う経済的な負担の軽減が必要です。スタートした事業の補助制度は30万円の上限設定ですが、制度を活用するインセンティブが働かなければ、成果をあげることができません。防災に係わる事業ですから、対象箇所毎の具体的な対策が必要です。私は細街路対策事業を京都市の防災対策としての位置づけを高め事業内容を発展させることを求めますがいかがですか、お答えください。
 災害に強いまちづくりは住民福祉の基本です。住民の命を守る施策の拡充を重ねて求め私の第1質問といたします。

(都市計画局長)上限を定めた100%補助であり、回覧や団体への説明等普及促進に努めている。現時点で補助額は妥当。実施にあたって住民、不動産事業者と連携し特性に応じたきめ細かな対応を進める。

第2質問

 まず、TPPについてですけれども、注視するというご答弁でした。注視している場合ではありません。市民生活を守っている様々な条例にも影響が及ぶと言うことが指摘されています。そして消費税の増税ですが、社会保障の財源に消費税をあてるという、そのことが根本的に間違っているということを厳しく指摘したいと思います。さらに商店街の問題ですが、堀川団地の再整備と合わせ、そして大型店の進出と、まさにダブルパンチとなっているということをしっかり認識いただき、地域住民のためにしっかり力を尽くしていただきたい。求めたいと思います。今、本当に消費税の増税やTPPの参加、これで関税撤廃などされたらたちまちやっていけない、市長は景気のどん底で踏ん張っているこうしたものづくりの現場の声、そして市民の声こそしっかり聞くべきではありませんか。それが自治体の役割だと言うことを強く指摘し、私の第2質問といたします。

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